為替レポート
12月27日~01月07日週
【為替の動向】ドル/円(24時間)
12/27(月) | 12/28(火) | 12/29(水) | 12/30(木) | 12/31(金) | |
OPEN | 114.276 | 114.878 | 114.728 | 114.840 | 115.056 |
HIGH | 114.914 | 114.950 | 115.037 | 115.211 | 115.200 |
LOW | 114.276 | 114.700 | 114.663 | 114.840 | 114.975 |
CLOSE | 114.884 | 114.813 | 114.963 | 115.053 | 115.103 |
01/03(月) | 01/04(火) | 01/05(水) | 01/06(木) | 01/07(金) | |
OPEN | 115.0110 | 115.3180 | 116.1420 | 116.1070 | 115.8010 |
HIGH | 115.3650 | 116.3520 | 116.2430 | 116.1900 | 116.0510 |
LOW | 114.9380 | 115.2740 | 115.6100 | 115.6200 | 115.5020 |
CLOSE | 115.3290 | 116.1250 | 116.0750 | 115.8100 | 115.5330 |
先週のドル円レンジ:114.93円~116.35円
01月04日 IMM通貨(円)先物動向
円:62262枚の売り越し 前週比9160枚の売り増
先先週は、欧米市場のクリスマス休暇が終わり、米国の利上げ観測が先行、金利に着目した取引となり、やや円安が進み115円台となった。先週は、週初欧米でオミクロン株の患者が急増するも、重傷者が少なく軽症者・無症状者大半との報道があり、経済への影響が懸念する程ではないとの判断があり、インフレ(金利差)に着目した取引が主体となった。4日時点で116円台を付ける場面があり、5日北朝鮮がミサイル発射の報道を受け115円半ばを底値にする取引となった。6日コロナ感染者急増、医療切迫の現状が報道され、米国FRBの議事録でテーパリング早期解消および利上げの意見が報道されると、これまでのインフレ対応に警鐘がともり、株式の下落および債権の下落(利回り上昇)となり方向転換。さらに7日の米国雇用統計は、失業率3.9%に低下するも、完全失業を希望する者が急増もあり、12月の非農業部門雇用者数は19.9万人増、予想の半分にも届かず、健常者が少なく、平均時給は前月比0.6%増、前年同月比4.7%増となった。報道では、「労働市場のタイトな状況をうかがわせ、早ければ3月の米利上げを後押しする可能性がある」(ブルームバーグ)としている。米国経済の復活を楽観した観測のようだ。
日本のコロナ感染者・死亡者が急減、一方で欧米諸国のコロナ感染者がパンデミック当時ではないが増加傾向になっている。米国では、一日100万人を超える感染者である一方、1千人を超える死亡者が出ている。英国では07日時点で、17万9334人の感染者が報告され、フランスで一日平均19万8200人の感染者が出ており、新種のオミクロン株との関連もあり、経済停滞の材料となっている。
これまで、市場は、一時期のパンデミックと比べ感染者は増えているものの死亡者数が多くなく小康状態となっていること、感染者の大半が軽症者・無症状者であることによりこれまでの体制で乗り越えられるとの判断があり、ワクチン接種追加接種報道、治療薬の開発が進み緊急使用許可報道もあり、コロナ問題から生じる人・物・金の需給不均衡に目をそらすように、米国経済の復活期待が強くその材料を探してきた。
事実、各国政府・中央銀行の資金供給もあり経済指数上では改善がみられてきたが、一方で、レアメタル・原油価格等の上昇、政治的な米中対立に起因するサプライチェーンの目詰まり、特に半導体の供給不足が生じ、さらに米国内のコロナの影響で運転手・特殊技能者不足・運輸会社の輸送コスト調整もあり、米国の港湾にコンテナ船が集中、米国を起因とする物流の混乱が世界中の物流価格の上昇を引き起こし、世界中の物価上昇が現実のものとなってしまった。
欧米で、コロナ患者数が急増する中、市場の期待するインフレ対策として各国中央銀行がテーパリング終了の時期と公定歩合の引き上げ回数の決定が報道され景気回復期待感が強く、金融緩和修正へのかじ取りに安心感が主流となっている。
しかし、利上げ等の対策で世界経済の悪影響については議論されていない。さらに、『オミクロン株』の拡散による世界経済の減速の可能性もあり、金融政策の方向転換の意義を、今後注意しておく必要がある。
21年12月15日国際通貨基金(IMF)は、世界の債務が2020年に226兆ドル(約2京5800兆円)と過去最大に膨れ上がり、金利上昇の中でその持続可能性を巡り懸念が高まりつつあると指摘した。予想より速いペースでの利上げは債務負担の重い国・地域に圧力となり、政府や企業に債務と支出の削減を強いて、経済成長を阻害しかねないと分析した。IMFの担当者は「世界で金利が予想より速いペースで上昇し成長が低迷すれば、リスクは拡大する。公的部門と民間部門が同時にレバレッジ解消を迫られた場合、成長の見通しは暗くなる」と警告した。(ブルーンバーグ)
ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズの米国株戦略責任者、クリストファー・ハーベイ氏は「この先、悪化し得る要素が多い」と語る。同社は来年夏までに米国株が10%前後下落する可能性が増してきたとみている。米企業が今年、利益率の改善基調を維持できたのは経費を節減するとともに、販売価格引き上げで顧客にコストを転嫁できたからだった。だが、足元の幾つかのリスクが来年の米企業利益見通しや実績にどれだけ影響を及ぼすかは、まだよく分からない。ジ・アーニングズ・スカウトのニック・レイチ最高経営責任者(CEO)は「12月になって利益見通しは上振れている。つまりオミクロン株は、今の段階で見通しに織り込まれてさえいない」と指摘した。(ロイター21年12月22日)
インフレの原因である原油価格上昇・鉱物資源価格の高騰・半導体・小麦等の食料品の輸送費上昇(船舶による輸送問題の解消がなされず)等の供給体制が復活してないこと等現実の経済状況と市場関係者の思惑にミスマッチが生じている。
