為替レポート

10月04日~10月08日週

【為替の動向】
ドル/円(24時間)
10/04(月)10/05(火)10/06(水)10/07(木)10/08(金)
OPEN110.936110.912111.487111.418111.619
HIGH111.301111.560111.789111.650112.252
LOW110.819110.863111.194111.221111.508
CLOSE110.897111.487111.413111.621112.238

先週のドル円レンジ:110.82円~112.25円

10月05日 IMM通貨(円)先物動向
円:63694枚の売り越し 前週比1066枚の売り超減

 先週は、日本を除き、先進主要国のワクチンの接種が進まず、接種終了者のブレークスルー感染が話題になり、接種者の無症状感染による集団感染の報道がされ始めた。感染者数に注目が集まっていたが、いまは死亡者数に話題が移っている。ワクチンが治療薬でなく重症化リスクを少なくする効果、死亡者を減少させる効果があることが確認された。ワクチン接種による感染拡大防止効果への期待が縮小、治療薬の開発と治験の結果待ちとなっている。日本の製薬会社(塩野義製薬等)がらみの報道があった。
 米国では、コロナによる感染者・死亡者がやや減少したとの報道があった。一日当たりの死亡者数が2000人台から1700人程度に減少しに過ぎないが、市場は大きくとらえている。バイデン政権は、ワクチン接種の義務化、接種証明・陰性証明の提示、マスク着用義務化等コロナ対策の推進に舵を切っている。世界最大の犠牲者数を更新していることに変わりはない。
 市場はコロナ問題から生じる人・物・金の需給不均衡に目をそらすように、米国経済の復活期待が強くその材料を探している。一方でテーパリング報道にみられるインフレ対策に注目している。米国のバイデン政権の予算関連の議会運営にみられる民主・共和党の対立(国内の分断状況)と今後の政権運営の不透明には関心を持っていない。楽観視しているのだろう。今週は、中国が国慶節で7日まで休場であったこともあり、中国恒大集団のデフォルト問題は棚上げされた。次の山場が10月15日との報道もある。OPECプラスの減産継続決定報道もあり原油価格の高騰(80ドル)、さらに天然ガスの高値維持、中国を中心としたサプライチェーンの目詰まり、各国の湾岸でのタンカーの滞留がコンテナの不足に及び、物流コストの上昇が現実となっている。インフレの種は尽きない。9月30日の報道通りに10月7日、期限を迎える連邦債務上限問題は、12月3日までの暫定予算案を成立させ先送りとした。今週の最大イベント10月8日の9月雇用統計で非農業部門雇用者数は、市場予想を大幅に下回る前月比+19.4万人(市場予想の50万人増)にとどまったが、「新型コロナの感染状況が小康状態となり、失業保険給付の特例が失効する中、雇用は今後数カ月で持ち直す可能性がある」との評価で終わった。「米就業者数は依然、コロナ禍前の2020年2月のピークを500万人下回っている。9月の失業率は4.8%と、8月の5.2%から改善し、18カ月ぶりの低水準となった。職探しを断念する動きも低下の一因となっている。」(ロイター)米国債は1.624%と高止まり、米連邦準備制度理事会(FRB)は年内に量的緩和策の段階的な縮小に着手するとの市場の見方は変わらずとの評価だった。
 民主党による企業と富裕層を対象とする2兆1000億ドル(約230兆円)の増税措置報道(議会運営問題~共和党・民主党の対立)・アフガン撤退問題の不評、ハイチ難民への対応等もあり、バイデン大統領の支持率が急低下(43%)。国連・クアッド等の演説もあったが、アフガン撤退(アメリカ第一主義との非難)を機に、米国主導の世界覇権の意義が大きく問われ始めた。米中対立構造は、サプライチェーン・経済規模に関わる経済・政治(民主主義対権威主義)・宇宙開発・IT(6G)・環境問題・人権問題等多義にわたる。その背景となる軍事力について、米軍対中国軍の武器装備(米国既存空母の老朽化)に対して、9月28日中国が開発した最新兵器などを展示する博覧会でその成果を公表した。相対的にドル安要因となっている。
