為替レポート

08月01日~08月05日週

【為替の動向】
ドル/円(24時間)
08/01(月)08/02(火)08/03(水)08/04(木)08/05(金)
OPEN133.245131.656133.188133.839133.003
HIGH133.560133.210134.547134.426135.505
LOW131.587130.390132.280132.760132.520
CLOSE131.654133.179133.833133.003134.985

先週のドル円レンジ:130.39円~135.51円

08月02日 IMM通貨(円)先物動向
円:42753枚の売り越し 前週比18728枚の売越減

 先週は、新型コロナ(オミクロン変異種)の感染拡大続き、ついに日本の感染者数が世界1位となった。パンデミックは終わっていない。ウクライナ戦争の長期化に起因するインフレにより世界経済の景気減速懸念が再燃。一方、インフレによる実体経済の影響が指数に表れ始め、ドル高の修正が見られた。ミクロ部分で米国経済の減速が見られるものの、マクロ指標でみると堅調な米国企業の決算発表、雇用の堅調さを理由として株式は買われた。
 米中首脳会談以降、台湾をめぐる主導権争いがペロシ氏の訪問で顕在化。米中の対立が軍事対立に発展している。
 31日『ロシア大統領「米国が主な脅威」、新たな海洋戦略に署名』、1日『プーチン氏「核戦争に勝者なし」、NPT会議向け書簡で表明』、2日『ロ、米がウクライナ戦争に直接関与と主張』、5日『ロシア・トルコ、ルーブルで一部ガス支払いへ 首脳会談で合意』ウクライナ戦争がついに米ロ対立構造となった。
 2日『米国がサウジにミサイル売却承認 4000億円、防空支援』、3日『OPECプラス、9月に小幅増産へ 米に「侮辱的」との見方も』、4日『サウジとUAE、今冬深刻な供給危機なら「相当規模の増産」可能=関係者』
 
1日『15年の核合意復活、米・イラン・世界に最善の結果=米国務長官』、一方米国の中東戦略が原油増産を求める要請とイラン懐柔に向かったがこれといった成果は見られない。
 
対中政策では、1日『米、中国への半導体製造装置の輸出規制強化-主要サプライヤーに通知』、『アメリカ・中国、長い覇権争いの始まり』、3日『ペロシ氏、台湾を見捨てないと明白にするため訪問-蔡総統と会談』、『ペロシ氏、訪台は「地域の平和のため」-台湾立法院の蔡副院長と会談』、世界市場への深い影響、ストラテジストら懸念-ペロシ氏訪台 (訂正)、5日『米中の対立鮮明、ASEAN会議 台湾巡る緊張で』
 
ペロシ氏の訪台をきっかけに対立が軍事行動にまで及んだ。
 1日『米ISM製造業景気指数、7月は約2年ぶりの低水準 予想は上回る』、『米建設支出、6月は1.1%減 一戸建て住宅が低調』、『米就業者数と労働時間が7月に減少=ホームベース』、『アングル:米インフレ、若者と低所得層に痛撃 相次ぐ返済遅延』、『アングル:積み上がる在庫、物価高で急減速する米消費の実態』、2日『米家計債務、第2四半期は過去最高の16兆ドル超 インフレ高進で』、3日『米家計債務、4-6月に16兆ドル突破-住宅ローンが膨らむ』
 
週初より米国の経済減速を懸念する材料が散見された。一時130円台半ばまで売られたが、マクロの経済指標の発表を受けてドル高となった。
 3日『米ISM非製造業指数、7月は予想外に上昇 物価上昇圧力緩和で』、4日『米新規失業保険申請、26万件に増加 予想上回る』、『米貿易赤字、6月は6.2%減の796億ドル 輸出が過去最高』、5日『米7月雇用、予想上回る52.8万人増 失業率3.5% 利上げ継続へ』
 
134円99銭で取引を終えた。また世界中の熱波・山火事が報道されており、食糧危機の長期化が懸念される。
 世界最大の新型コロナウイルス感染国米国(22年8月08日時点で感染者数9211万2922人、死亡者数103万3566人)となっている。WTI原油先物は89.720ドル台となり、ドルインデックスは106.5403、円ドルは134.99円で取引を終えた。