基本的に今回のコロナ対策は人・物・金の企業倒産を防ぎ、連鎖的な世界恐慌を防ぐ目的で施工された政策であることを忘れている。大企業は別にして、大半の中小企業は、補助金があるものの、経営維持のため金融機関等からの負債で維持しており、コロナ危機が収まって通常の経営・営業ができるまで負債は残ったままであり、さらに維持費用は継続する。経済が急回復でない限り企業倒産・失業者が発生するのはこれからであることを過去の歴史から学ぶべきである。
世界各国が自国中心主義に染まり、利上げが、恐慌の引き金となった歴史の繰り返しが懸念される。欧米では、企業努力というより一定利益を確保することが企業存続の基準であり、単純に商品の価格を上げることでコストを転嫁してきた。その結果物価上昇となっている。価格転嫁に対する認識と競争に関して、日本の企業と大きく違う点である。企業文化で利益第一主義の欧米とものの考え方が違っている。利益を圧縮してでも顧客(消費者)を重視する日本の企業がその姿であり、利益率で欧米と基準が異なっているのが現実である。雇用に対する対応も同様である。
22年01月04日、石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国でつくる「OPECプラス」は、協調減産幅を毎月日量40万バレルずつ縮小するという現行の計画を2月も維持することで合意した。世界経済の行方に配慮した判断のようだ。
一方、輸送問題が残っており、その解決策が米国の国内事情にある。これを解消する対応が『オミクロン株』の拡散で遅れる可能性が高くなっている。
原油価格上昇は、ロシアを含めたOPECプラスの原油産出国が価格主導権を維持する結果生じたものであり、石炭・希少金属の産出国並びに利権を有する企業の価格形成力の支配競争の結果である。ヘッジファンドを含めた価格形成が米国に集中した結果ともいえる。そこには、指導者が存在せず、世界経済を視野に入れた秩序はない。 リビア、ナイジェリアの内政問題が原因で、原油生産の遅れから、一時WTIで80ドルを付ける場面があった。
物流問題は、採算コストを重視・確保するため船舶保有会社が、米国・中国間の輸送に、保有する船舶を、米国カリフォルニア沿岸に集中させている。一方で陸上運送の停滞については、コロナ患者急増、大型トラックの運転手確保が遅れ、さらに、バイゼン政権のワクチン接種義務化への反発もある。さらに湾岸停滞の解消のための中国製の大型港湾輸送機器の補充ができてないことが原因と言われている。このことが原因で、世界中のコンテナ・輸送船舶確保ができていないことが、食料品を含めた物流コスト上昇の大きな要因となっている。バルチック指数をみるとやや改善されてはいるが今後も継続するとの報道が多い。
さらに、半導体等の精密機器については、コロナの影響、気候変動による大雨によりインフラの道路整備の遅れで、タイ・ベトナムを中心とした東南アジアの中級品の半導体生産が遅れており、さらに米中の対立で上級品の生産国である台湾での生産が抑制されているため、携帯電話等の生産に支障が生じている。中級品の補給の遅れ、物流問題が自動車を含めた生産に大きく影響して経済の足かせとなっている。さらに中国の生産調整も影響しているようである。またドイツの生産工場の火災の影響が懸念される。
単純にサプライチェーンの問題と一般的なインフレの原因が、米・中国間の対立と表面的にとらえることはできない。一方で、これらの原因解消のための分析・対策議論がなく、統合的な本来のマクロ分析ができておらず、ミクロ・マクロ経済学の統合理論の形成がままならない。インフレの解決策とされる、単純な利上げが市場関係者の主眼となっている。ある意味で政治的な解決策が待たれる。理論武装もなく、指導者のいない無政府状態が現状であろう。
21年11月6日米下院は、1兆ドル規模のインフラ投資法案を可決し、15日正式に可決され、大型予算の第一歩を踏み出した。もう一つの柱である1兆7500億ドル規模の気候変動・社会保障関連歳出法案は先送りとなっており、下院による採決が行われたが先行きは見えない。
21年12月21日マンチン民主党上院議員は5日前、自身の1兆8000億ドル規模の対案を大統領に提出した。提案には歳入措置の刷新や未就園児に関する10年間の資金拠出が盛り込まれているが、大統領が優先事項の一つに掲げる子供のいる家庭の税額控除拡大延長は含まれていない。関係者が非公開協議だとして匿名で語った。マンチン議員の提案にある歳入は他のいずれの民主党上院議員も支持していないという。(ロイター)
21年11月16日午前、バイデン米大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は、オンライン形式による首脳協議を開いた。台湾や人権など幅広い問題で対立する両国が、偶発的な衝突に発展しないよう首脳による対話を維持する。(ロイター)
さらにバイデン氏は「すべての国が同じルールに従わなければならないと信じている。米国は常に自分たちの利益と価値、同盟国やパートナーの利益のために立ち上がる」と表明。「人権や経済、自由で開かれたインド太平洋を確保するために懸念している分野についても議論したい」と訴えた。一方、習氏は冒頭で「きょうは初めてのオンライン協議だ。古い友人に会えてとてもうれしい」と笑顔をみせた。さらに「中米は2つの経済大国および国連安全保障理事会の常任理事国として、意思疎通と協力を強め、お互いの国内の事柄をうまく処理するだけでなく、国際的責任も引き受けるべきだ」と語った。(ロイター)
軍事力・経済力双方の中国の存在を認めることになった。直接の軍事衝突を避ける内容となった。第2次大戦後のソ連・米国の関係と同じである。人権問題を議題の中心に据えることはできなかった。ロシア・中国にとって、人権問題は国家存立の基準の違いとして、国家統治の手段に対して内政干渉として拒否することになった。民主主義・共産主義というイデオロギーの対立以前の問題であろう。
