為替レポート

05月09日~05月13日週

【為替の動向】
ドル/円(24時間)
05/09(月)05/10(火)05/11(水)05/12(木)05/13(金)
OPEN130.141130.369130.419129.957128.413
HIGH131.347130.575130.811130.054129.456
LOW130.110129.793129.442127.516128.345
CLOSE130.369130.433129.955128.413129.250

先週のドル円レンジ:127.52円~131.35円

05月10日 IMM通貨(円)先物動向
円:110454枚の売り越し 前週比9660枚の売越増

 先週は、新型コロナ(オミクロン変異種)の感染拡大が欧米で再燃している。感染者拡大のわりに、重傷者が少ないと報道されているが、既存のワクチン・治療薬の効果低減が報道されている。ついに、米国の死亡者が100万人を超えた。米国内のこれまでの対応に疑問符がついている。
 マスク着用問題等において『人間の自由の権利』主張が標榜され、コロナによる感染は個人の自己責任として片づけられてきた。自分を守り隣人(他人)に移さないようにする最善の方法がマスク着用であった。第一次大戦時『スペイン風邪流行』対応はワクチン・治療薬がなかったこともあり、戦争による死亡者よりスペイン風邪による戦意喪失とその犠牲者の方が多く戦争継続が困難となりドイツ軍敗退による戦争終決となった。
 各国政府は自由主義・個人主義の名目で経済再生優先としてきた。一方、コロナ対応で中国主要都市でのロックダウン措置導入の動きが報道され、中国経済の弱体化を専門家・マスコミは報道している。コロナ感染拡大によるパンデミックは終わっていない。
 サプライチェーン・物流問題の長期化が懸念され始めた。トランプ政権時『自国第一主義』として中国経済制裁の一環で始められた関税はバイゼン政権でも継続され米国インフレの一原因となっている。半導体・各種工業製品等の中国サプライチェーンの複雑さが認識され始めたところで、ウクライナ・ロシアにおける食料・資源の重要供給先であったことがウクライナ戦争で浮き彫りになった。5月11日、バイデン米大統領は、ロシアによるウクライナ侵攻が世界的な食料価格の高騰を引き起こしていると非難、対して5月12日、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ紛争を受けて西側諸国がロシアに科した厳格な制裁措置が世界的な経済危機と破滅的なインフレを引き起こしたとして双方責任転嫁している。
 このような背景下、4月の消費者物価指数(CPI)、4月の卸売物価指数(PPI)の数値が発表され、12日、4月の卸売物価指数発表後一時127.35円を着ける場面が見られた。一方、米国経済は大丈夫との楽観論が主流となっている。事実、129円台で推移している。
 しかし、株式市場の下落、プライベートバンク等にみられるファンドの毀損、市場参加者機関の市場撤退による現金化が報じられている。市場が縮小方向にあることに変わりはない。インフレが現実のものとなり、中国関税・NATOを巻き込みウクライナへの武器供与による戦争拡大のきっかけを作った米国バイゼン政権の失策であったことが明確になりつつある。
 世界経済の枠組みに亀裂が生じ、各国のインフレが国内問題となり、ロシア・中国等の結束を固める形となって政治経済ブロックの鮮明化が問題視され始めた。自由民主主義を守ると称して主導権を発揮した結果であろうか。
 さらに主要中央銀行のインフレ対策の利上げが報じられている。
 パンデミックが収まらず、サプライチェーン問題も解消されず、ウクライナ戦争が、ロシア対米国(NATO)の対立構造となってきた。欧米の武器供与をきっかけに、ロシア・ウクライナ戦争の長期化が現実のものとなってきた。
