為替レポート

5月18日~5月22日の週

【為替の動向】
ドル/円(24時間)
05/18(月)05/19(火)05/20(水)05/21(木)05/22(金)
OPEN107.09107.31107.73107.56107.66
HIGH107.50108.09107.98107.85107.76
LOW107.05107.28107.33107.49107.32
CLOSE107.31107.73107.56107.66107.59

先週のドル円レンジ:107.05円~108.09円

5月19日 IMM通貨(円)先物動向
円:27470枚の買い越し前週比467枚の買い超し減

 新型コロナウイルスワクチンの開発報道、先進国の感染者数・死亡者数の頭打ちの現象もあり、経済活動再開が始まり、経済悪化が防げるとの楽観論が広まっている。米国は世界最大の新型コロナウイルス感染国(5月22日時点で感染者数160万1462人、死者9万5632人)となった。自国の死亡者数の急増をよそに、トランプ大統領が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の原因は中国にあるとして、新たな対中関税の発動も辞さない構えを示し、さらに世界の産業供給網から中国を排除する動きを加速しており、米議会は、中国が新型コロナウイルス感染拡大に至る経緯の調査に協力せず、十分に説明しない場合、対中制裁を科す権限を大統領に付与する法案を提出している。第2次米中貿易戦争への警戒感が現実のものとなった。中国の対抗策の発言はまだである。中国の全国人民代表大会(全人代)では、米国への対抗措置が打ち出される可能性がある。WTI原油先物が、米国原油在庫の減少とOPECの減産状況から堅調に33ドル台となり、ドルインデックスは99.78、円ドルは107.59円で取引を終えた。

今週の予想

今週のドル円予想レンジ:105.00円~109,00円
ピボット分析(日足ベース):107.13円~108.02円

注目点
中国のサプライチェーンの回復スピードと統制強化の動き、マスク外交の行方(不良品続出)、第2次貿易戦争?
新型コロナウイルスの感染拡大。特に米国(5月22日現在160.1万人の感染者)
トランプ大統領の発言の矛盾、米国の医療体制の脆弱さ露見(死亡者数9.5万人)
自国(米国・英国)至上主義の矛盾の表面化、第一次世界大戦後の世界恐慌の状況との比較
株式資本市場の落ち着きどころと、あまりに早い反転の動向
原油市場の動向・・1バーレル20~30ドル台推移の場合・・・
レバッレジローンの行方

≪中東情勢≫
トランプ大統領の中東和平案(エルサレム問題)に対するアラブ諸国の対応
イラン攻撃の可能性、イラクの政治状況
イランの動き~イラク・米国軍との軍事衝突(3月18日)、米国との裏交渉
シリアの軍事行動とトルコの動き・・ギリシャへの避難民の移動、感染者

≪欧米・英米交渉・アジア問題≫
対EUの自動車関税(米国)及び英国の自由貿易協定(FTA)交渉の行方
英国の貿易交渉の行方と交渉期限の延長問題
北朝鮮の動向~3月1・9・21・28日、4月14日ロケットの発射、金正恩氏の健康報道
対中貿易戦争の行方
中国海軍の動き
 