今週の予想

今週のドル円予想レンジ:131.00円~136.50円
ピボット分析(日足ベース):131.47円~137.44

以下参考記事を掲載する。

ロシア大統領「米国が主な脅威」、新たな海洋戦略に署名
[サンクトペテルブルク(ロシア) 31日 ロイター]
ロシアのプーチン大統領は31日、米国を主要なライバルと位置付け、北極圏や黒海など重要な領域における軍事的な野心を示した新たな海洋戦略に関する大統領令に署名した。「海軍の日」を記念する式典で演説し、ロシアが開発した極超音速巡航ミサイル「ツィルコン」を数カ月中に北方艦隊のフリゲート艦「アドミラル・ゴルシコフ」に配備すると表明。ロシアにはいかなる侵略者も打ち負かす軍事力があると誇示した。
新たな海洋戦略では「世界的な海洋支配を目指す米国の戦略的政策」と、北大西洋条約機構(NATO)による国境付近での動きがロシアに対する主な脅威だと指摘。ロシアは外交・経済的手段が尽きた場合、世界の海洋状況に応じて適切に軍事力を行使することが可能とした。また、インドとの戦略・軍事的協力関係、およびイラン、イラク、サウジアラビアなどとの全般的な協力関係の構築を優先事項に掲げた。(ロイター)
米、中国への半導体製造装置の輸出規制強化-主要サプライヤーに通知
2022年8月1日 9:10 JST
ラム・リサーチとKLAが新規制について通知を受けたことを確認。中国の経済的野心に歯止めを掛ける米政府の取り組みが浮き彫りに米国は中国に対し、半導体製造装置へのアクセス制限を強化していると、同装置の主要サプライヤー2社が明らかにした。中国の経済的野心に歯止めをかける米政府の取り組みが浮き彫りになっている。米政府は既に、線幅10ナノメートル(㎚)以下の半導体が製造可能な装置の大半について、中国最大の半導体メーカーである中芯国際集成電路製造(SMIC)に許可を得ず販売することを禁止している。今回はこの制限の対象を14㎚以下の半導体が製造可能な装置に拡大したと、ラム・リサーチのティム・アーチャー最高経営責任者(CEO)がアナリストに明らかにした。今回の制限はSMIC以外にも拡大し、台湾積体電路製造(TSMC)など受託半導体メーカーが中国で稼働する製造施設も含まれる公算が大きい。アーチャーCEOは7月27日の電話会議で「14㎚以下の半導体の製造施設について、中国への技術の出荷制限が拡大することが最近通知された」と指摘。KLAのリック・ウォラスCEOも同月28日、米政府から同様の通知を受けたことを確認した。米商務省は声明で、中国に対する政策を強化していると説明したが、対象となる半導体の詳細については明らかにしなかった。米国はオランダや日本に対し、世界の大部分の半導体製造に必要不可欠な主要技術をASMLホールディングやニコンが中国に販売するのを禁止するよう求めていると、ブルームバーグ・ニュースが伝えていた。今回の新たな規制はSMICやTSMCなどに加え、アプライド・マテリアルズやASML、東京エレクトロンなど中国市場に販売する半導体装置メーカーにも影響する可能性が高い。TSMC、東京エレクトロン、SMICの担当者はコメント要請に直ちに応じていない。ASMLの広報担当者は新たな規制の可能性について通知を受けていないと説明した。ニコンの広報担当者は、同社の対中出荷は影響を受けていないとコメントした。 (ブルームバーグ)
米ISM製造業景気指数、7月は約2年ぶりの低水準 予想は上回る
[ワシントン 1日 ロイター]
米供給管理協会(ISM)が1日に発表した7月の製造業景気指数は52.8と6月の53.0から低下し、2020年6月以来の低水準となった。ただ、市場予想の52.0は上回った。指数は50が景気拡大・縮小の節目となる。製造業は米経済の11.9%を占める。ISM製造業調査責任者のティモシー・フィオーレ氏は「過剰在庫と過去最長のリードタイム継続への懸念が高まっており、新規受注率が軟化する兆しがある」と指摘。ただ「新規受注率に関する不透明感にもかかわらず、雇用は依然として非常にポジティブだ」とした。業種別では、6大業種のうち、石油・石炭製品、コンピューター・電子部品、輸送機器、機械類の4業種が中程度から力強い伸びを示した。先行指標となる新規受注指数は48.0と6月の49.2から低下。低下は2カ月連続だった。受注残も低下し、今後数カ月内に製造業が一段と減速することを示唆した。供給業者の納入を示す指数は57.3から55.2に低下し、供給上のボトルネックは緩和されつつあるもよう。同指数が50を上回ると納入に時間がかかっていることを示す。価格指数は78.5から60.0に大幅に低下し、20年8月以来の低水準を付けた。雇用指数は49.9に上昇したものの3カ月連続で節目の50を下回った。ただ、ISMは「企業は引き続き力強いペースで雇用を行っており、解雇や採用凍結、人員削減の兆候はほとんど見られない」とした。(ロイター)
