為替レポート

6月22日~6月26日の週

【為替の動向】
ドル/円(24時間)
06/22(月)06/23(火)06/24(水)06/25(木)06/26(金)
OPEN106.87106.92106.48107.03107.16
HIGH107.01107.22107.07107.45107.36
LOW106.74106.07106.38107.00106.79
CLOSE106.91106.47107.03107.18107.17

先週のドル円レンジ:106.07円~107.45円

6月23日 IMM通貨(円)先物動向
円:27458枚の買い越し 前週比5348枚の買い超し増

 経済活動再開による経済復活への期待が維持されるものの、米国での新型コロナウイルス感染者数が急増、第2波への警戒感がみられ、人種差別抗議・ボルトン前米大統領補佐官の暴露本出版等、トランプ大統領の再選への黄色信号が明白となった。トランプ大統領は目先を変えるために、対中国で、中国との「完全なデカップリング(切り離し)」に言及、米中対立の激化懸念を醸成、対イランでは核開発ではなくロケット開発にかかわるアルミニュウム粉末の生産に言及、また米国最高裁判所にオバマケアの無効を提訴した。さらに、「米国が英国と欧州連合(EU)製品に新たな関税検討」、「ドイツが対米報復関税措置の準備」などの報道があった。米国は世界最大の新型コロナウイルス感染国(6月26日時点で感染者数247万9515人、死者12万5007人)となっている。WTI原油先物が、ロシアの減産確認報道、OPECの減産体制維持により38.2ドル台となり、ドルインデックスは97.68、円ドルは107.17円で取引を終えた。

今週の予想

今週のドル円予想レンジ:105.00円~108,00円
ピボット分析(日足ベース):106.56円~107.69円

注目点
中国のサプライチェーンの回復スピードと統制強化の動き、マスク外交の行方、第2次貿易戦争、香港・チベット・ウィグル問題への対応、中国との「完全なデカップリング(切り離し)」発言
新型コロナウイルスの感染拡大。特に米国(6月26日現在247.9万人の感染者)
トランプ大統領の発言の矛盾、米国の医療体制の脆弱さ露見(死亡者数12.5万人)米国最高裁判所にオバマケアの無効を提訴
自国(米国・英国)至上主義の矛盾の表面化、第一次世界大戦後の世界恐慌の状況との比較
株式資本市場の落ち着きどころと、あまりに早い反転の動向、IMFによる金融市場の過熱への警告
原油市場の動向・・1バーレル20~30ドル台推移の場合・・米シェール産業の倒産と増産体制
レバッレジローンの行方

≪中東情勢≫
トランプ大統領の中東和平案(エルサレム問題)に対するアラブ諸国の対応
イラン攻撃の可能性、イラクの政治状況、イランの核開発問題ではなくロケット開発にかかわるアルミニュウム粉末の生産に言及
イランの動き~イラク・米国軍との軍事衝突(3月18日)、米国との裏交渉
シリアの軍事行動とトルコの動き・・トルコ・ギリシャへの避難民の移動、感染者

≪欧米・英米交渉・アジア問題≫
対EUの自動車関税(米国)及び英国の自由貿易協定(FTA)交渉の行方、「米国が英国と欧州連合(EU)製品に新たな関税検討」、「ドイツが対米報復関税措置の準備」などの報道
英国の貿易交渉の行方と交渉期限の延長問題~合意なき離脱
北朝鮮の動向~3月1・9・21・28日、4月14日ロケットの発射、金正恩氏の健康報道、6月16日北朝鮮が南北共同連絡事務所を爆破、2018年の南北軍事合意を破棄すると警告、その後否定、韓国との関係、
対中貿易戦争の行方
中国海軍の動き~米国海軍の対応、潜水艦の動向
 