 小麦・食用油(トウモロコシ・パーム油)を含めて食糧危機の報道が始まった。5月11日、国連のグテレス事務総長は、ウクライナでの戦争が世界各地の食糧安全保障を脅かし、飢饉が広がることを深く懸念していると述べた。(ロイター)
 以下参考記事を掲載する。
 5月9日米連邦準備制度理事会(FRB)は、半期に一度の金融安定報告を発表し、主要な金融市場全般での流動性を巡る状況悪化を警告した。「一部の指標によれば、発行間もない現物の米財務省証券と株価指数先物の市場では、流動性が2021年終盤以降に低下してきた」と指摘。「それに加え、ロシアによるウクライナ侵攻以来、原油先物市場では時々、流動性に幾分逼迫(ひっぱく)が見られる。一方、その他の影響を受けた一部の商品市場は顕著な機能不全に陥っている」とも論評した。ウクライナでの戦争や金融引き締め、物価高騰などに伴うリスクの高まりが背景にある。(ロイター)
 5月9日、ロシアのプーチン大統領は、対独戦勝記念日の軍事パレードの式典で演説し、ロシアのウクライナ介入は西側が「クリミアを含むわれわれの土地への準備」をしていたためで必要な措置だったと表明。ウクライナに対する特別軍事作戦は必要かつ時宜にかなった措置で唯一の正しい判断だったと述べた。(ロイター)
 5月11日、米労働省が発表した4月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年同月比8.3%上昇となった。エネルギー価格の高騰が一服したことで、1981年12月以来の高水準だった3月の8.5%から減速した。(ロイター)
 5月12日、米労働省が発表した4月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前年同月比11.0%上昇した。エネルギー高が緩和したことで上昇率は3月の11.5%から減速したものの、予想の10.7%は上回った。前月比では0.5%上昇と、予想と一致。3月の1.6%上昇から減速した。(ロイター)
 5月12日、4月の米生産者物価指数(PPI)は、前年同月比の伸びが市場予想を上回った。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアPPIは前月比0.4%上昇。前年同月比では8.8%上昇となった。食品とエネルギー、貿易サービスを除くPPIは前月比0.6%、前年同月比で6.9%それぞれ上昇した。消費者物価の高止まりが想定より長く続く可能性が示唆され、米金融当局は積極的な利上げ姿勢を維持する公算が大きい。(ブルームバーグ)
 5月11日、バイデン米大統領は、ロシアによるウクライナ侵攻が世界的な食料価格の高騰を引き起こしていると非難した。イリノイ州の農家を訪問し、供給不足に対処しようとする農業従事者への支援を表明した。「現在、米国は2つの前線で戦っている。それは国内ではインフレ、海外ではウクライナの人々が民主主義を守るのを助け、ロシアの残虐行為のために世界中で飢えに苦しむ人々に食料を提供することだ」と語った。(ロイター)
 5月12日、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ紛争を受けて西側諸国がロシアに科した厳格な制裁措置が世界的な経済危機と破滅的なインフレを引き起こしたと述べた。経済に関する政府会合で、西側諸国の制裁は世界的な危機をあおり、欧州連合(EU)の打撃となり、世界の最貧国の一部に飢饉(ききん)をもたらすと指摘。「この責任は全て西側諸国のエリートにある。彼らは世界的な支配を維持するために他の国々を犠牲にしようとしている」とした。(ロイター)
 5月12日、ロシアがドイツへの天然ガス供給を削減した。ウクライナでの戦争を巡り欧州連合(EU)が科した制裁への報復で、ドイツはロシアがエネルギー輸出を「武器」として利用していると非難した。ハーベック独副首相兼経済相はこの供給削減がドイツのロシア産ガス輸入量の約3%に相当すると説明した。(ロイター)
 ルーブル口座開設のガス買い手、欧州で増加
 