中国恒大集団がデフォルトせず、個人資産の売却、企業分割・転売による資金調達によりドル建て債券の利払いを行ったとの報道もある一方、中国国営企業による資金提供の報道もあった。期日を過ぎてのアリババによる買収等、国有企業、中国の優良企業からの資金提供を受ける形で影響を最小限にする施策が行われているようだ。21年11月3日、恒大は、債権者から2億6000万ドル(約300億円)の保証履行請求通知を受け取ったと発表。恒大は保証を履行できない場合「債権者から返済の繰り上げを要求される可能性がある」として恒大は債務再編案の協議について「公平性と法の原則のもと、すべてのステークホルダー(利害関係者)の利益になる形で再編案を策定するため、積極的に海外債権者と話し合う」としている。詳細は明らかにしていないが、外貨建て債務の返済期限の延長や返済額の削減などを求める可能性がある。(ロイター)
中国政府関連の金融機関・地方政府の介入もあり、国際ルールに対する牽制とも解釈できる。21年12月9日格付け会社フィッチ・レーティングスは、巨額の債務を抱えて経営難に陥った中国恒大集団の格付けを部分的な債務不履行(デフォルト)に認定したと発表した。21年12月17日大手格付け会社S&Pグローバルは、中国の不動産開発大手、中国恒大集団を正式にデフォルト(債務不履行)したと判定した。過去、日本に対して、日本のバブル時代に、格付け機関の評価導入、国際会計基準の導入、BIS規制による金融機関の資産債券の評価基準の変更、株式市場・債券市場の改革、日本企業の評価の変更等があり、欧米の資本主義の手法に変更を受け入れ、技術を中心とした企業の国際競争力が低迷した記憶がよみがえる。日本のバブル崩壊のきっかけとなった。中国は、日本のバブル崩壊の過程について十分に研究していると思われる。民主主義の議論とともに、資本主義の意義も議論されるであろう。背景となる、軍事力の均衡が壊れており、米国・ロシア・中国の3か国で争われている。核を含め軍縮の動きは見られない。空母・戦闘機・ロケット等の通常兵器に対する軍縮は現実、真逆の方向となっている。人権問題を主題とする国際秩序は見いだせない状況にある。
サプライチェーンの実態が明らかになり欧米を中心としたテーパリング・利上げの議論(インフレ対策)とグローバルな発展途上国の内政問題が絡んで、これまでの金融理論では問題解決ができない。さらに環境問題が、地球温暖化と絡めて議論され、COP26では、石炭を燃料とする火力発電を禁止する声明が出された。中国・インドは「先進国の植民地時代の押し付け外交と同じではないかと・・・」と反発、その宣言は先送りとなり、議長国のイギリスが恥をかくこととなった。日本のバブル崩壊前の日本の環境(川崎病・ヘドロ問題・大気汚染問題・水道の品質等)がどうだったか、当時の日本と中国の現状さらに欧米の現状と比較する必要がある。
クジラ捕獲(食用・油として)・絶滅危惧種帆保護にみられる、大航海時代に始まり19世紀にかけて欧米の先進国が過度の捕獲・毛皮の消費の結果、生態系を破壊、これを修正するために鳥獣保護法を成立させその基準としてきた歴史がある。同様に産業革命以降、機械・化学技術の発展があったが、石炭・石油による船舶・列車・飛行機の燃料、工場運営の原料として多くの有害物質を排出、2度に及ぶ世界大戦があり、化石燃料・鉄鉱石・原子力ウランの取り合いから資源国の植民地化が進んだ。その結果、地球の自浄機能(バランス)を破壊し、極端な気候変動が起きるまでCO2の排出が進んだ。植民地支配から独立した国は、豊かさを求め近代化を進めることになり、同様にCO2の排出に歯止めがかからない状況にある。自らの失敗を修正するために環境問題が議論されているが、根本的な起源についてその責任について負おうとはしていない。資本主義・株式資本主義の起源が同時期にあり、同様の対応から始まったことを忘れてはならない。
民主党による企業と富裕層を対象とする2兆1000億ドル(約230兆円)の増税措置報道(議会運営問題~共和党・民主党の対立)・アフガン撤退以降の米国の対応、ハイチ難民への対応等もあり、バイデン大統領の支持率が急低下(42%)。国連・クアッド等の演説もあったが、アフガン撤退(アメリカ第一主義との非難)を機に、米国主導の世界覇権の意義が大きく問われ始めた。米中対立構造は、サプライチェーン・経済規模に関わる経済・政治(民主主義対権威主義)・宇宙開発・IT(6G)・環境問題・人権問題等多義にわたる。その背景となる軍事力について、米軍対中国軍の武器装備(米国既存空母の老朽化)に対して、9月28日中国が開発した最新兵器などを展示する博覧会でその成果を公表。ロシア・中国共同の艦艇の津軽海峡通過があった。相対的にドル安要因となっている。
21年12月8日、バイデン米大統領とロシアのプーチン大統領の米ロ首脳会談で、バイデン大統領は、ロシアの侵攻からウクライナを守る目的での米軍派遣について、「テーブルにない」として否定的な考えを示した。NATO における米国の役割(指導権)を否定ではないが、消極化した内容となった。その後、ウクライナに武器供与したとの報道があったが、直接の関与は避けているようだ。
しかし、21年12月21日、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナを巡る米国などとの対立について、ロシア側に引き下がる余地はなく、欧米が攻撃的な姿勢を改めなければ厳しい対抗策を迫られると述べた。欧米とウクライナとの関係強化によりウクライナ領内に北大西洋条約機構(NATO)のミサイルが配備される可能性があるとして、ロシアはNATOが東方に拡大しない保証が必要だと主張している。またプーチン氏は、西側諸国が冷戦の結果を誤って評価しているとし、欧州における緊張の高まりの責任は西側にあるとの考えを示した。米国は冷戦での勝利を認識した後、陶酔感で判断が鈍り、政策の選択を誤ったと指摘。「NATOはなぜ拡大し、ミサイル防衛条約を破棄したのか。欧州で緊張が高まっていることの責任は西側にある」とし、ロシアは西側諸国のいかなる侵攻にも「適切に」対応すると述べた。(ロイター)21年1月10日米ロ実務者協議が行われる。
経済発展で遅れているロシアの存在を示す必要があったのだろう。中国・ロシアの軍事的接近報道もあり、日本にとって、北方領土問題に絡めて注意が必要である。北極回路開発・豊富な地下資源があるロシアにとって、軍事的な中国との協力により、世界における存在感を示したのだろう。一方で、ロケット配備を遅らせ、武器供与だけで済まそうとする米国を巻き込み、中国・ロシア・米国の3か国による世界秩序の構築を目論んでいるとも読み取れる。