米建設支出、6月は1.1%減 一戸建て住宅が低調
[ワシントン 1日 ロイター]
米商務省が1日に発表した6月の建設支出(季節調整済み)は年率換算で前月比1.1%減少した。住宅ローン金利が上昇する中、一戸建て住宅建設への支出が大幅に減った。市場予想の0.1%増に反して減少。5月は0.1%増だった。6月は前年同月比では8.3%増えた。民間部門は前月比1.3%減、5月は0.2%増だった。6月の住宅建設は1.6%減。うち一戸建て住宅が3.1%減った一方、集合住宅は0.4%増えた。住宅ローン金利が上昇したことで購入希望者にとって手が届きにくくなり、住宅市場は悪化している。住宅建設の2022年第2・四半期の前期比減少率は、約2年ぶりの大きさとなった。これが一因となり、同期の国内総生産(GDP)は年率換算で0.9%減った。第1・四半期は1.6%減っていた。米連邦準備理事会(FRB)は先週、政策金利をさらに75ベーシスポイント(bp)引き上げ、利上げを再開した3月以降に累計225bp引き上げた。ガス・油井掘削などの民間非住宅建設は6月に0.5%減り、5四半期連続のマイナスとなった。公共部門は0.5%減。5月は0.7%減っていた。6月は州・地方政府が0.6%減った一方、連邦政府は1.2%増えた。
米就業者数と労働時間が7月に減少=ホームベース
[1日 ロイター]
10万社以上の中小企業に勤める約200万人の従業員に関するデータを追跡している勤怠管理サービス提供企業ホームベースの分析によると、米就業者数と総労働時間が7月に減少したことが分かった。7月の労働時間は前月から約12%減少したという。今週5日には7月の米雇用統計が発表される。ロイターがまとめたエコノミスト調査によると、非農業部門雇用者数は25万人増と6月の37万2000人増から鈍化すると見込まれている。(ロイター)
15年の核合意復活、米・イラン・世界に最善の結果=米国務長官
[国連 1日 ロイター]
ブリンケン米国務長官は1日に国連で開幕した核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議で、2015年のイラン核合意の復活が米国やイラン、全世界にとって最善の結果であることに今も変わりはないという認識を示した。また、北朝鮮が7回目の核実験を行う準備を進めているという米国の警告を繰り返した。さらに、米国は核兵器使用を巡るリスク低減に向け、中国を含め、全ての核保有国と連携する用意があると表明した。バイデン大統領もNPT再検討会議に向けの声明で、2026年に期限切れとなる米ロの新戦略兵器削減条約(新START)に「替わる新たな軍縮枠組みを巡り迅速に交渉する用意がある」と表明したほか、中国については、核拡散防止において主導的な役割を果たす責任があるという認識を示した。(ロイター)
プーチン氏「核戦争に勝者なし」、NPT会議向け書簡で表明
[ロンドン 1日 ロイター]
ロシアのプーチン大統領は1日、核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議向けの書簡で、核戦争に勝者はおらず、そのような戦争を決して起こすべきではないとし、国際社会のために「平等で不可分な安全保障」を支持すると述べた。ウクライナでの戦争が5カ月超に及ぶ中でのプーチン大統領の今回の発言は、国際社会に安心感を与え、ロシアが責任ある核保有国であることを印象付けることが狙いとみられる。(ロイター)
豪中銀が0.5%利上げ、政策金利1.85%に 追加引き締めも示唆
[シドニー 2日 ロイター]
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は2日、オフィシャルキャッシュレートを50ベーシスポイント(bp)引き上げ、1.85%とした。今後さらなる引き締めを行う姿勢を示したが、政策の道筋はあらかじめ定められていないとした。声明で、利上げによって政策の「正常化」が一段と前進したとの認識を示した一方、「異例の」金融支援についての言及を削除した。利上げは5月以降4回目で、市場では広く予想されていた。ただ、声明の文言変更はややハト派的と受け止められ、豪ドルは0.4%下落した。(ロイター)