 株価維持のためか、V字型景気回復の期待を醸成、一時期の3割減の水準まで戻している。しかし、失業率は13.3%と以前の3~4%の完全失業率の水準からほど遠く、10%の水準で11月の大統領選挙まで続くとの報道もある。やっと、米国経済について全米経済研究所(NBER)が2月に『リセッション』入りしたと宣言された。トランプ大統領は追加経済対策(1兆ドル)を実施すると表明しているがその効果は不明である。一方、日本はリセッション入りしていると報道されている。相対的な円安の理由となっている。一方、IMFは金融市場の過熱への警告を発している。
 また、人種差別・及び所得格差の問題が黒人のジョージ・フロイド氏の死亡事件をきっかけに全米に波及、大規模デモに発展している。数百年続く根本問題が露見したのだろう。大英帝国時代の歴史的な人身売買の報道もある。警察改革を含めた、その場凌ぎの対応に、大統領選での劣勢が報道されている。トランプ政権内部での亀裂報道が出始め、6月23日、封印されてきたボルトン前補佐官の回顧録の出版がされた。しかし、民主党のバイゼン候補より企業家及び金融関係者にとって利点があるとの判断がある。一方で、トランプ大統領が落選する可能性を考え始めた動きがある。大前提のトランプがいなくなった世界はどのようになるのであろうか。相対的なドル安の動きが加速する可能性を考えておく必要がある。きっかけは追加経済対策後の米国債格付け引き下げに関する報道だろう。また、様々なこれまで築き上げてきた世界の枠組み(国連・NATO等・・世界の警察)を米国の予算(負担の比率)を理由に壊してきたつけが噴出し、その修正ができるかどうかである。第二次世界大戦後の枠組み修正、ロシア(旧ソ連)の存在・中国の台頭への対応が懸念される。エルサレムへの米国大使館設置とイランを含めたイスラム国への対応(宗教対立)が問題視されるだろう。根本的な先送りの現実が露呈されつつある。
 トランプ政権は、当初、死亡者数を6万人~6万5千人になると表明、この数値を超える結果となり、死亡者数を8~10万人と変更した。現在、感染者数が190万人を超え、死亡者数も12万9000人を超えている。死亡者数が10万人超えた時点で、『悲しいマイルストーン』と一蹴した。無責任な発言であり、コロナの問題を避ける発言である。トランプ大統領が、オバマケア(米国最高裁判所にオバマケアの無効を提訴)を否定した結果、その医療体制の不備が問題視され、世界最大の死亡者数になるとの報道は現実となった。米国における当初予想(数百万人)よりも死亡者数が少なくなることを自分の功績と発言している。この死亡者は戦争による犠牲者(兵士)ではない。この数値(10万人)を超えてしまった。さらに、失業者の多さについてもその責任がないとまで表明している。トランプ大統領は新型コロナウイルスの感染拡大防止及び失業率の増加・景気悪化の原因を新型コロナ問題の発生国・中国・WHOに責任をすり替えようとする発言が続き、中国への賠償金請求とWHOへの拠出金削減という手段で、中国・WHOに対する発言を強化、対中貿易戦争の再燃を醸し出している。さらに、国内の現状から目をそらすためか、香港・チベット問題(人権問題)を材料に対中強硬姿勢を演出、中国との「完全なデカップリング(切り離し)」発言があった。一方、中国全人代で香港への国家安全法導入を可決、中国政府は内政干渉として報復措置を示唆している。2次米中貿易戦争への警戒感が現実のものとなっている。「米国が英国と欧州連合(EU)製品に新たな関税検討」、「ドイツが対米報復関税措置の準備」などの報道もある。