欧州でさらに10社のガス購入企業がガスプロムバンクに口座を開設。プーチン大統領の要求に従ってロシア産ガスの支払いをルーブルで行う準備を進めている企業数は2倍に増えた。事情に詳しい関係者によると、口座開設を済ませた欧州企業は計20社となり、さらに14社が開設に必要な書類を要求している。関係者は具体的な企業名を明かすことは控えた。(ブルームバーグ)
 5月12日、ロシア政府系天然ガス企業ガスプロムが提案した決済方法について、欧州委員会は従来の立場を「断固として維持する」と、マクフィー報道官がブリュッセルでの記者会見で語った(ロイター)。
 一方、5月12日、イタリアのドラギ首相が、欧州企業はロシアへのガス代を制裁に違反することなくルーブルで支払うことが可能だと語った。欧州連合(EU)の指針に反するような発言だ。ドラギ氏は現時点で何が制裁違反で、ルーブルでの支払いが該当するのか正式な公布がないと主張した。(ロイター)
 5月13日、米国のオースティン国防長官は、ロシアのショイグ国防相と電話会談を行い、ウクライナでの即時停戦を求めた。米ロ国防相が侵攻後初めての電話会談、停戦呼びかけた。(ロイター)
 5月13日、米国のバイデン大統領は、ホワイトハウスで初めて開いた東南アジア諸国連合(ASEAN)との首脳会議で、今回の会議はASEAN10カ国と米国の「新時代」の幕開けになると述べた。バイデン大統領は「向こう半世紀の世界史の大部分はASEAN諸国で作られる」とし、「米国とASEANの関係において、新たな時代が始まる」と述べた。米・ASEAN首脳会議は12日にバイデン大統領がホワイトハウスで主催した夕食会で開始。米国はインフラ改善やパンデミック(世界的大流行)対策などに総額1億5000万ドルの支援を確約した。(ロイター)
 

視点・論点・注目点

 ≪米国≫
 4月24日、米民主党のウォーレン上院議員は40年ぶりの高水準にあるインフレ率を巡る米家計支援で追加措置が講じられなければ、今年の中間選挙で民主党は「真の苦境」に陥る恐れがあるとの認識を示した。「選挙まで200日を切っており、米家計は痛手を受けている」とし、「われわれは立ち上がり措置を実行しなければ、真の苦境に陥ると私は考えている。そうなれば民主党は敗北するだろう」と語った。バイゼン政権の対外戦略、ウクライナ軍事支援等は国内のインフレ問題・サプライチェーン問題の解決もなく進められており、中間選挙対策としても失敗に終わる可能性が高くなっている。
 4月10日。ラマポーザ大統領は出席した政治集会においてバイデン氏との電話が「穏やかな雰囲気だった」と述べたものの、政策は変更していない。国際的な影響力を巡る争いが終幕を迎えるのはずっと先の話だ。そして米政府は到底、強気の姿勢で振る舞える立場にはない。(ロイター)
 経済制裁という大量破壊兵器
 
ラグラム・ラジャン氏 米シカゴ大学教授
 
2022年5月4日 18:00 (日経)
 戦争はどんなやり方でも恐ろしいものだ。各国はウクライナに戦闘用の兵器供与だけでなく、ロシアに経済兵器を動員した。ロシアは軍事力に比べて経済力は小さいものの、兵器の種類や対象地域を拡大して攻撃を仕掛けてくる可能性がある。それは世界が受け入れなければならないリスクだった。
 ロシアの中央銀行への厳しい制約でルーブルは暴落し、国境を越えた決済や融資の新たな制限は即座に影響を及ぼし、ロシアの銀行に対する信頼は低下した。貿易制裁や多国籍企業の撤退は、即効性はなくても、いずれ経済成長率は低下し、失業率は大幅に上昇するだろう。やがてロシアの生活水準は低下し、健康状態は悪化し、死者が増えると予想される。
 経済兵器は侵略や野蛮な行為に対して有効でありながら、文明的な対応を可能にする。だが、これらの兵器がもたらすリスクを軽視すべきではない。ビルを倒したり、橋を壊したりはしないが、企業や金融機関、生活、そして生命さえも破壊する。罪のある者だけでなく無実の人にも打撃となる。現代世界の繁栄を可能にしたグローバル化のプロセスを逆行させることになりかねない。
 この点について、いくつか関連する懸念がある。まず、経済兵器は一見流血を伴わず、統治する規範がないため、乱用される可能性がある。これは単なる臆測ではない。米国は、世界にはもっと悪しき体制があるにもかかわらず、キューバに対する厳しい制裁を続けている。また中国は最近、オーストラリアの輸出に制裁を科したが、同国が新型コロナウイルスの起源に独立した調査を求めたことへの報復だったのは明らかだ。
 同じくらい心配なのは、企業に特定の国での事業活動の停止を求める世論の高まりだ。こうした要求は、政策立案者が意図した以上の制裁拡大になる可能性がある。例えば、人工妊娠中絶や気候変動への政府の立場を理由に経済戦争を仕掛けられることはありえる。
 無差別な制裁への不安が広がれば、各国が自衛の行動をとるかもしれない。ドルやユーロの外貨準備ほど流動性の高い資産が他にほとんどないため、各国は国境を越えた企業の借り入れなど、外貨準備を保有する必要がある活動を制限し始めるだろう。
 