米家計債務、第2四半期は過去最高の16兆ドル超 インフレ高進で
[2日 ロイター]
米ニューヨーク(NY)連邦準備銀行が2日公表した報告書によると、第2・四半期の米家計債務は16兆1500億ドルと過去最高を更新した。住宅ローン残高が2070億ドル急増したほか、クレジットカード残高や自動車ローンも増加した。高インフレを受け借り入れが増加したという。住宅ローン残高は6月末で11兆3900億ドルとなった。住宅購入の新規融資実行額が7%増加。主に借入額が増加したためという。NY連銀によると、米家計債務はパンデミック(世界的大流行)発生直前の2019年第4・四半期から2兆ドル以上増加している。クレジットカード残高は第2・四半期に460億ドル増加。1999年以降で最大の伸びとなった。自動車ローンの新規融資実行額は33億ドル増の1990億ドル。融資件数の増加よりも1件当たりの融資額の増加を反映した。NY連銀の研究者は「学生ローンを除く全ての種類の債務が大幅に増加した」とし、「各債務の増加は物価上昇に伴う借り入れの増加が一部反映されている」とした。延滞率は全ての債務で小幅に上昇。クレジットカードと自動車ローンの延滞率は特に低所得者層で上昇した。NY連銀の研究者は、延滞率は2019年のパンデミック前の水準に上昇しているが、なお過去最低水準にあると指摘。「ただ、これ以上に上昇すれば、家計のバランスシートの状態に関する懸念がやや高まるため、引き続き注視する必要がある」とした。(ロイター)
ロ、米がウクライナ戦争に直接関与と主張
[ロンドン 2日 ロイター]
ロシア政府は2日、同国とウクライナの戦争に対し、世界最大の軍事力を持つ米国が直接関与していると主張した。ウクライナのロシア軍に対するミサイル攻撃を米国のスパイが承認し、調整しているのが理由とした。ロシア国防省は、ウクライナ軍情報部のスキビツキー副部長が英紙テレグラフに対し、米政府が高機動ロケット砲システム(HIMARS)によるミサイル攻撃を調整していることを認めたと指摘した。ロシア国防省は「この全てがホワイトハウスや国防総省の主張とは逆に、米政府がウクライナでの紛争に直接関与していることを紛れもなく証明している」と訴えた。バイデン米大統領はこれまでにウクライナがロシアを負かすことを望んでいると表明し、ウクライナに何十億ドルもの武器を供与している。しかし、米当局者らは米ロ両軍の直接対決は望んでいない。ロシアは、ウクライナ東部の親ロシア派が実効支配する地域での民間人を標的としたミサイル攻撃はバイデン政権に責任があると主張。ロシア国防省は「居住区へのロケット攻撃、ドンバスや他の人口が多い地域の民間インフラへのロケット攻撃全てに直接責任があるのはバイデン政権だ。これらの攻撃で民間人が大勢死亡した」と表明した。ウクライナ戦争の捉え方は、ロシアと西側諸国で非常に大きく異なっている。(ロイター)
ペロシ氏、台湾を見捨てないと明白にするため訪問-蔡総統と会談
2022年8月3日 0:01 JST 更新日時 2022年8月3日 12:18 JST
蔡総統、台湾は高まる軍事的脅威に屈せず軍事力を強化する
中国は台湾への天然砂輸出停止-台湾国防部は中国軍の演習非難
台湾訪問中のペロシ米下院議長は3日、台北で蔡英文総統と会談した。蔡総統はペロシ氏が確固とした支持を示すため台湾を訪問したと評価し歓迎の意を示すとともに、台湾は高まる軍事的脅威に屈せず、インド太平洋の安全保障で米国との協力を継続し、防衛力を強化すると表明した。これに対し、ペロシ氏は蔡総統の指導力を称賛した上で、今回の訪問は台湾を見捨てないと明白にするためだと説明した。ペロシ氏は2日夜に台湾に到着。副大統領に次いで大統領継承順位2位の現職の下院議長による訪問は、1997年のギングリッチ氏以来25年ぶりだった。中国はペロシ氏の訪台を非難し、台湾周辺で「長距離実射」を含む一連の軍事演習を実施すると表明。2日夜にも開始し、4日以降もさらなる演習を行うとした。中国国営中央テレビ(CCTV)は3日早く、中国が海軍と空軍の合同演習を台湾周辺で開始したと伝えた。
ペロシ氏の台湾訪問を巡る主な動きは次の通り。
ペロシ氏、訪台は「地域の平和のため」-台湾立法院の蔡副院長と会談
 ペロシ氏は台湾立法院の蔡其昌副院長と会談し、「われわれは台湾への友情、地域の平和のためここにいる」と述べた。また議員団の訪問の目的は安全保障と経済とガバナンスの3つであり、議会間の協力と対話を増やしたいと語った。