 トランプ大統領が主導する自国第一主義に対して、マスクにみられるフランス・スペインの注文品の横取り合戦、インドとの交渉にみられるマラリアワクチン交渉(このワクチンの効能は否定されている)、・・・。最新の開発中のワクチンについても取り合いが始まっている。何故かトランプ大統領は効果不明なマラリアワクチンを感染拡大中のブラジルへ送ったようだ。世界に対してリーダーシップを取れない結果となった。ビルゲイツが主張するようにリーダーシップを発揮して最先端技術を使って治療薬・ワクチンを開発し、アフリカを含む発展途上国にこれらの薬を大量生産し配布し、人類を助ける努力をすることがいま必要である。シリア難民・アフリカ・ブラジルの感染拡大が報道され始めている。軍事力・経済力以上に人類のリーダーシップの在り方が問われている。
 ここにきて、経済活動の規制緩和の動きが加速している。治療薬・ワクチンの目途がついたこと、感染者数・死亡者数が一時期に比べ減少気味であること、医療崩壊のピークが過ぎたこと、マスク・医療機器・検査機器の生産が各国で進められたこと等があげられる。一方自由を求める人間の欲望とこれを規制する良心的な人との摩擦から殺人・傷害事件が多発している。さらに人種差別・所得格差の問題がクローズアップされてきた。宗教・人種・秩序とは何かが問われている。これらの差別・格差問題から国の崩壊が始まることは人類の歴史上に証明されている。帝国主義・資本主義・民主主義に限らず世界の枠組みが変わろうとしているのかもしれない。
 世界経済のリセッションが現実のものとなり、最悪な状況を避けるために各国中央銀行の資金供給が始まり各国政府も赤字国債の発行という流れとなっている。日銀・FRB等の中央銀行の努力に加え、追加予算編成・補助金の予算編成がやっと可決された。短期的な景気悪化を防ぐ材料は準備された。資金の振り分けはこれからで、我が国に限らず米国・欧州においても中小企業の資金繰り対応が急がれる。今回は金融機関由来の金融危機ではない。しかし、コロナをきっかけに金融危機に発展する可能性はないとは言えない。サービス業をはじめとする中小企業の救済と非正規雇用者の失業対策は急務である。
 本来の金融機関の役割・機能が試されようとしている。担保を基準とした貸付制度(担保主義)その審査等、銀行行政の難しさが露見している。一方で今後発生する不良債権問題に注目するエコノミストが増えている。いつか来た道『貸しはがし』が起きないように望みたい。
 一方、欧州の銀行では貸倒引当金の積み増しと決算対策の動き、および監督当局の猶予措置によるムーディ社・S&P社等の格付け機関対策を進めている。自国通貨及び外貨資金調達に関して資本市場の縮小は目前である。英国の中央銀行(BOE)は金融機関の資金調達の目途がついたと発言している。米国FRBは主要米銀のストレスチェックを実行した。日本はどうなのだろうか。円・ドル、ユーロ円、ポンド円の動きから見て円安の傾向はドル・ユーロ資金の調達に疑問符がついているのではないだろうか。
 一方、デルタ航空の報道・イタリア・フランス・インドの格付け報道、さらに日本のトヨタ・ホンダの格下げ報道にみられる格付け機関の暴走が始まっている。不思議にも米国・英国および米国企業に対する格付け報道は少ない。なぜなのか。過去、格付けの変更で資金調達が困難となり、企業倒産が多発した記憶がよみがえる。金融危機のきっかけとなった。
 これまでの金融経済理論では説明のつかない現実があり、その枠組み及び仕組みの再考が急がれる。格付け機関の国及び金融機関を含む企業の評価・金融機関の不良債権急増への対応・中小企業の倒産と失業率の増加・失業者の自殺問題(予想では7万人を超えるとの報道)・財政と国債の比率問題・産業構造の変化(サービス部門の従事者比率が過去と異なっている現実)・・・。お金 特に税金・企業の内部留保の再配分の問題が、人の生き死にと関連付けて議論され始めるであろう。各パーツ(ミクロ分析)の議論をマクロ理論に結びつける統合理論は存在しない。統計理論だけでは説明がつかない。ケインズは過去の理論なのだろうか。ここにきて実存主義を標榜したマルクスの考え方が再考され始めた。経済全体の枠組み・資本主義・民本主義(渋沢栄一)の再考が必要となるのであろうか。マスコミ・有識者が『人にやさしい社会の在り方』を議論し始めた。ブラックストーン・・・。