また、国際決済網である国際銀行間通信協会(SWIFT)に代わる代替手段を模索する国が増え、世界の決済システムが細分化する可能性がある。民間企業は、政治・社会的価値観を共有しない国同士の投資や貿易の仲介により慎重になっていくかもしれない。
 各国が経済兵器への新たな対抗手段を開発するなど、ゼロサムゲーム的な戦略的行動が増える可能性もある。例えば、ある国が外国の銀行を自国市場に誘致し、いずれその資産や資本を人質にとろうとするかもしれない。逆に政府が、そうした脅威への脆弱性を減らすために、自国の銀行が活動できる地域を制限することもあるだろう。国と国との経済的な交流は必然的に縮小する。
 経済兵器は一国の手に委ねるにはあまりにも強力で、その使用にはコンセンサスが義務付けられるべきだ。侵略国のエリートの資産に対する制裁は最も優先順位を高くし、コンセンサスの要件は最低限にすべきだ。反対に、侵略国の通貨の価値を下げたり、金融システムを弱体化させたりすることは、より慎重かつ最大限のコンセンサスを得るべきだ。
 先進国は自国の力を制約することに消極的だろう。だが世界経済が分裂すれば、すべての人に痛手だ。「経済的軍備管理」に関する協議は、壊れた世界秩序を修復する一歩になるかもしれない。平和的共存は、どのような形態の戦争よりも常に優れている。
 実行の規範確立を
 
ロシアのウクライナ侵攻に対し、米欧が経済制裁という対抗手段を迅速に打ち出したのは最善の選択だった。真正面からの武力衝突は、世界大戦の引き金になりかねないからだ。だが経済活動を人為的に遮断する手法は、グローバル化とIT(情報技術)化で飛躍的な発展を遂げてきた市場経済を逆回転させかねない負の側面も併せ持つ。今回の問題を機に、国際合意の下で武力衝突を未然に阻む効果的な経済制裁の手法や規範を確立する努力が必要になる。
 米欧がロシアに行った国際決済網からの締め出しや貿易制限は、世界規模の経済制裁としては初の試みに等しい。それだけに世界的なインフレをどこまで助長するか、国際決済網の分断によるブロック経済化を招かないかといった未知の不安要素を内包している。
 