かんきつ類輸入なども停止
 中国税関総署は台湾からのかんきつ類やタチウオ、冷凍アジの輸入を3日から停止することを明らかにした。昨年以降、こうした輸入品に害虫や残留した殺虫剤、新型コロナウイルスを検出したことを受け、リスク防止が目的だと説明した。
「一つの中国」の原則に違反-人民日報社説
 中国共産党機関紙・人民日報は社説でペロシ氏の訪台について、米国の真の目的が中国の発展の阻害と抑制だということを如実に示したと指摘。「一つの中国」という原則に反しており、米中関係の政治的基盤に深刻な打撃を与えていると主張した。
中国、台湾への天然砂輸出を停止
 中国商務省は3日、台湾への天然砂輸出の停止を決定し、同日から実施すると発表した。関連法規に基づく措置だと明らかにしたが、具体的な説明は控えた。
中国、台湾企業100社余りからの食品輸入を禁止
 中国は台湾企業100社余りからの食品輸入を禁止した。台湾の聯合報によると、中国税関総署はこうした禁止措置を1日に実施。魚介類や茶、蜂蜜などが禁止措置の対象になったという。台湾の蘋果日報は、輸入書類に関する古い情報が問題視され、台湾の食品薬物管理署が情報の収集に努めていると伝えた。
中国の軍事演習の計画非難-台湾
 台湾国防部(国防省)は3日の声明で、中国が4-7日に計画している軍事演習について、地域の平和と安定を損なうと非難した。2日の声明では、「脅威に応じて相応の部隊」を派遣する用意があり、「安全保障の確保を決意し、それについての自信と能力がある」としていた。  
北朝鮮がペロシ氏訪台を非難
 北朝鮮外務省はペロシ氏の訪台について、中国内政への「無分別な介入」だと非難した。北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)が伝えた。それによると、同省報道官は「国家主権と領土の一体性を断固守るとした中国政府の立場を完全に支持する」とした上で、こうした介入に「主権国家が対抗措置を取るのは正当な権利だ」と語った。
米国の駐中国大使に抗議
 中国外務省はペロシ氏の台湾到着後、声明で「中国は国家主権と領土の一体性を断固守るために必要なあらゆる措置を講じる」と表明した。国営メディアによれば、同省は米国のバーンズ駐中国大使を呼んで抗議した。中国の習近平国家主席は先週の首脳会談でバイデン米大統領に対し、「中国の国家主権と領土の一体性を断固として守る」とし、「火遊びをする者はやけどを負う」と述べていた。
台湾総統と昼食へ
 台湾メディアによると、ペロシ氏は3日午前に立法院(議会)を訪問。蔡総統と昼食を共にし、民主活動家とも会う予定。また、米紙ワシントン・ポストは、ペロシ氏が台湾積体電路製造(TSMC)の会長と会談する予定だと報じた。(ブルームバーグ)
米国がサウジにミサイル売却承認 4000億円、防空支援
2022年8月3日 13:03【ワシントン=中村亮】
米政府は2日、サウジアラビアへの地対空ミサイルの売却を承認し、議会に通知したと発表した。関連装備品を含めて売却総額を30億5000万ドル(4000億円)と見積もる。防空支援を強化し、サウジとの関係改善につなげる。
売却を承認したのは地対空ミサイル「パトリオット」のうち誘導改良ミサイル(GEM-T)と呼ばれる種類。弾道ミサイルや巡航ミサイル、航空機を幅広く迎撃できる。米政府によると、サウジは300基の同ミサイルを調達する意向を示していた。
米国防総省傘下の国防安全保障協力局は声明で「低減する在庫を補充し、現在と将来の脅威に対処するサウジの能力を向上する」と説明した。イエメンの親イラン武装組織フーシ派による、無人機や弾道ミサイルを使ったサウジの市街地や重要インフラに対する攻撃に対応すると言及した。
サウジが率いるアラブ有志連合とフーシ派は2日、イエメン内戦での停戦期間を2カ月間延長することで合意した。仲介する国連が明らかにした。両者の停戦は6月に続いて2回目だが、先行きは不透明な面があり米国はサウジの防空体制の強化を支援する。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は2日の記者会見で「サウジには防空に対する合理的なニーズがある」と言明した。地対空ミサイルの売却は、サウジから原油増産を引き出す目的ではないと強調した。バイデン大統領は7月中旬、サウジを訪れて原油増産を要請していた。(日経)
アングル:米インフレ、若者と低所得層に痛撃 相次ぐ返済遅延
[ニューヨーク 1日 ロイター]