さらに、21年12月6日ロシア・インドとの共同声明で、両国は「軍事機器の製造(60万丁を超えるロシアの自動小銃カラシニコフをインド国内で製造する案件)を巡る共同開発を含む防衛協力の強化」を強調。鉄鋼、造船、石炭、エネルギーなどの部門に関連する合計28の投資協定に調印。S-400(ロシア製地対空ミサイルシステム)については、18年に結ばれた契約が実行に移されているとし、「供給は今月開始され、今後も継続する」と述べた。(ロイター)米国中心とした『クアット』の仕組みに対して楔を打つことになった。
米国主催の『民主主義サミット』に関して、その評価は出ていない。民主主義という言葉の表面的議論に終始したようである。国家統治のあり方と民意を反映する手法(選挙)の議論がなされていない。権威主義・イデオロギーの議論対立という一昔前の政治学の域を出ていない。
日本では、コロナによる感染者・死亡者の急減が報道され、コロナによる、感染者が減少しているが、その原因がワクチン効果以外に何であるか明確に検証されておらず、円高材料となっていない。
21年9月13日、北朝鮮の新型長距離巡航ミサイルの発射実験成功報道、同月15日、北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを2発発射報道、9月28日超音速ミサイルの発射実験、10月19日には、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射。さらに、22年01月5日、超音速弾道ミサイル反射。 日本のミサイル防衛に警鐘がともっている。背景に敗戦国日本主体の防衛軍備開発がいまだに米国から許可されていないことがある。地政学リスクもあるが国際社会における戦後日本の相対的地位の評価であり、日米地位協定の修正もままならず、円安材料となっている。
世界の警察を放棄し国際協調路線に変更した米国政権にとって北朝鮮問題はイラン問題と同様に、米国から見て一部の極東・中東の問題に過ぎないとの見方がある。戦後の朝鮮戦争の失策からなるべく関与せず、日本・韓国・中国を巻き込んだ問題として処理したいようだ。21年10月21日、国連安保理緊急会合の制裁決議は、ロシア・中国の否決で成立していない。今後議論されるであろう。
市場では、デルタ株・オミクロン株による感染再拡大で景気回復への不安があるものの、封鎖措置のような極端な経済減速を引き起こす政策は講じられず、ある程度、堅調な消費は維持されるとの楽観論が優位となっていたが、これに警鐘を鳴らす動きが見られた。サービス業の産業構造の構成比率が高く、経済復活のシナリオに疑問符が付き始めた。感染による死亡者があまりに多く、求人と経験者・技能取得者のミスマッチが生じている。
世界経済は、各国中央銀行の金融緩和・政府の補助金等の政策で企業倒産を食い止めており、完全失業者をそれほど出さず、自殺者の急増を防いでいる。その中で、コロナによる犠牲者(死亡者)を乗り越え、製造業中心に経済活動が回復している。一方で人件費の高騰が報道されている。中国・アジア地区中心のサプライチェーンに亀裂が生じ、物流の根本が揺らぎ始めている。気候変動の影響か、ドイツ・中国の河川反乱の後遺症もあり、運輸コスト(海運・陸運トラック運転手不足)・原油価格高止まりもあり先進国の物価上昇の原因となっている。
順調に回復しているとされる米国経済も過去2番目の貿易赤字の拡大、さらに財政赤字(3兆ドル)双子の赤字問題がある。特に、米中政治対立が根本にあり、経済が以前のように戻るとの楽観論が先行しているが中国の内政的な経済問題が今後世界経済に波及するかのシナリオが描けていない。ここにきて、北京オリンピックの外交的ボイコットを、人権問題と絡めて米国が主張している。この前提状況・実態をよそに、欧米各国のテーパリングに話題が移っている。金利差に着目した取引が主体となっている。
イラン・イスラエル等の中東情勢で、大きな動きはなかったが、アフガニスタンでは、やっと、国連の資金援助の方向性が示唆され、タリバン政権のメンバーが報道されているが、米国の経済制裁は継続している。アフガ二スタン独特の民族問題・イスラム原理主義の実態が他のイスラム教を主軸とする他国(イラン・サウジアラビア等)と異なっており、政権公認とはなっていない。一方で難民・女性差別もあり今後も注意が必要である。女性蔑視問題で友好国のパキスタンがタリバンに苦言を呈したとの報道があった。タリバンは、米軍の残した最新兵器を取得、これを使ってISの主要基地を攻撃、軍事的な制圧となっているが生活物資の不足・物価上昇等国家としての体をなしていない。国連による非難声明があった。
一方、アフガニスタンは地下資源の宝庫(金・銅・リチウム)と言われており、ロシア・中国・ドイツ等の諸国が虎視眈々と狙っている。米軍の犠牲者・経費問題を別として、人権主導を標榜してアフガニスタン撤退を決行したが建前とは別に本質的な米国の国益を放棄したとの評価も出ている。国境線近くで中国とロシアとの共同軍事演習が行われ、地政学上のリスク?が浮上している。米国の発言力の弱体化の表れであろうか。イラクの国内情勢にも不安定要素があり、米軍イラク撤退の報道もある。
先進国を巻き込んだ米国主導の国際協調のバランスの在り方に疑問符が付いており、本来国際紛争解決の基軸である『国連』機能が麻痺、ドル高が容易に進まない理由がここにある。
さらに従来の株式資本主義に対する議論が始まっている。米国による中国企業の制裁が始まり、一方、中国政府による自国企業の引き締めが始まり、アリババにみられるように、これまで海外で調達した資金の流出を防ぐ動きが加速している。
世界最大の新型コロナウイルス感染国米国(22年01月06日時点で感染者数5830万1857人、死亡者数83万6817人)となっている。WTI原油先物は、78.940ドル台となり、ドルインデックスは95.7330、円ドルは115.533円で取引を終えた。
01月04日 IMM通貨(円)先物動向
円:62262枚の売り越し 前週比9160枚の売り増