流血を伴わない経済制裁は、悲惨な戦争の歴史を経た人類の英知。だが同時に、強力な現代兵器にもなり得る。いま世界に求められているのは、世界恐慌や経済危機を招かない経済制裁の手法を確立することではないか。(日経)
 ≪米国内予算・議会運営≫
 ≪経済政策≫
 4月13日、イエレン米財務長官はロシアのウクライナ侵攻を非難せずに利益を追求する国は近視眼的だと批判、西側諸国の制裁を損なう国は重大な帰結に直面すると述べた。国際通貨基金(IMF)など既存の機関を21世紀にふさわしい形に現代化する必要があるとも主張。米政府は第2次世界大戦中の1941年にIMF、世界銀行など戦後の国際金融制度の設計を開始したと指摘。新たな制度が今必要とされていると述べた。(ロイター)
 これを受けて、4月13日、国際通貨基金(IMF)の理事会は13日、低・中所得国が気候変動や新型コロナウイルス流行などの長期的課題に対処するのを支援する新たな基金「レジリエンス・サステナビリティー・トラスト(RST)」の創設を承認した。RSTは5月1日に発足し、少なくとも450億ドルの調達を目指す。190の加盟国の4分の3近くがRSTを利用可能。(ロイター)
 4月22日、S&Pグローバルのチーフ事業エコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「多くの企業は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による需要の積み上げという追い風を引き続き受けている。同時に、物価上昇率の上昇と生活費の圧迫、根強いサプライチェーン(供給網)の遅延、労働力の制約という課題にも直面している」と指摘した。
 4月27日、米商務省が公表した3月の財(モノ)の貿易収支は赤字額が前月比17.8%増の1253億ドルと過去最高となった。輸入の急増が背景で、貿易面が引き続き第1・四半期の経済成長の重しが示唆された。
 ≪原油価格≫
 5月5日石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」は5日に開いた閣僚級会合で、現行の緩やかな増産ペースを6月も維持することで合意した。西側諸国は一段の増産を呼びかけていたが、ロシア産原油の供給阻害の責任はOPECプラスにないとし、呼びかけに応じなかった。インベステックのカラム・マクファーソン氏は、OPECプラスはロシアを巡る問題は「欧米が自ら作り出したもの」と見なしており、OPECプラスが対応すべき根本的な供給問題ではないと考えていると指摘。大きな増産余力を持っているのはサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)のみで、「両国が増産すれば、ロシアとの対立でOPECプラスは崩壊する」と述べた。
 ≪物流問題≫
 ≪サプライチェーン≫
 ≪中国≫
 ≪環境問題≫
 ≪ロシア≫
 4月28日、バイデン米大統領は議会に対し、ウクライナへの軍事、経済、人道支援として総額330億ドル(約4兆3000億円)の緊急資金を議会に要求。「ウクライナと、自由を求める同国の戦いを支援するためこの法案が必要だ」とし、「兵器と資金、弾薬を提供し、こうした支援でウクライナの人々の勇気と犠牲を意義あるものにしなければならない」と述べた。(ロイター)
 28日、米国のオースティン国防長官はウクライナ戦争に触れ、米国とロシアの代理戦争の様相を深めているとの見方を否定した。記者団の代表取材の会見で「これまでも、また現在も明らかにウクライナの戦いである」と指摘。(CNN)
 4月20日、トルコのメブリュト・チャブシオール外相は北大西洋条約機構の一部加盟国が、ロシアを弱体化させることを狙って同国とウクライナとの間の紛争の長期化を望んでいると非難した。(AFP)
 