 一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は9月21-22日に連邦公開市場委員会(FOMC)の会合を開催し、「量的緩和の縮小に着手することが近く正当化される公算が大きい」とテーパリングに言及、パウエル議長は9月28日の上院銀行委員会で「この影響は予想より大きい上に長く続いているが、やがて弱まるだろう。それに伴い、インフレ率は当局の長期目標である2%に向け鈍化すると予想される」と指摘した。さらに「インフレの高止まりが深刻な懸念材料になった場合、われわれはインフレが確実に目標と合致する水準になるよう対処し、そのための手段を活用するだろう」と述べた。金利に注目するドル買い材料となった。
 一方、9月30日の議会で、1兆ドル規模のインフラ投資法案と3兆5000億ドルの気候変動対策・社会保障関連歳出案について民主党の進歩派と穏健派の立場の違いが鮮明となっており、バイデン政権の主要な政策目標が頓挫するリスクが浮上、民主党内の進歩派と穏健派は約4兆ドルの財政支出の内容について意見が対立、ホワイトハウスのサキ報道官は「危うい状況で、重要な時期に来ているのは明白だ」との見方を示した。予算関連の議会運営の問題は、ドル高抑制となっている。
 日本では、コロナによる感染者・死亡者の急減が報道され、10月4日岸田政権が成立。衆議院解散を表明、31日選挙となり、選挙モードに入った。政治空白との評価がある。コロナによる、感染者が減少しているが、その原因がワクチン効果以外に何であるか明確に検証されておらず、円高材料となっていない。
 9月13日、北朝鮮の新型長距離巡航ミサイルの発射実験成功報道、同月15日、北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを2発発射報道があり、今回のミサイルの軌道が現状のレーダーシステムでは捉え難く、既存のミサイル防衛構想(イージス艦・イージスアショア・PAC3)では防御できないことが軍事専門家から指摘されている。さらに、9月28日超音速ミサイルの発射実験があった。日本のミサイル防衛に警鐘がともっている。背景に敗戦国日本主体の防衛軍備開発がいまだに米国から許可されていないことがある。地政学リスクもあるが国際社会における戦後日本の相対的地位の評価であり、円安材料となっている。
 世界の警察を放棄し国際協調路線に変更した米国政権にとって北朝鮮問題はイラン問題と同様に、米国から見て一部の極東・中東の問題に過ぎないとの見方がある。戦後の朝鮮戦争の失策からなるべく関与せず、日本・韓国・中国を巻き込んだ問題として処理したいようだ。今後議論されるであろう。
 市場では、デルタ株による感染再拡大で景気回復への不安があるものの、封鎖措置のような極端な経済減速を引き起こす政策は講じられず、ある程度、堅調な消費は維持されるとの楽観論が優位となっていたが、これに警鐘を鳴らす動きが見られた。サービス業の産業構造の構成比率が高く、経済復活のシナリオに疑問符が付き始めた。
 世界経済は、各国中央銀行の金融緩和・政府の補助金等の政策で企業倒産を食い止めており、完全失業者をそれほど出さず、自殺者の急増を防いでいる。その中で、コロナによる犠牲者を乗り越え、製造業中心に経済活動が回復している。一方で人件費の高騰が報道されている。中国・アジア地区中心のサプライチェーンに亀裂が生じ、物流の根本が揺らぎ始めている。気候変動の影響か、ドイツ・中国の河川反乱の後遺症もあり、運輸コスト(海運・陸運トラック運転手不足)・原油価格高止まりもあり先進国の物価上昇の原因となっている。
 順調に回復しているとされる米国経済も過去2番目の貿易赤字の拡大、さらに財政赤字(3兆ドル)双子の赤字問題がある。米国予算議会審議は、米上院が5500億ドル規模のインフラ包括法案を可決し、3兆5000億ドル規模の予算決議を承認した。一歩先に進んだが、連邦債務上限に関しては、12月3日まで先送りとなった。さらに、9月15日、米下院歳入委員会は、主に企業と富裕層を対象とする2兆1000億ドル(約230兆円)の増税措置を賛成多数で可決した。共和党の抵抗で正式な予算成立とはなっていない。