 一方、先進国である欧米が、世界全体でいると感染者数・死亡者数の大半を占めている。なぜこのようになったか。生活習慣(挨拶・靴を履いて室内で過ごす習慣:日本・スウェーデン等は違う)・食生活・硬水を基準とする衛生的な水の問題・土葬を中心とした埋葬の在り方・漢方薬・民間療法の効能・漬物にみられる乳酸菌の効能・うがいの意味等・・、アジア地区と欧米の比較がされておかしくない。欧米の習慣・基準がすべてではない。ましてや、コロナウイルスの正体がわからない状況で、その発生源・国がどこかを議論しても意味がない。死人が毎日出ている。日本では、アビガンの認定がまた先送りされた。『丸山ワクチン』と同じ現象か。
 マスコミは世界恐慌時の英国とアメリカとの『覇権争い』との比較、その後のソ連との冷戦時の覇権争いを引き合いに、中国と比較しながらも、覇権国の無い無法時代を予見する報道まで出ている。資本主義対社会主義といった懐かしい『イデオロギー』についての議論が出ている。一方、米国のレーダー砲の実験成功報道、さらに核実験の報道、ロシアの核爆弾の更新並びに超高速ミサイル開発、ステルス爆撃機製造報道にみられる運備拡張競争は軍国主義の再来である。さらに宇宙軍・・・。帝国主義的な米国の権威失墜は今後大きく取り上げられるであろう。
 また、サウジアラビア・ロシア・アラブ首長国連邦の増産体制による原油価格の下落は、トランプ大統領の再選を拒否する動きとみることもできる。逆オイルショックとみることもできる。米国シェール産業の倒産が多発している。現在30ドル台となっている。米国・英国主導のWTIの価格決定の能力並びにその方法に疑問符がついている。米国の原油在庫とOPECプラスの減産状況との綱引きを基準として、中国等の消費動向に価格が左右されている。一方、ドル以外の通貨による決済が広まっている。このことは、米国ドルの基軸通貨としての機能について問題提起されているとみることもできる。
 石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟産油国で構成する「OPECプラス」は7月末までの協調減産で合意し、共同閣僚監視委員会(JMMC)で違反したイラクの減産順守、ロシアの減産順守が確認された。一方、米国の原油増産がガソリン在庫の積み増しで確認されている。足もとでは原油大幅安への警戒感は緩んでいるが、コロナショックなどでエネルギー需要の不透明感が高まっており、原油相場の動きには引き続き警戒が必要である。
 一方、中国・日本を中心としたアジア地区での経済活動の復活は比較的早まる気配である。サプライチェーンの本質の議論に始まり、米国・中国の相関関係が議論されている。今後も引き続き原油問題も含め責任転嫁戦略・発言がどのような展開となるか注目しておこう。また、実体経済とかけ離れたバブル状態の株価はやや調整されたが、さらに注意が必要だ。
 

今週の主な予定

28日(日)
  中国工業利益 (5月)
  中国全人代常務委員会 (30日まで)

29日(月)
  米中古住宅販売制約指数(5月)

30日(火)
  日本雇用統計(5月)
  中国製造業PMI(6月)
  米消費者信頼感指数(6月)
  米20都市住宅価格指数(4月)
  NY連銀総裁、オンライン講演
  パウエルFRB議長、ムニューシン米財務長官 コロナ対策について下院金融委員会で証言

1日(水)
  日銀短観(第四半期)
  中国財新製造業PMI(6月)
  米自動車販売(6月)
  米ADP雇用者数(6月)
  米ISM製造業景気指数(6月)
  米FOMC議事録(6月9-10日開催分)

2日(木)
  米雇用統計(6月)
  米貿易収支(5月)
  米製造業受注(5月)
  米新規失業保険申請件数(27日までの週)

3日(金)
  中国財新サービス業PMI(6月)
  米市場、独立記念日振替休日のため休場


2020年06月29日更新


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