米政府が13日に発表した8億ドル(約1000億円)相当の追加支援には、155ミリりゅう弾砲18門、砲弾4万発、装甲兵員輸送車「M113」200台、ヘリコプター「Mi17」11機、多目的装甲車100台が含まれている。米国防総省のジョン・カービー報道官は、ロシアの侵攻を受けて北大西洋条約機構域内の東部に配備されている米部隊が、最新鋭のりゅう弾砲の運用について、ウクライナ兵に対する訓練を「今後数日以内に」開始すると述べた。
 一方で、米国はウクライナに大量の武器を供与しているが、国境を越えて送り込んだ対戦車ミサイルや地対空ミサイルなどの兵器がどうなったかを確認する方法はほとんどないと、関係者がCNNに証言した。バイデン政権はそのリスクを認識した上で、武器を供与している。短期的な観点から米国は、ロシア軍の侵攻に対してウクライナが持ちこたえるためには大量の兵器の供与が不可欠とみている。(CNN)
 また、 現地に米軍がいないことから、米国や北大西洋条約機構(NATO)はウクライナ政府が提供する情報に大きく依存する情況にある。ウクライナには、自分たちへの援助を増やし、武器の供与を増やし、外交支援を増やす根拠となる情報しか提供しない動機があることは、米当局者も認識している。
 「これは戦争だ。彼らが公にする行動や発言は全て、自分たちが戦争に勝つことを目的としている。公式発言は全て情報作戦であり、全てのインタビューも、ゼレンスキー(ウクライナ大統領)の放送出演も全て情報作戦だ」。西側の情報に詳しい別の関係者はそう語り、「彼らがそうすることが間違っているという意味ではない」と言い添えた。(CNN)
 この報道に対して、4月13日、ロシアのリャプコフ外務次官はロシアはウクライナ領内で武器を運搬する米国と北大西洋条約機構(NATO)の車両を合法的な軍事標的と見なすと述べた。ウクライナのゼレンスキー大統領の狙った、米国・西欧諸国対ロシア(中国・インド)の対立構図が明確となった。
 経済・政治のブロック化が鮮明となり、第一次・第二次大戦当時の戦争拡大のきっかけ状況と似てきた。
 ≪民主主義サミット≫
 22年5月10日、メキシコのロペスオブラドール大統領は、米国が来月開催する米州首脳会議について、域内の全ての国が招待されなければ出席を見合わせる意向を示した。また、米国が中米諸国に十分な投資を行っていないと批判している。会議では、移民、環境、民主主義について協議する予定。中南米の2大国であるメキシコとブラジルの首脳が欠席すれば打撃となる。(ロイター)
 ≪北朝鮮≫
 5月4日、5月8日、北朝鮮が弾道ミサイル1発発射。5月12日弾道ミサイル3発発射。今年15回目。
 ≪中東≫
 ≪統括≫
 世界経済は、各国中央銀行の金融緩和・政府の補助金等の政策で企業倒産を食い止めており、完全失業者をそれほど出さず、自殺者の急増を防いできた。その中で、コロナによる犠牲者(死亡者)を乗り越え、製造業中心に経済活動が回復している。一方で人件費の高騰が報道されている。アメリカの対中国戦略により中国・アジア地区中心のサプライチェーンに亀裂が生じ、物流の根本が揺らぎ始めた。コロナ対策が起因で生じたインフレの高進処理が終わらない状況で、米国に集中するコンテナの問題、エネルギー資源・食料資源に由来するロシア制裁、ウクライナの内戦処理の失敗、さらに食糧危機問題が発生し、各国の金利引き上げによる国内の経済維持に警鐘がなり、世界経済のスタグフレーションの状況となりつつある。
 世界世論はロシアへの非難に終始している。ロシア・ウクライナとの休戦・停戦交渉は暗礁に乗り上げている。ウクライナのゼレンスキー大統領は、民主主義の基礎となる自国民の安全・安心を確保するという本筋(米国南北戦争後のリンカーン)を忘れて、為政者としてはやってはいけない、自国民の犠牲者が増えていることを無視する形で、西側諸国のマスコミへのお涙頂戴なのか情報提供としてSNS等の手段を駆使、さらに休戦に向けた努力もなく、欧米各国政府への武器供与を呼び掛けているのが現状である。
 さらに、戦争拡大を煽るように、4月12日、バイデン米政権はウクライナへの約7億5000万ドル(約940億円)相当の軍事支援パッケージを準備している。武器や装備品は、緊急時に議会承認なしで迅速に備蓄から提供することが可能な大統領権限に基づいて供与される見込み。(ロイター)さらに、4月21日、バイデン米大統領は、ウクライナに対する8億ドル規模の追加軍事支援を発表し、ウクライナへの支援をさらに強化する姿勢を示した。大統領はホワイトハウスで演説し、榴弾砲や弾薬、軍用ドローンの提供を確約。米国と同盟国はウクライナに必要な装備と武器を提供するため「可能な限り迅速に動いている」とした。(ロイター)米国中間選挙向けであることは明白である。
 