先先週は、欧米市場のクリスマス休暇が終わり、米国の利上げ観測が先行、金利に着目した取引となり、やや円安が進み115円台となった。先週は、週初欧米でオミクロン株の患者が急増するも、重傷者が少なく軽症者・無症状者大半との報道があり、経済への影響が懸念する程ではないとの判断があり、インフレ(金利差)に着目した取引が主体となった。4日時点で116円台を付ける場面があり、5日北朝鮮がミサイル発射の報道を受け115円半ばを底値にする取引となった。6日コロナ感染者急増、医療切迫の現状が報道され、米国FRBの議事録でテーパリング早期解消および利上げの意見が報道されると、これまでのインフレ対応に警鐘がともり、株式の下落および債権の下落(利回り上昇)となり方向転換。さらに7日の米国雇用統計は、失業率3.9%に低下するも、完全失業を希望する者が急増もあり、12月の非農業部門雇用者数は19.9万人増、予想の半分にも届かず、健常者が少なく、平均時給は前月比0.6%増、前年同月比4.7%増となった。報道では、「労働市場のタイトな状況をうかがわせ、早ければ3月の米利上げを後押しする可能性がある」(ブルームバーグ)としている。米国経済の復活を楽観した観測のようだ。
日本のコロナ感染者・死亡者が急減、一方で欧米諸国のコロナ感染者がパンデミック当時ではないが増加傾向になっている。米国では、一日100万人を超える感染者である一方、1千人を超える死亡者が出ている。英国では07日時点で、17万9334人の感染者が報告され、フランスで一日平均19万8200人の感染者が出ており、新種のオミクロン株との関連もあり、経済停滞の材料となっている。
これまで、市場は、一時期のパンデミックと比べ感染者は増えているものの死亡者数が多くなく小康状態となっていること、感染者の大半が軽症者・無症状者であることによりこれまでの体制で乗り越えられるとの判断があり、ワクチン接種追加接種報道、治療薬の開発が進み緊急使用許可報道もあり、コロナ問題から生じる人・物・金の需給不均衡に目をそらすように、米国経済の復活期待が強くその材料を探してきた。
事実、各国政府・中央銀行の資金供給もあり経済指数上では改善がみられてきたが、一方で、レアメタル・原油価格等の上昇、政治的な米中対立に起因するサプライチェーンの目詰まり、特に半導体の供給不足が生じ、さらに米国内のコロナの影響で運転手・特殊技能者不足・運輸会社の輸送コスト調整もあり、米国の港湾にコンテナ船が集中、米国を起因とする物流の混乱が世界中の物流価格の上昇を引き起こし、世界中の物価上昇が現実のものとなってしまった。
欧米で、コロナ患者数が急増する中、市場の期待するインフレ対策として各国中央銀行がテーパリング終了の時期と公定歩合の引き上げ回数の決定が報道され景気回復期待感が強く、金融緩和修正へのかじ取りに安心感が主流となっている。
しかし、利上げ等の対策で世界経済の悪影響については議論されていない。さらに、『オミクロン株』の拡散による世界経済の減速の可能性もあり、金融政策の方向転換の意義を、今後注意しておく必要がある。
21年12月15日国際通貨基金(IMF)は、世界の債務が2020年に226兆ドル(約2京5800兆円)と過去最大に膨れ上がり、金利上昇の中でその持続可能性を巡り懸念が高まりつつあると指摘した。予想より速いペースでの利上げは債務負担の重い国・地域に圧力となり、政府や企業に債務と支出の削減を強いて、経済成長を阻害しかねないと分析した。IMFの担当者は「世界で金利が予想より速いペースで上昇し成長が低迷すれば、リスクは拡大する。公的部門と民間部門が同時にレバレッジ解消を迫られた場合、成長の見通しは暗くなる」と警告した。(ブルーンバーグ)
ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズの米国株戦略責任者、クリストファー・ハーベイ氏は「この先、悪化し得る要素が多い」と語る。同社は来年夏までに米国株が10%前後下落する可能性が増してきたとみている。米企業が今年、利益率の改善基調を維持できたのは経費を節減するとともに、販売価格引き上げで顧客にコストを転嫁できたからだった。だが、足元の幾つかのリスクが来年の米企業利益見通しや実績にどれだけ影響を及ぼすかは、まだよく分からない。ジ・アーニングズ・スカウトのニック・レイチ最高経営責任者(CEO)は「12月になって利益見通しは上振れている。つまりオミクロン株は、今の段階で見通しに織り込まれてさえいない」と指摘した。(ロイター21年12月22日)
インフレの原因である原油価格上昇・鉱物資源価格の高騰・半導体・小麦等の食料品の輸送費上昇(船舶による輸送問題の解消がなされず)等の供給体制が復活してないこと等現実の経済状況と市場関係者の思惑にミスマッチが生じている。
基本的に今回のコロナ対策は人・物・金の企業倒産を防ぎ、連鎖的な世界恐慌を防ぐ目的で施工された政策であることを忘れている。大企業は別にして、大半の中小企業は、補助金があるものの、経営維持のため金融機関等からの負債で維持しており、コロナ危機が収まって通常の経営・営業ができるまで負債は残ったままであり、さらに維持費用は継続する。経済が急回復でない限り企業倒産・失業者が発生するのはこれからであることを過去の歴史から学ぶべきである。
世界各国が自国中心主義に染まり、利上げが、恐慌の引き金となった歴史の繰り返しが懸念される。欧米では、企業努力というより一定利益を確保することが企業存続の基準であり、単純に商品の価格を上げることでコストを転嫁してきた。その結果物価上昇となっている。価格転嫁に対する認識と競争に関して、日本の企業と大きく違う点である。企業文化で利益第一主義の欧米とものの考え方が違っている。利益を圧縮してでも顧客(消費者)を重視する日本の企業がその姿であり、利益率で欧米と基準が異なっているのが現実である。雇用に対する対応も同様である。
22年01月04日、石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国でつくる「OPECプラス」は、協調減産幅を毎月日量40万バレルずつ縮小するという現行の計画を2月も維持することで合意した。世界経済の行方に配慮した判断のようだ。
一方、輸送問題が残っており、その解決策が米国の国内事情にある。これを解消する対応が『オミクロン株』の拡散で遅れる可能性が高くなっている。
