為替レポート

11月15日~11月19日週

【為替の動向】
ドル/円(24時間)
11/15(月)11/16(火)11/17(水)11/18(木)11/19(金)
OPEN113.836114.102114.820114.109114.253
HIGH114.217114.847114.968114.485114.539
LOW113.748114.084113.929113.874113.580
CLOSE114.102114.810114.111114.237114.031

先週のドル円レンジ:113.58円~114.97円

11月16日 IMM通貨(円)先物動向
円:93126枚の売り越し 前週比12225枚の売り減

 先週は、日本のコロナ感染者・死亡者が急減、一方で欧米諸国のコロナ感染者がパンデミック当時ではないが増加傾向になっている。ついに、オーストリアは22日から再び全国的な都市封鎖(ロックダウン)に入ることになり、ドイツも検討に入った。オランダでは、規制強化に対する暴動が起きている。経済停滞(収入減少)・物価上昇による不満が原因だろう。市場は、一時期のパンデミックと比べ感染者・死亡者数が激減して小康状態となっていること、ワクチン接種が進んでいることもあり、コロナ問題から生じる人・物・金の需給不均衡に目をそらすように、米国経済の復活期待が強くその材料を探している。
 金利に着目した、テーパリング報道にみられるインフレ対策に注目、利上げ観測が台頭した。しかし、インフレの原因である原油価格上昇・鉱物資源価格の高騰・半導体・小麦等の食料品の輸送費上昇(船舶による輸送問題の解消がなされず)等の供給体制が復活してないこと等現実の経済状況と市場関係者の思惑にミスマッチが生じている。インフレ対策としてのテーパリング解消と利上げへの思惑が先行している。
 基本的に今回のコロナ対策は人・物・金の企業倒産を防ぎ、連鎖的な世界恐慌を防ぐ目的で施工された政策であることを忘れている。
 原油価格上昇は、ロシアを含めたOPECプラスの原油産出国が価格主導権を維持する結果生じたものであり、石炭・希少金属の産出国並びに利権を有する企業の価格形成力の支配競争の結果である。ヘッジファンドを含めた価格形成が米国に集中した結果ともいえる。そこには、指導者が存在せず、世界経済を視野に入れた秩序はない。
 物流問題は、採算コストを重視・確保するため船舶保有会社が、米国・中国間の輸送に、保有する船舶を、米国カリフォルニア沿岸に集中させている。一方で陸上運送の停滞については、コロナ患者急増、大型トラックの運転手確保が遅れ、さらに、バイゼン政権のワクチン接種義務化への反発もある。さらに湾岸停滞の解消のための中国製の大型港湾輸送機器の補充ができてないことが原因と言われている。このことが原因で、世界中のコンテナ・輸送船舶確保ができていないことが、食料品を含めた物流コスト上昇の大きな要因となっている。
 さらに、半導体等の精密機器については、コロナの影響、気候変動による大雨によりインフラの道路整備の遅れで、タイ・ベトナムを中心とした東南アジアの中級品の半導体生産が遅れており、さらに米中の対立で上級品の生産国である台湾での生産が抑制されているため、携帯電話等の生産に支障が生じている。中級品の補給の遅れ、物流問題が自動車を含めた生産に大きく影響して経済の足かせとなっている。さらに中国の生産調整も影響しているようである。
 単純にサプライチェーンの問題と一般的なインフレの原因が、米・中国間の対立と表面的にとらえることはできない。一方で、これらの原因解消のための分析・対策議論がなく、統合的な本来のマクロ分析ができておらず、ミクロ・マクロ経済学の統合理論の形成がままならない。インフレの解決策とされる、単純な利上げが市場関係者の主眼となっている。ある意味で政治的な解決策が待たれる。理論武装もなく、指導者のいない無政府状態が現状であろう。
 11月6日米下院は、1兆ドル規模のインフラ投資法案を可決し、15日正式に可決され、大型予算の第一歩を踏み出した。もう一つの柱である1兆7500億ドル規模の気候変動・社会保障関連歳出法案は先送りとなっており、下院による採決が行われたが先行きは見えない。
 16日午前、バイデン米大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は、オンライン形式による首脳協議を開いた。台湾や人権など幅広い問題で対立する両国が、偶発的な衝突に発展しないよう首脳による対話を維持する。(ロイター)さらにバイデン氏は「すべての国が同じルールに従わなければならないと信じている。米国は常に自分たちの利益と価値、同盟国やパートナーの利益のために立ち上がる」と表明。「人権や経済、自由で開かれたインド太平洋を確保するために懸念している分野についても議論したい」と訴えた。一方、習氏は冒頭で「きょうは初めてのオンライン協議だ。古い友人に会えてとてもうれしい」と笑顔をみせた。さらに「中米は2つの経済大国および国連安全保障理事会の常任理事国として、意思疎通と協力を強め、お互いの国内の事柄をうまく処理するだけでなく、国際的責任も引き受けるべきだ」と語った。(ロイター)軍事力・経済力双方の中国の存在を認めることになった。直接の軍事衝突を避ける内容となった。第2次大戦後のソ連・米国の関係と同じである。人権問題を議題の中心に据えることはできなかった。ロシア・中国にとって、人権問題は国家存立の基準の違いとして、国家統一の手段に対して内政干渉として拒否することになった。民主主義・共産主義というイデオロギーの対立以前の問題であろう。