米国では物価全般の上昇に伴って光熱費や各種支払いの負担が増大し、若者や低所得層が懐具合の厳しさを実感し始めている。米国では物価全般の上昇に伴って光熱費や各種支払いの負担が増大し、若者や低所得層が懐具合の厳しさを実感し始めている。いわゆるZ世代と呼ばれる若者と、信用スコアが低い人々はクレジットカードや自動車ローンの返済が遅れ、カード債務の残高は新型コロナウイルスのパンデミック発生以降で最も急速に積み上がりつつある。信用スコアモデルを提供しているバンテージスコアが1250万人分の情報を無作為に抽出して分析した結果、25歳以下のクレジットカード債務残高は第2・四半期に前年同期比30%増加した。これに対して、全年齢層の増加率は11%にとどまった。信用スコアが660未満の「ノンプライム層」の借り手の債務残高もこの間、25%近く増えた。パンデミック発生後のある期間、米国の消費者にとっては幸せに見える時があった。彼らの銀行口座には政府からの給付金が振り込まれ、学生ローンの支払いは免除となり、それらの影響で貯蓄が形成されたからだ。銀行の経営幹部は、消費者にはしっかりした金銭的余裕があり、物価高と景気減速にもかかわらず、支出を続けていると口をそろえていた。
しかし、バンテージスコアのシルビオ・タバレス社長兼最高経営責任者(CEO)は、一部の消費者は今や旅行や外食などにお金を使い過ぎて、クレジットカード債務の返済を減らしていると指摘。これは米連邦準備理事会(FRB)のデータで判明したような、借金返済を最優先して質素倹約に努めたパンデミック初年とは実に対照的だ。タバレス氏は「消費者も彼らのバランスシートも力強いし、返済履歴も過去平均に比べればしっかりしている。ただ、幾つか懸念すべき分野があり、その筆頭は消費者が借り入れを増やしていることだ」と話す。7月28日に発表された第2・四半期米国内総生産(GDP)速報値によると、成長率は予想外のマイナスとなり、個人消費の伸びは過去2年間で最低だった。
また、小売りのウォルマートや日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)によると、物価高騰のあおりを受けて消費者は必需品以外の支出を切り詰めており、これらの企業は売上高見通しを下方修正している。
タバレス氏は、急速な物価上昇が若者や信用スコアの低い借り手の財布をさらに圧迫しかねないと警鐘を鳴らした。バンテージスコアの分析では、ノンプライム層によるクレジットカードと自動車ローンの30日を超える支払い延滞の比率も上がっている。若者とノンプライム層のクレジットカード延滞率は、パンデミック前の水準に戻っているという。タバレス氏は、延滞率自体はまだ心配の種ではないとしつつも「注意が必要なのは間違いない。鉱山におけるカナリアの役割が期待できる。つまり1つのグループで起きる出来事は、他のグループにも波及し得る」と語った。
大手信用調査機関・トランスユニオンは、物価がこのまま高止まりした場合、今年第1・四半期に8%だったクレジットカード延滞率は来年第1・四半期に8.4%まで上昇すると予想している。トランスユニオンのデータに基づくと、ノンプライム層の住宅ローンを除く平均債務額は今年第1・四半期時点で2万2988ドルと、前年同期の2万2461ドルを上回り、パンデミック発生直前の2020年第1・四半期の2万2970ドルよりも多い。大部分を占めるのは自動車ローンだ。米国では昨年、自動車購入需要が急拡大し、販売価格が押し上げられるとともにローン期間も延びている。
<信用スコア改善の持続性>
現在の米経済においてもう1つの特徴的な現象は、パンデミック期間に消費が減って借金返済が進んだおかげで、信用スコアの平均が上がったという点だ。
バンテージスコアの平均スコアは6月末時点で697と、20年1月から13ポイントも上昇した。大手銀行バンク・オブ・アメリカも最近、顧客の平均スコアが771に達したと明かした。
それでも複数の専門家は、インフレのショックを急速に痛感している若者や低所得層にとって、クレジットカード債務が膨らみ続ければ、せっかくの信用スコア改善がはかない命に終わってしまうかもしれないとくぎを刺す。銀行のローンポートフォリオを調査しているクレディ・スイスのアナリスト、モシェ・オレンバック氏は、債務残高に目を向けるとパンデミック初期に返済した分が、大幅に伸びている新たな債務に置き換わってきているとの見方を示した。(ロイター)
ユーロ圏総合PMI、7月改定49.9 個人消費低迷で17カ月ぶり低水準
[ロンドン 3日 ロイター]