原油価格上昇は、ロシアを含めたOPECプラスの原油産出国が価格主導権を維持する結果生じたものであり、石炭・希少金属の産出国並びに利権を有する企業の価格形成力の支配競争の結果である。ヘッジファンドを含めた価格形成が米国に集中した結果ともいえる。そこには、指導者が存在せず、世界経済を視野に入れた秩序はない。 リビア、ナイジェリアの内政問題が原因で、原油生産の遅れから、一時WTIで80ドルを付ける場面があった。
物流問題は、採算コストを重視・確保するため船舶保有会社が、米国・中国間の輸送に、保有する船舶を、米国カリフォルニア沿岸に集中させている。一方で陸上運送の停滞については、コロナ患者急増、大型トラックの運転手確保が遅れ、さらに、バイゼン政権のワクチン接種義務化への反発もある。さらに湾岸停滞の解消のための中国製の大型港湾輸送機器の補充ができてないことが原因と言われている。このことが原因で、世界中のコンテナ・輸送船舶確保ができていないことが、食料品を含めた物流コスト上昇の大きな要因となっている。バルチック指数をみるとやや改善されてはいるが今後も継続するとの報道が多い。
さらに、半導体等の精密機器については、コロナの影響、気候変動による大雨によりインフラの道路整備の遅れで、タイ・ベトナムを中心とした東南アジアの中級品の半導体生産が遅れており、さらに米中の対立で上級品の生産国である台湾での生産が抑制されているため、携帯電話等の生産に支障が生じている。中級品の補給の遅れ、物流問題が自動車を含めた生産に大きく影響して経済の足かせとなっている。さらに中国の生産調整も影響しているようである。またドイツの生産工場の火災の影響が懸念される。
単純にサプライチェーンの問題と一般的なインフレの原因が、米・中国間の対立と表面的にとらえることはできない。一方で、これらの原因解消のための分析・対策議論がなく、統合的な本来のマクロ分析ができておらず、ミクロ・マクロ経済学の統合理論の形成がままならない。インフレの解決策とされる、単純な利上げが市場関係者の主眼となっている。ある意味で政治的な解決策が待たれる。理論武装もなく、指導者のいない無政府状態が現状であろう。
21年11月6日米下院は、1兆ドル規模のインフラ投資法案を可決し、15日正式に可決され、大型予算の第一歩を踏み出した。もう一つの柱である1兆7500億ドル規模の気候変動・社会保障関連歳出法案は先送りとなっており、下院による採決が行われたが先行きは見えない。
21年12月21日マンチン民主党上院議員は5日前、自身の1兆8000億ドル規模の対案を大統領に提出した。提案には歳入措置の刷新や未就園児に関する10年間の資金拠出が盛り込まれているが、大統領が優先事項の一つに掲げる子供のいる家庭の税額控除拡大延長は含まれていない。関係者が非公開協議だとして匿名で語った。マンチン議員の提案にある歳入は他のいずれの民主党上院議員も支持していないという。(ロイター)
21年11月16日午前、バイデン米大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は、オンライン形式による首脳協議を開いた。台湾や人権など幅広い問題で対立する両国が、偶発的な衝突に発展しないよう首脳による対話を維持する。(ロイター)
さらにバイデン氏は「すべての国が同じルールに従わなければならないと信じている。米国は常に自分たちの利益と価値、同盟国やパートナーの利益のために立ち上がる」と表明。「人権や経済、自由で開かれたインド太平洋を確保するために懸念している分野についても議論したい」と訴えた。一方、習氏は冒頭で「きょうは初めてのオンライン協議だ。古い友人に会えてとてもうれしい」と笑顔をみせた。さらに「中米は2つの経済大国および国連安全保障理事会の常任理事国として、意思疎通と協力を強め、お互いの国内の事柄をうまく処理するだけでなく、国際的責任も引き受けるべきだ」と語った。(ロイター)
軍事力・経済力双方の中国の存在を認めることになった。直接の軍事衝突を避ける内容となった。第2次大戦後のソ連・米国の関係と同じである。人権問題を議題の中心に据えることはできなかった。ロシア・中国にとって、人権問題は国家存立の基準の違いとして、国家統治の手段に対して内政干渉として拒否することになった。民主主義・共産主義というイデオロギーの対立以前の問題であろう。
中国恒大集団がデフォルトせず、個人資産の売却、企業分割・転売による資金調達によりドル建て債券の利払いを行ったとの報道もある一方、中国国営企業による資金提供の報道もあった。期日を過ぎてのアリババによる買収等、国有企業、中国の優良企業からの資金提供を受ける形で影響を最小限にする施策が行われているようだ。21年11月3日、恒大は、債権者から2億6000万ドル(約300億円)の保証履行請求通知を受け取ったと発表。恒大は保証を履行できない場合「債権者から返済の繰り上げを要求される可能性がある」として恒大は債務再編案の協議について「公平性と法の原則のもと、すべてのステークホルダー(利害関係者)の利益になる形で再編案を策定するため、積極的に海外債権者と話し合う」としている。詳細は明らかにしていないが、外貨建て債務の返済期限の延長や返済額の削減などを求める可能性がある。(ロイター)
中国政府関連の金融機関・地方政府の介入もあり、国際ルールに対する牽制とも解釈できる。21年12月9日格付け会社フィッチ・レーティングスは、巨額の債務を抱えて経営難に陥った中国恒大集団の格付けを部分的な債務不履行(デフォルト)に認定したと発表した。21年12月17日大手格付け会社S&Pグローバルは、中国の不動産開発大手、中国恒大集団を正式にデフォルト(債務不履行)したと判定した。過去、日本に対して、日本のバブル時代に、格付け機関の評価導入、国際会計基準の導入、BIS規制による金融機関の資産債券の評価基準の変更、株式市場・債券市場の改革、日本企業の評価の変更等があり、欧米の資本主義の手法に変更を受け入れ、技術を中心とした企業の国際競争力が低迷した記憶がよみがえる。日本のバブル崩壊のきっかけとなった。中国は、日本のバブル崩壊の過程について十分に研究していると思われる。民主主義の議論とともに、資本主義の意義も議論されるであろう。背景となる、軍事力の均衡が壊れており、米国・ロシア・中国の3か国で争われている。核を含め軍縮の動きは見られない。空母・戦闘機・ロケット等の通常兵器に対する軍縮は現実、真逆の方向となっている。人権問題を主題とする国際秩序は見いだせない状況にある。