 中国恒大集団がデフォルトせず、個人資産の売却、企業分割・転売による資金調達によりドル建て債券の利払いを行ったとの報道もある一方、中国国営企業による資金提供の報道もあった。一方で、中堅不動産会社、新力控股(シニック・ホールディングス)等のデフォルトを放置する一方、期日を過ぎてのアリババによる買収等、国有企業、中国の優良企業からの資金提供を受ける形で影響を最小限にする施策が行われているようだ。
 サプライチェーンの実態が明らかになり欧米を中心としたテーパリング・利上げの議論(インフレ対策)とグローバルな発展途上国の内政問題が絡んで、これまでの金融理論では問題解決ができない。さらに環境問題が、地球温暖化と絡めて議論され、COP26では、石炭を燃料とする火力発電を禁止する声明が出された。中国・インドは「先進国の植民地時代の押し付け外交と同じではないかと・・・」と反発、その宣言は先送りとなり、議長国のイギリスが恥をかくこととなった。
 クジラ捕獲(食用・油として)・絶滅危惧種帆保護にみられる、大航海時代に始まり19世紀にかけて欧米の先進国が過度の捕獲・毛皮の消費の結果、生態系を破壊、これを修正するために鳥獣保護法を成立させその基準としてきた歴史がある。同様に産業革命以降、機械・化学技術の発展があったが、石炭・石油による船舶・列車・飛行機の燃料、工場運営の原料として多くの有害物質を排出、2度に及ぶ世界大戦があり、化石燃料・鉄鉱石の取り合いから資源国の植民地化が進んだ。その結果、地球の自浄機能(バランス)を破壊し、極端な気候変動が起きるまでCO2の排出が進んだ。植民地支配から独立した国は、豊かさを求め近代化を進めることになり、同様にCO2の排出に歯止めがかからない状況にある。自らの失敗を修正するために環境問題が議論されているが、根本的な起源についてその責任について負おうとはしていない。資本主義・株式資本主義の起源が同時期にあり、同様の対応から始まったことを忘れてはならない。
 民主党による企業と富裕層を対象とする2兆1000億ドル(約230兆円)の増税措置報道(議会運営問題~共和党・民主党の対立)・アフガン撤退以降の米国の対応、ハイチ難民への対応等もあり、バイデン大統領の支持率が急低下(42%)。国連・クアッド等の演説もあったが、アフガン撤退(アメリカ第一主義との非難)を機に、米国主導の世界覇権の意義が大きく問われ始めた。米中対立構造は、サプライチェーン・経済規模に関わる経済・政治(民主主義対権威主義)・宇宙開発・IT(6G)・環境問題・人権問題等多義にわたる。その背景となる軍事力について、米軍対中国軍の武器装備(米国既存空母の老朽化)に対して、9月28日中国が開発した最新兵器などを展示する博覧会でその成果を公表。ロシア・中国共同の艦艇の津軽海峡通過があった。相対的にドル安要因となっている。
 日本では、コロナによる感染者・死亡者の急減が報道され、衆議院選挙は立憲民主党の議員数の減少と自民党の議員数が減少するも過半数維持という結果となった。コロナによる、感染者が減少しているが、その原因がワクチン効果以外に何であるか明確に検証されておらず、円高材料となっていない。
 9月13日、北朝鮮の新型長距離巡航ミサイルの発射実験成功報道、同月15日、北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを2発発射報道、9月28日超音速ミサイルの発射実験、10月19日には、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射。 日本のミサイル防衛に警鐘がともっている。背景に敗戦国日本主体の防衛軍備開発がいまだに米国から許可されていないことがある。地政学リスクもあるが国際社会における戦後日本の相対的地位の評価であり、円安材料となっている。
 世界の警察を放棄し国際協調路線に変更した米国政権にとって北朝鮮問題はイラン問題と同様に、米国から見て一部の極東・中東の問題に過ぎないとの見方がある。戦後の朝鮮戦争の失策からなるべく関与せず、日本・韓国・中国を巻き込んだ問題として処理したいようだ。10月21日、国連安保理緊急会合の制裁決議は、ロシア・中国の否決で成立していない。今後議論されるであろう。
 市場では、デルタ株による感染再拡大で景気回復への不安があるものの、封鎖措置のような極端な経済減速を引き起こす政策は講じられず、ある程度、堅調な消費は維持されるとの楽観論が優位となっていたが、これに警鐘を鳴らす動きが見られた。サービス業の産業構造の構成比率が高く、経済復活のシナリオに疑問符が付き始めた。感染による死亡者があまりに多く、求人と経験者・技能取得者のミスマッチが生じている。