S&Pグローバルが3日発表した7月のユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI)改定値は49.9と、好不況の分かれ目となる50を昨年初め以降初めて下回った。
生計費の上昇で個人消費が低迷しており、経済見通しが悪化した。総合PMIは17カ月ぶりの低水準。前月の52.0から低下した。速報値の49.4からは上方修正された。
S&Pグローバルのチーフビジネスエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「ユーロ圏の経済見通しは悪化している。7月の域内総生産(GDP)の縮小が示された」と指摘。「インフレの高進、金利の上昇、エネルギーなどの供給懸念を背景に、生産と需要は新型コロナウイルス流行に伴うロックダウン(都市封鎖)期間を除き、過去10年近くで最大の落ち込みを記録した」と述べた。
価格上昇ペースは鈍化したが依然として高水準。新規受注指数は47.6と、前月の50.0から低下し、2020年11月以来の低水準となった。サービス部門PMIは51.2と、前月の53.0から低下。速報値の50.6からは上方修正された。サービス部門の需要は減少。顧客が外出を控え、企業の楽観度が低下した。事業見通し指数は56.8と、前月の58.5から低下し、20年10月以来の低水準。ウィリアムソン氏は「新型コロナ制限措置の緩和で大いに期待された個人消費の急増は妨げられている。家計は生計費上昇への懸念を強めており、裁量的支出が必需品に向けられている」と指摘。「同時に、経済見通しが悪化する中、警戒感の拡大とリスク回避で企業の支出も抑制されている」と述べた。(ロイター)
米家計債務、4-6月に16兆ドル突破-住宅ローンが膨らむ
2022年8月3日 12:24 JST
住宅・自動車ローン、クレジットカード残高の全てで増加が見られる
クレジットカード債務の前年比の伸びは13%と20年余りで最大
米家計債務は4-6月(第2四半期)に2%増加し16兆2000億ドル(約2160兆円)に達したことが、ニューヨーク(NY)連銀の報告書で示された。住宅ローンや自動車ローン、クレジットカード残高の全てでかなりの増加が見られている。4-6月に3120億ドル相当の債務増となった理由の一部には、住宅と自動車の価格上昇が挙げられる。また米国民は数十年ぶりの高インフレに伴うコストの上昇にクレジットカードの利用を増やすことで対応している。NY連銀の家計債務に関する四半期報告書によれば、住宅ローンが債務増の中心で、4-6月増加分の約3分の2を占めた。クレジットカード債務の前年比伸び率は13%と20年余りで最大だった。
 NY連銀のセンター・フォー・マクロエコノミック・データのアドミニストレーター、ジョエル・スキャリー氏は「家計のバランスシートは全体的に力強い状態にあると見受けられるものの、金利がパンデミック(世界的大流行)前の水準に近づく中で、信用力と所得の低い層の借り入れについて滞納が増えつつある」と指摘した。(ブルームバーグ)
OPECプラス、9月に小幅増産へ 米に「侮辱的」との見方も
[ヌルスルタン/ロンドン/ワシントン 3日 ロイター]
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」は3日に開催した閣僚級会合で、9月に日量10万バレルの追加増産を行うことで合意した。声明で、余剰生産能力は限られており、深刻な供給面の混乱に対応するために非常に慎重に活用する必要があると指摘。石油セクターへ投資が慢性的に不足しており、2023年以降の需要増に対応する適正な供給に影響が及ぶとした。OPECプラスは9月5日に次回会合を開催する。OPECプラスの関係者は匿名で、ロシアと協力する必要性を強調。「(今回の合意は)米国を落ち着かせるものだ。またロシアを動揺させるような大幅なものではない」とした。合意を受け、北海ブレント原油先物は約2ドル上昇し、1バレル=101ドル近辺で推移した。バイデン米大統領が先の中東歴訪で、サウジアラビアに対し増産を要請したにもかかわらず、増産幅が10万バレルにとどまったことについて、ユーラシア・グループのマネジング・ディレクター、ラード・アルカディリ氏は「意味がない」ほどの小幅増産で、「政治的ジェスチャーとしてはほぼ侮辱的」な増産だとした。OPECのデータによると、日量10万バレルの増産は1982年の生産割り当て開始以来で最小の増産幅の一つ。