 国際輸送(コンテナ)の混迷もありインフレの種が山積している。コロナの影響もあり特に物流の麻痺がサプライチェーンの問題として報道されている。この前提状況・実態をよそに、欧米各国のテーパリングに話題が移っているようだ。米中政治対立が根本にあり、経済が以前のように戻るとの楽観論が先行しているが中国の内政的な経済問題が今後世界経済に波及するかのシナリオが描けていない。
 イラン・イスラエル等の中東情勢で、大きな動きはなかったが、アフガニスタンでは、やっと、国連の資金援助の方向性が示唆され、タリバン政権のメンバーが報道されているが、アフガ二スタン独特の民族問題・イスラム原理主義の実態が他のイスラム教を主軸とする他国(イラン・サウジアラビア等)と異なっており、政権公認とはなっていない。一方で難民・女性差別もあり今後も注意が必要である。女性蔑視問題で友好国のパキスタンがタリバンに苦言を呈したとの報道があった。タリバンは、米軍の残した最新兵器を取得、これを使ってISの主要基地を攻撃、軍事的な制圧となっているが生活物資の不足・物価上昇等国家としての体をなしていない。国連による非難声明があった。
 一方、アフガニスタンは地下資源の宝庫(金・銅・リチウム)と言われており、ロシア・中国・ドイツ等の諸国が虎視眈々と狙っている。米軍の犠牲者・経費問題を別として、人権主導を標榜してアフガニスタン撤退を決行したが建前とは別に本質的な米国の国益を放棄したとの評価も出ている。国境線近くで中国とロシアとの共同軍事演習が行われ、地政学上のリスク?が浮上している。米国の発言力の弱体化の表れであろうか。イラクの国内情勢にも不安定要素があり、米軍イラク撤退の報道もある。国境沿いには数万人の難民が押し寄せている。難民放置の現状に対し、米国政権に非難が集中している。米国とタリバンとの交渉が10月9日~10日に行われるようだ。
 先進国を巻き込んだ米国主導の国際協調のバランスの在り方に疑問符が付いており、本来国際紛争解決の基軸である『国連』機能が麻痺、ドル高が容易に進まない理由がここにある。
 さらに従来の株式資本主義に対する議論が始まっている。米国による中国企業の制裁が始まり、一方、中国政府による自国企業の引き締めが始まり、これまで海外で調達した資金の流出を防ぐ動きが加速している。
 世界最大の新型コロナウイルス感染国米国(10月08日時点で感染者数4438万9135人、死亡者数71万5184人)となっている。WTI原油先物は、79.590ドル台となり、ドルインデックスは94.1051、円ドルは112.24円で取引を終えた。

今週の予想

今週のドル円予想レンジ:109.00円~113.00円
ピボット分析(日足ベース):111.34円~112.82円


今週の主な予定

11日(月)
  IMF世銀年次総会(17日まで)
  国際金融協会(IIF)年次会合(15日まで)
  コロンブスデー祝日のため米債券市場は休場

12日(火)
  ドイツZEW景況感指数(10月)
  米求人件数(8月)
  IMF世界経済見通し
  G20貿易相会合

13日(水)
  中国貿易統計(9月)
  米消費者物価指数(9月)
  米FOMC議事録(9月21日-22日開催分)
  G20財務相中央銀行総裁会議
  OPEC月報

14日(木)
  臨時国会会期末、衆院解散(衆院選19日公示、31日投開票)
  中国消費者物価指数・生産者物価指数(9月)
  米生産者物価指数(9月)

15日(金)
  米小売売上高(9月)
  NY連銀製造業景気指数(10月)
  米ミシガン大学消費者信頼感指数(10月)


2021年10月11日更新


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