 11月5日、米労働省が発表した10月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月より53万1000人増加した。予想されていた以上の増加幅となり、第4・四半期の初めに経済活動が勢いを取り戻したことをより鮮明に示した。感染力が強い新型コロナのデルタ変異株による感染拡大や、経済全般での商品不足が響いて第3・四半期の経済成長が1年超ぶりに鈍化した後、消費者信頼感やサービス部門の活動がともに上昇していることを映し出した。10月の失業率は4.6%と、9月の4.8%から改善した。企業の求人が非常に強い一方で、引き続き数百万人が失業しており、労働力となっていない。10月は10万4000人が労働市場に参入したにもかかわらず、労働参加率は61.6%と前月から横ばい。労働参加率は20年6月以降、61.4─61.7%の狭い範囲内にとどまっている。27週以上連続で失業している人の数は35万7000人減の230万人。公式に失業していると見なされている人(74万人)の31.6%に相当した。(ロイター)
 世界経済は、各国中央銀行の金融緩和・政府の補助金等の政策で企業倒産を食い止めており、完全失業者をそれほど出さず、自殺者の急増を防いでいる。その中で、コロナによる犠牲者を乗り越え、製造業中心に経済活動が回復している。一方で人件費の高騰が報道されている。中国・アジア地区中心のサプライチェーンに亀裂が生じ、物流の根本が揺らぎ始めている。気候変動の影響か、ドイツ・中国の河川反乱の後遺症もあり、運輸コスト(海運・陸運トラック運転手不足)・原油価格高止まりもあり先進国の物価上昇の原因となっている。
 順調に回復しているとされる米国経済も過去2番目の貿易赤字の拡大、さらに財政赤字(3兆ドル)双子の赤字問題がある。特に、米中政治対立が根本にあり、経済が以前のように戻るとの楽観論が先行しているが中国の内政的な経済問題が今後世界経済に波及するかのシナリオが描けていない。
 この前提状況・実態をよそに、欧米各国のテーパリングに話題が移っている。金利差に着目した取引が主体となっている。
 イラン・イスラエル等の中東情勢で、大きな動きはなかったが、アフガニスタンでは、やっと、国連の資金援助の方向性が示唆され、タリバン政権のメンバーが報道されているが、米国の経済制裁は継続している。アフガ二スタン独特の民族問題・イスラム原理主義の実態が他のイスラム教を主軸とする他国(イラン・サウジアラビア等)と異なっており、政権公認とはなっていない。一方で難民・女性差別もあり今後も注意が必要である。女性蔑視問題で友好国のパキスタンがタリバンに苦言を呈したとの報道があった。タリバンは、米軍の残した最新兵器を取得、これを使ってISの主要基地を攻撃、軍事的な制圧となっているが生活物資の不足・物価上昇等国家としての体をなしていない。国連による非難声明があった。
 一方、アフガニスタンは地下資源の宝庫(金・銅・リチウム)と言われており、ロシア・中国・ドイツ等の諸国が虎視眈々と狙っている。米軍の犠牲者・経費問題を別として、人権主導を標榜してアフガニスタン撤退を決行したが建前とは別に本質的な米国の国益を放棄したとの評価も出ている。国境線近くで中国とロシアとの共同軍事演習が行われ、地政学上のリスク?が浮上している。米国の発言力の弱体化の表れであろうか。イラクの国内情勢にも不安定要素があり、米軍イラク撤退の報道もある。
 先進国を巻き込んだ米国主導の国際協調のバランスの在り方に疑問符が付いており、本来国際紛争解決の基軸である『国連』機能が麻痺、ドル高が容易に進まない理由がここにある。
 さらに従来の株式資本主義に対する議論が始まっている。米国による中国企業の制裁が始まり、一方、中国政府による自国企業の引き締めが始まり、アリババにみられるように、これまで海外で調達した資金の流出を防ぐ動きが加速している。
 世界最大の新型コロナウイルス感染国米国(11月18日時点で感染者数4759万0165人、死亡者数77万3442人)となっている。WTI原油先物は、75.690ドル台となり、ドルインデックスは96.0705、円ドルは114.031円で取引を終えた。

今週の予想

今週のドル円予想レンジ:112.00円~115.00円
ピボット分析(日足ベース):113.08円~115.00円


今週の主な予定

22日(月)
  中国最優遇貸出金利(ローンプライムレート)
  ユーロ圏消費者信頼感指数(11月)
  米中古住宅販売件数(10月)

23日(火)
  勤労感謝の日祝日のため東京市場は休場
  英国製造業PMI速報値(11月)
  ドイツ製造業PMI速報値(11月)
  ユーロ圏製造業PMI速報値(11月)
  米国製造業PMI速報値(11月)

24日(水)
  ドイツIFO景況感指数(11月)
  米GDP改定値(第3四半期)
  米個人所得支出(10月)
  米FOMC議事録(11月2日-3日開催分)

25日(木)
  ドイツGFK消費者信頼感(12月)
  ECB議事録
  感謝祭祝日のため米株式・債券市場は休場

26日(金)
  感謝祭翌日の金曜日「ブラックフライデー」のため米株式・債券市場は短縮取引


2021年11月22日更新


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