戦争当事者のウクライナ指導者の先導的なパフォーマンスに迎合し、他人事のように、本当の犠牲者であるウクライナ国民の安全・安心の議論はない。一般国民は、健康で安心・安全で生活できれば良く、映画・音楽・演劇・文化に触れあう環境を望んでいる。戦争(殺し合い)は望んでいない。報道のようなアイデンティティの問題ではない。食料・仕事・教育を含め衣食住の環境を整えるのが『為政者』の基本的な仕事なのだが・・・。専門評論家の言う政治体制は関係ない。『帝王学』を含め国民目線からの積み上げの政治学が必要である。
 各国でインフレが高進しているが、各種の商品値上げで困窮(迷惑)するのはそれぞれの自国民であることを忘れている。政治の基本は国民であって、世界秩序ではない。同じことがコロナ対応でもいえる。
 ウクライナの戦後復興費用および負担がどうなるか?中国・ロシアを排除したサプライチェーンの再構築にかかる期間・その費用に対する議論がなされていない。エネルギー供給についても備蓄原油放出で何とか凌ぐつもりでも、第二次オイルショック以降の備蓄戦略であったことが忘れられている。その補充するにはOPEC等の石油産出国の協力が必要であるが、補充コストは1バレル100ドルを超えることが予想(一説では130ドル)されており、今後に対する筋書きもない。しかし、ロシア崩壊を狙って、ロシアの豊富な資源の獲得を米国・西欧諸国が画策しているのであれば別である。オイルショック以降、イスラエルを使って中東戦争を起こしたように・・・。
 いずれにせよ、インフレの長期化からは逃れられない。これまで、コストについては価格転嫁することでごまかしができたが、各国国民の所得が順調に増えるとは考えられない。
 さらに利上げをきっかけに、スリランカのような発展途上国の借り入れ問題から食糧危機・メキシコ危機・アジア危機の再来が予想される。IMFの対応は数か月先のようだ。事実、国際通貨基金(IMF)アジア太平洋局長代理のアンマリー・グルデウルフ氏は26日、債務危機に陥っているスリランカについて、金融引き締め、増税、変動為替相場制への移行といった方策を取るよう促した。さらに、スリランカの支援要請に対して「債務の持続可能性に向けた進展が融資の条件になる」と述べた。他人事のように形式的な対応で終わっている。
 小麦・パラジューム・アルミ・ニッケル・天然ガス等世界の供給に占める割合の多い資源・食料価格が上昇。コロナによるサプライチェーンの麻痺が解消されない状況でインフレの種を増やす結果となっている。今回の欧米の対応は経済運営上、自分で首を絞める状況となっており、金融政策の足かせとなってきた。ここにきて、ロシア・ウクライナの石油・天然ガス・石炭・小麦・トウモロコシさらに半導体関連の主要供給に関して警鐘がなり始め、欧米諸国のインフレ(物価上昇)の追加要因となった。市場は、サプライチェーンが国家体制(政治要素)とは別に、複雑に絡み合っている現実を認識し始めた。物価が上昇し、国民生活に影響が出ており、コロナも沈静化しているわけではない。一方で、欧州では懸念の声が上がり始めたが、米国は大丈夫との安心感が前提となって今の相場が形成されている。
 