サプライチェーンの実態が明らかになり欧米を中心としたテーパリング・利上げの議論(インフレ対策)とグローバルな発展途上国の内政問題が絡んで、これまでの金融理論では問題解決ができない。さらに環境問題が、地球温暖化と絡めて議論され、COP26では、石炭を燃料とする火力発電を禁止する声明が出された。中国・インドは「先進国の植民地時代の押し付け外交と同じではないかと・・・」と反発、その宣言は先送りとなり、議長国のイギリスが恥をかくこととなった。日本のバブル崩壊前の日本の環境(川崎病・ヘドロ問題・大気汚染問題・水道の品質等)がどうだったか、当時の日本と中国の現状さらに欧米の現状と比較する必要がある。
クジラ捕獲(食用・油として)・絶滅危惧種帆保護にみられる、大航海時代に始まり19世紀にかけて欧米の先進国が過度の捕獲・毛皮の消費の結果、生態系を破壊、これを修正するために鳥獣保護法を成立させその基準としてきた歴史がある。同様に産業革命以降、機械・化学技術の発展があったが、石炭・石油による船舶・列車・飛行機の燃料、工場運営の原料として多くの有害物質を排出、2度に及ぶ世界大戦があり、化石燃料・鉄鉱石・原子力ウランの取り合いから資源国の植民地化が進んだ。その結果、地球の自浄機能(バランス)を破壊し、極端な気候変動が起きるまでCO2の排出が進んだ。植民地支配から独立した国は、豊かさを求め近代化を進めることになり、同様にCO2の排出に歯止めがかからない状況にある。自らの失敗を修正するために環境問題が議論されているが、根本的な起源についてその責任について負おうとはしていない。資本主義・株式資本主義の起源が同時期にあり、同様の対応から始まったことを忘れてはならない。
民主党による企業と富裕層を対象とする2兆1000億ドル(約230兆円)の増税措置報道(議会運営問題~共和党・民主党の対立)・アフガン撤退以降の米国の対応、ハイチ難民への対応等もあり、バイデン大統領の支持率が急低下(42%)。国連・クアッド等の演説もあったが、アフガン撤退(アメリカ第一主義との非難)を機に、米国主導の世界覇権の意義が大きく問われ始めた。米中対立構造は、サプライチェーン・経済規模に関わる経済・政治(民主主義対権威主義)・宇宙開発・IT(6G)・環境問題・人権問題等多義にわたる。その背景となる軍事力について、米軍対中国軍の武器装備(米国既存空母の老朽化)に対して、9月28日中国が開発した最新兵器などを展示する博覧会でその成果を公表。ロシア・中国共同の艦艇の津軽海峡通過があった。相対的にドル安要因となっている。
21年12月8日、バイデン米大統領とロシアのプーチン大統領の米ロ首脳会談で、バイデン大統領は、ロシアの侵攻からウクライナを守る目的での米軍派遣について、「テーブルにない」として否定的な考えを示した。NATO における米国の役割(指導権)を否定ではないが、消極化した内容となった。その後、ウクライナに武器供与したとの報道があったが、直接の関与は避けているようだ。
しかし、21年12月21日、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナを巡る米国などとの対立について、ロシア側に引き下がる余地はなく、欧米が攻撃的な姿勢を改めなければ厳しい対抗策を迫られると述べた。欧米とウクライナとの関係強化によりウクライナ領内に北大西洋条約機構(NATO)のミサイルが配備される可能性があるとして、ロシアはNATOが東方に拡大しない保証が必要だと主張している。またプーチン氏は、西側諸国が冷戦の結果を誤って評価しているとし、欧州における緊張の高まりの責任は西側にあるとの考えを示した。米国は冷戦での勝利を認識した後、陶酔感で判断が鈍り、政策の選択を誤ったと指摘。「NATOはなぜ拡大し、ミサイル防衛条約を破棄したのか。欧州で緊張が高まっていることの責任は西側にある」とし、ロシアは西側諸国のいかなる侵攻にも「適切に」対応すると述べた。(ロイター)21年1月10日米ロ実務者協議が行われる。
経済発展で遅れているロシアの存在を示す必要があったのだろう。中国・ロシアの軍事的接近報道もあり、日本にとって、北方領土問題に絡めて注意が必要である。北極回路開発・豊富な地下資源があるロシアにとって、軍事的な中国との協力により、世界における存在感を示したのだろう。一方で、ロケット配備を遅らせ、武器供与だけで済まそうとする米国を巻き込み、中国・ロシア・米国の3か国による世界秩序の構築を目論んでいるとも読み取れる。
さらに、21年12月6日ロシア・インドとの共同声明で、両国は「軍事機器の製造(60万丁を超えるロシアの自動小銃カラシニコフをインド国内で製造する案件)を巡る共同開発を含む防衛協力の強化」を強調。鉄鋼、造船、石炭、エネルギーなどの部門に関連する合計28の投資協定に調印。S-400(ロシア製地対空ミサイルシステム)については、18年に結ばれた契約が実行に移されているとし、「供給は今月開始され、今後も継続する」と述べた。(ロイター)米国中心とした『クアット』の仕組みに対して楔を打つことになった。
米国主催の『民主主義サミット』に関して、その評価は出ていない。民主主義という言葉の表面的議論に終始したようである。国家統治のあり方と民意を反映する手法(選挙)の議論がなされていない。権威主義・イデオロギーの議論対立という一昔前の政治学の域を出ていない。
日本では、コロナによる感染者・死亡者の急減が報道され、コロナによる、感染者が減少しているが、その原因がワクチン効果以外に何であるか明確に検証されておらず、円高材料となっていない。
21年9月13日、北朝鮮の新型長距離巡航ミサイルの発射実験成功報道、同月15日、北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを2発発射報道、9月28日超音速ミサイルの発射実験、10月19日には、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射。さらに、22年01月5日、超音速弾道ミサイル反射。 日本のミサイル防衛に警鐘がともっている。背景に敗戦国日本主体の防衛軍備開発がいまだに米国から許可されていないことがある。地政学リスクもあるが国際社会における戦後日本の相対的地位の評価であり、日米地位協定の修正もままならず、円安材料となっている。