 米国のリセッション入りの議論がされる一方その報道は封印され、経済活動の再開の報道が多く流れている。株価維持のためか、V字型景気回復の期待を醸成、半値戻しの水準で推移している。6月を底に7-8月期以降景気回復が可能との報道がみられる。
 トランプ政権は、当初、死亡者数を6万人~6万5千人になると表明、この数値を超える結果となり、死亡者数を8~10万人と変更した。現在、新型コロナウイルスの感染の中心が米国に移り急拡大、感染者数が160万人を超え、死亡者数も9万5000人を超えている。トランプ大統領が、オバマケアを否定した結果、その医療体制の不備が問題視され、世界最大の死亡者数になるとの報道は現実となった。米国における当初予想(数百万人)よりも死亡者数が少なくなることを自分の功績と発言している。この死亡者は戦争による犠牲者ではない。この数値(10万人)を超える結果となりそうである。また、失業者の多さについてもその責任がないとまで表明している。トランプ大統領は新型コロナウイルスの感染拡大防止及び失業率の増加・景気悪化の原因を新型コロナ問題の発生国・中国・WHOに責任をすり替えようとする発言が散見される。中国への賠償金請求とWHOへの拠出金削減という手段で、中国・WHOに対する発言を強化、対中貿易戦争の再燃を醸し出している。
 トランプ大統領が主導する自国第一主義に対して、マスクにみられるフランス・スペインの注文品の横取り合戦、インドとの交渉にみられるマラリアワクチン交渉(このワクチンの効能は否定されている)、・・・。最新の開発中のワクチンについても取り合いが始まっている。世界に対してリーダーシップを取れない結果となった。ビルゲイツが主張するようにリーダーシップを発揮して最先端技術を使って治療薬・ワクチンを開発し、アフリカを含む発展途上国にこれらの薬を大量生産し配布し、人類を助ける努力をすることがいま必要である。シリア難民・アフリカの感染が報道され始めている。軍事力・経済力以上に人類のリーダーシップの在り方が問われている。
 ここにきて、規制緩和の動きが始まろうとしている。治療薬・ワクチンの目途がついたこと、感染者数・死亡者数が一時期に比べ減少気味であること、医療崩壊のピークが過ぎたこと、マスク・医療機器・検査機器の生産が各国で進められたこと等があげられる。一方自由を求める人間の欲望とこれを規制する良心的な人との摩擦から殺人・傷害事件が多発している。宗教・人種・秩序とは何かが問われている。
 世界経済のリセッション懸念が現実のものとなり、最悪な状況を避けるために各国中央銀行の資金供給が始まり各国政府も赤字国債の発行という流れとなっている。日銀・FRB等の中央銀行の努力に加え、追加予算編成・補助金の予算編成がやっと可決された。短期的な景気悪化を防ぐ材料は準備された。資金の振り分けはこれからで、我が国に限らず米国・欧州においても中小企業の資金繰り対応が急がれる。今回は金融機関由来の金融危機ではない。しかし、コロナをきっ掛けに金融危機に発展する可能性はないとは言えない。サービス業をはじめとする中小企業の救済と非正規雇用者の失業問題は急務である。
 本来の金融機関の役割・機能が試されようとしている。一方で今後発生する不良債権問題に注目するエコノミストが増えている。担保を基準とした貸付制度等、銀行行政の難しさが露見している。
 一方、欧州の銀行では貸倒引当金の積み増しと決算対策の動き、および監督当局の猶予措置によるムーディ社・S&P社等の格付け機関対策を進めている。資金調達に関して資本市場の縮小は目前である。英国の中央銀行(BOE)は金融機関の資金調達の目途がついたと発言している。日本はどうなのだろうか。一方、デルタ航空の報道・イタリア・フランスの格付け報道、さらに日本のトヨタ・ホンダの格下げ報道にみられる格付け機関の暴走が始まっている。過去、格付けの変更で資金調達が困難となり、企業倒産が多発した記憶がよみがえる。金融危機のきっかけとなった。いつか来た道『貸しはがし』が起きないように望みたい。
 これまでの金融経済理論では説明のつかない現実があり、その枠組み及び仕組みの再考が急がれる。格付け機関の国及び金融機関を含む企業の評価・金融機関の不良債権急増への対応・中小企業の倒産と失業率の増加・失業者の自殺問題(予想では7万人を超えるとの報道)・財政と国債の比率問題・産業構造の変化(サービス部門の従事者比率が過去と異なっている現実)・・・。お金の再配分の問題が、人の生き死にと関連付けて議論され始めるであろう。各パーツ(ミクロ分析)の議論をマクロ理論に結びつける統合理論が存在しない。統計理論だけでは説明がつかない。ケインズは過去の理論なのだろうか。ここにきて実存主義を標榜したマルクスの考え方が再考され始めた。経済全体の枠組み・資本主義・民本主義(渋沢栄一)の再考が必要となるのであろうか。
 一方、先進国である欧米の感染者数・死亡者数は世界の大半を占めている。なぜこのようになったか。生活習慣(挨拶・靴を履いて室内で過ごす習慣:日本・スウェーデン等は違う)・食生活・硬水を基準とする衛生的な水の問題・土葬を中心とした埋葬の在り方・漢方薬・民間療法の効能・乳酸菌の効能・うがいの意味等・・、アジア地区と欧米の比較がされておかしくない。欧米の習慣・基準がすべてではない。ましてや、コロナウイルスの正体がわからない状況で、その発生源・国がどこかを議論しても意味がない。死人が毎日出ている。
 マスコミは世界恐慌時の英国とアメリカとの『覇権争い』との比較、その後のソ連との冷戦時の覇権争いを引き合いに、中国と比較しながらも、覇権国の無い無法時代を予見する報道まで出ている。資本主義対社会主義といった懐かしい『イデオロギー』についての議論が出ている。米国の権威失墜は今後大きく取り上げられるであろう。
 また、サウジアラビア・ロシア・アラブ首長国連邦の増産体制による原油価格の下落は、トランプ大統領の再選を拒否する動きとみることもできる。逆オイルショックとみることもできる。現在30ドル台となっている。WTIの価格決定の能力に疑問符がついている。米国の原油在庫とOPECプラスの減産状況との綱引きを基準として、中国等の消費動向に価格が左右されている。一方、ドル以外の決済が広まっている。このことは、米国ドルの基軸通貨としての機能について問題提起されているとみることもできる。
 一方、中国・日本を中心としたアジア地区での経済活動の復活は比較的早まる気配である。今後も引き続き原油問題も含め責任転嫁戦略・発言がどのような展開となるか注目しておこう。また、実体経済とかけ離れたバブル状態の株価には注意が必要だ。
 

今週の主な予定

22日~28日まで 中国全人代

25日(月)
  日本景気動向指数 改定値(3月)
  独IFO景況感指数(5月)

26日(火)
  独GFK消費者信頼感(6月)
  米消費者信頼感指数(5月)

27日(水)
  中国工業利益(4月)
  米地区連銀経済報告(ベージュブック)

28日(木)
  ユーロ圏業況判断指数(5月)
  米GDP改定値(第1四半期)
  米新規失業保険申請件数(23日までの週)
  NY連銀総裁、討論会参加

29日(金)
  日本雇用統計(4月)
  日本小売売上高(4月)
  日本百貨店スーパー売上高(4月)
  日本消費者態度指数(5月)
  東京都消費者物価指数(5月)
  米個人所得支出(4月)

31日(日)
  中国製造業PMI(5月)
  中国非製造業PMI(5月)
  中国コンポジットPMI(5月)


2020年05月25日更新


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