米国の人口は3億人、英国・フランス・ドイツ等の西欧諸国の人口はそれぞれ4~5千万人、そのほとんどが移民で構成されている。過去、植民地時代その後の資本主義で潤ってきた国なのだろうか。ロシアでさえ1億数千万人。これに対して人口規模で異なっており、さらに植民地政策で苦汁をなめたインド(英国の植民地)・中国(アヘン戦争・日中戦争)のように10億人台を超える国民の生命・食料・生活を維持するする政治に対する姿勢(国家体制)・主義主張の違いがあってもおかしくはない。第1次・第2次大戦後独立した中東諸国・南米・アフリカ諸国にとっても同じである。既存のグローバルスタンダードの意義が問われている。
 資金力・技術力に劣る資源を持つ国(ロシア)の主張が始まったと思われ、オイルショック(石油危機)時と同じ背景がそこにある。ただし、相手がロシアという軍事力のある国であることは厄介である。インフレの解決策である中央銀行による利上げが本当に特効薬となるか試されている。世界各国の実体経済の悪影響が出始めており、統計数値を待っている市場参加者が気づいた時、すでに遅いというデフレ・スタグフレーションの可能性は否定できない。欧米でインフレが進み実体経済への影響が統計数値に表れ始めた。企業による価格転嫁による収益確保に対して原材料費・人件費高騰が減益要因となり、最終需要者である消費者にとって不利になり貧富格差の拡大がさらに進む結果となりつつある。さらに、利上げによる副作用である企業倒産・失業対策が必要となる、スタグフレーションの状況となりつつある。ある意味でシンギュラーポイントがどこなのかが試されている。
 さらに、ウクライナの戦後処理・再生費用が77兆円規模になりウクライナ大統領は支援を呼び掛けているが、欧米諸国・IMFを含めその余力はない。ロシアにその費用を持たせるには、ロシア本土に攻撃を仕掛けプーチン大統領を敗北に導く以外に方法はない。
 一方、ドル基軸通貨の脆弱性・米国軍事力の圧倒的な優位性が失われていること・世界政治経済の指導力に対する警鐘等が露見する結果となりそうである。ニクソンショックが何であったかが問われている。
 ウクライナ国民の犠牲者が急増するも徹底抗戦としてロシアへの攻撃を中断することもなく、停戦交渉のテーブルに載っていない。まるで第二次世界大戦時の(沖縄戦・東京大空襲)にも拘わらず、本土防衛・決戦とした日本軍の連合国軍への対応と同じ現象となっている。終戦のための方法について、生物兵器・化学兵器・核爆弾の使用が報道されている。最終的に核爆弾を実施したのは米国であった歴史を忘れてはならない。唯一の被爆国であり、日本の航空域制限等戦後の体制は継続している。第二次大戦後に生まれた、バイゼン大統領・ウクライナのゼレンスキー大統領。プーチン大統領等『戦争を知らない子供たち』(北山修作詞)の世代のリーダーが世界を動かしている。
 世界最大の新型コロナウイルス感染国米国(22年05月12日時点で感染者数8237万8216人、死亡者数100万0798人)となっている。WTI原油先物は、110.130ドル台となり、ドルインデックスは104.4796、円ドルは129.250円で取引を終えた。

今週の予想

今週のドル円予想レンジ:126.00円~131.50円
ピボット分析(日足ベース):127.98円~130.28円


今週の主な予定

16日(月)
  中国小売売上高・鉱工業生産(4月)
  NY連銀製造業景況指数(5月)
  欧州委員会、春季経済予測公表
  EU外相理事会

17日(火)
  米小売売上高(4月)
  ラガルドECB総裁、講演
  パウエルFRB議長、講演

18日(水)
  日本GDP速報値(第1四半期)
  中国住宅価格指数(4月)
  英国消費者物価指数・生産者物価指数(4月)
  ロシアGDP速報値(第1四半期)
  G7財務相・中央銀行総裁会議(20日まで)

19日(木)
  ECB議事録
  米景気先行指数(4月)

20日(金)
  日本消費者物価指数(4月)
  中国最優遇貸出金利(ローンプライムレート 1年・5年)
  バイデン米大統領、訪日

21日(土)
  豪州総選挙
  APEC貿易相会合(22日まで)

22日(日)
  世界保健機関(WHO)、第75回世界保健総会(28日まで)
  世界経済フォーラム年次総会(ダボス、26日まで)


2022年05月16日更新


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