世界の警察を放棄し国際協調路線に変更した米国政権にとって北朝鮮問題はイラン問題と同様に、米国から見て一部の極東・中東の問題に過ぎないとの見方がある。戦後の朝鮮戦争の失策からなるべく関与せず、日本・韓国・中国を巻き込んだ問題として処理したいようだ。21年10月21日、国連安保理緊急会合の制裁決議は、ロシア・中国の否決で成立していない。今後議論されるであろう。
市場では、デルタ株・オミクロン株による感染再拡大で景気回復への不安があるものの、封鎖措置のような極端な経済減速を引き起こす政策は講じられず、ある程度、堅調な消費は維持されるとの楽観論が優位となっていたが、これに警鐘を鳴らす動きが見られた。サービス業の産業構造の構成比率が高く、経済復活のシナリオに疑問符が付き始めた。感染による死亡者があまりに多く、求人と経験者・技能取得者のミスマッチが生じている。
世界経済は、各国中央銀行の金融緩和・政府の補助金等の政策で企業倒産を食い止めており、完全失業者をそれほど出さず、自殺者の急増を防いでいる。その中で、コロナによる犠牲者(死亡者)を乗り越え、製造業中心に経済活動が回復している。一方で人件費の高騰が報道されている。中国・アジア地区中心のサプライチェーンに亀裂が生じ、物流の根本が揺らぎ始めている。気候変動の影響か、ドイツ・中国の河川反乱の後遺症もあり、運輸コスト(海運・陸運トラック運転手不足)・原油価格高止まりもあり先進国の物価上昇の原因となっている。
順調に回復しているとされる米国経済も過去2番目の貿易赤字の拡大、さらに財政赤字(3兆ドル)双子の赤字問題がある。特に、米中政治対立が根本にあり、経済が以前のように戻るとの楽観論が先行しているが中国の内政的な経済問題が今後世界経済に波及するかのシナリオが描けていない。ここにきて、北京オリンピックの外交的ボイコットを、人権問題と絡めて米国が主張している。この前提状況・実態をよそに、欧米各国のテーパリングに話題が移っている。金利差に着目した取引が主体となっている。
イラン・イスラエル等の中東情勢で、大きな動きはなかったが、アフガニスタンでは、やっと、国連の資金援助の方向性が示唆され、タリバン政権のメンバーが報道されているが、米国の経済制裁は継続している。アフガ二スタン独特の民族問題・イスラム原理主義の実態が他のイスラム教を主軸とする他国(イラン・サウジアラビア等)と異なっており、政権公認とはなっていない。一方で難民・女性差別もあり今後も注意が必要である。女性蔑視問題で友好国のパキスタンがタリバンに苦言を呈したとの報道があった。タリバンは、米軍の残した最新兵器を取得、これを使ってISの主要基地を攻撃、軍事的な制圧となっているが生活物資の不足・物価上昇等国家としての体をなしていない。国連による非難声明があった。
一方、アフガニスタンは地下資源の宝庫(金・銅・リチウム)と言われており、ロシア・中国・ドイツ等の諸国が虎視眈々と狙っている。米軍の犠牲者・経費問題を別として、人権主導を標榜してアフガニスタン撤退を決行したが建前とは別に本質的な米国の国益を放棄したとの評価も出ている。国境線近くで中国とロシアとの共同軍事演習が行われ、地政学上のリスク?が浮上している。米国の発言力の弱体化の表れであろうか。イラクの国内情勢にも不安定要素があり、米軍イラク撤退の報道もある。
先進国を巻き込んだ米国主導の国際協調のバランスの在り方に疑問符が付いており、本来国際紛争解決の基軸である『国連』機能が麻痺、ドル高が容易に進まない理由がここにある。
さらに従来の株式資本主義に対する議論が始まっている。米国による中国企業の制裁が始まり、一方、中国政府による自国企業の引き締めが始まり、アリババにみられるように、これまで海外で調達した資金の流出を防ぐ動きが加速している。
世界最大の新型コロナウイルス感染国米国(22年01月06日時点で感染者数5830万1857人、死亡者数83万6817人)となっている。WTI原油先物は、78.940ドル台となり、ドルインデックスは95.7330、円ドルは115.533円で取引を終えた。
今週の予想
今週のドル円予想レンジ:114.00円~116.50円
ピボット分析(日足ベース):115.08円~116.18円
ピボット分析(日足ベース):115.08円~116.18円
今週の主な予定
10日(月)
成人の日祝日のため東京市場は休場
米露2国間協議
アジア金融フォーラム(AFF)
北大西洋条約機構(NATO)ロシア理事会会合
欧州安全保障協力機構(OSCE)枠組み協議
11日(火)
日本景気動向指数(11月)
豪小売売上高(11月)
米上院銀行委員会、パウエルFRB議長の再任指名承認公聴会開催
12日(水)
日銀支店長会議
日銀地域経済報告(さくらリポート)
日本景気ウォッチャー調査(12月)
中国消費者物価指数・生産者物価指数(12月)
米消費者物価指数(12月)
米地区連銀経済報告(ベージュブック)
13日(木)
米生産者物価指数(12月)
米上院銀行委員会、ブレイナードFRB理事のFRB副議長指名承認公聴会開催
14日(金)
中国貿易収支(12月)
米小売売上高(12月)
米ミシガン大学消費者信頼感指数(1月)
成人の日祝日のため東京市場は休場
米露2国間協議
アジア金融フォーラム(AFF)
北大西洋条約機構(NATO)ロシア理事会会合
欧州安全保障協力機構(OSCE)枠組み協議
11日(火)
日本景気動向指数(11月)
豪小売売上高(11月)
米上院銀行委員会、パウエルFRB議長の再任指名承認公聴会開催
12日(水)
日銀支店長会議
日銀地域経済報告(さくらリポート)
日本景気ウォッチャー調査(12月)
中国消費者物価指数・生産者物価指数(12月)
米消費者物価指数(12月)
米地区連銀経済報告(ベージュブック)
13日(木)
米生産者物価指数(12月)
米上院銀行委員会、ブレイナードFRB理事のFRB副議長指名承認公聴会開催
14日(金)
中国貿易収支(12月)
米小売売上高(12月)
米ミシガン大学消費者信頼感指数(1月)
2022年01月11日更新
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