一方、米国務省でエネルギー安全保障担当シニアアドバイザーを務めるアモス・ホッホシュタイン氏は3日、CNNのインタビューで、OPECプラス閣僚級会合での合意について「正しい方向への一歩」と評価した上で、国内の燃料費には大きな影響を与えないとし、バイデン政権は燃料価格の引き下げを引き続き推進すると述べた。また、ロシアのノバク副首相は合意後、ロシアのニュース専門チャンネル「ロシア24」に対し、世界の石油需要はパンデミック(世界的大流行)前の水準をほぼ回復していると言及。物流チェーンや新型コロナウイルスの感染再拡大を巡り不確実性が残っているとし、ロシアとサウジアラビアは10月に政府間会合を開催するとした。(ロイター)
米ISM非製造業指数、7月は予想外に上昇 物価上昇圧力緩和で
[ワシントン 3日 ロイター]
米供給管理協会(ISM)が3日発表した7月の非製造業総合指数(NMI)は56.7と、予想に反し、前月の55.3から4カ月ぶりに上昇に転じた。供給のボトルネックや物価上昇圧力の緩和が追い風となった。米経済成長が今年上期に減速したものの、景気後退に陥っていないという見方を支える内容となった。ロイターがまとめたエコノミスト予想は53.5だった。内訳は、新規受注指数が59.9と、前月の55.6から上昇。輸出が堅調だった。雇用指数は49.1と、2020年7月以来の低水準となった前月の47.4から改善した。一方、供給業者の納入を示す指数は58.3と、前月の61.9から低下。価格指数も前月の80.1から72.3に低下し、21年2月以来の低水準となった。(ロイター)
アメリカ・中国、長い覇権争いの始まり
2022年8月4日 1:00 (2022年8月4日 4:12更新)
米中は互いにひけない対立のトンネルに入った。台湾問題はその元凶というよりも、結果だ。両大国が争っているのは世界秩序の主導権であり、緊張は10年、20年の単位で続くだろう。
米当局者や識者が語る対中観はこの2年半で大きく変わった。2019年末ごろまではサイバースパイや軍拡、人権の抑圧といった「行動」を批判する声が中心だった。20年に新型コロナウイルスの感染が広がるにつれ、共産党の「体質」への批判も多く聞かれるようになった。言論の自由を認めない体制が、感染初期に現場の隠蔽を許し、ウイルスを世界に広げたとの怒りからだ。そして今、米国の警戒心は中国がめざす「秩序観」にも注がれる。中国はウクライナ侵略を続けるロシアをかばっている。戦後、米欧が主導した秩序を壊し、中国主導に変えるつもりだ、と米側は強く疑う。
中国側の不信感も極まっている。米国はなんだかんだ言って、中国の台頭を阻もうとしている。人権や民主主義を振りかざすのは口実にすぎない……。共産党幹部や中国メディアの論調からは、こんな怒りがあらわだ。人間関係でいえば、互いの行動が原因のケンカなら仲直りは可能だ。しかし、相手の体質や世界観を信用できず、許せないとなれば、和解は難しい。これが米中の現状であり、今後、世界秩序の主導権を巡る覇権争いが熱を帯びるだろう。
台湾海峡の緊張はこうした争いの延長線にある。米国の台湾支援は単にハイテクや民主主義の拠点として大事だからではない。アジアを中国圏に染めないためには、台湾の現状を守らねばならないと考えている。米中は経済で深く結びついており、冷戦時代の米ソとは異なる。だが、経済や海洋の権益にとどまらず、イデオロギーや秩序観にも対立が及んでいる点で、新型の冷戦に近い。かつての米ソのように、戦争を防ぐための危機管理を整えることがまず急務だ。(本社コメンテーター 秋田浩之)(日経)

世界市場への深い影響、ストラテジストら懸念-ペロシ氏訪台 (訂正)
2022年8月3日 20:31 JST 訂正済み 2022年8月4日 14:14 JST
市場のボラティリティーやリスクプレミアムが高まる見込み
投資家が神経質になり安全資産がアウトパフォームするとの予想も
ペロシ米下院議長の台湾訪問による市場への直接的な影響は薄れつつあるかもしれないが、ファンドマネジャーやストラテジストは米中の関係悪化が市場にもたらし得るより深い影響を懸念している。米中のデカップリング(切り離し)加速から脆弱(ぜいじゃく)なサプライ チェーンへのさらなる圧力、中国が大量の米国債保有を武器として使う可能性まで、投資家はペロシ議長の訪台の長期的影響について考えを巡らせている。ペロシ氏の訪台は米中間の競争激化に伴う市場リスクと、関係が悪化した場合の中国市場への戦略的投資や世界の商品価格、また安全資産への影響に注目を集めた。
ラボバンクのグローバルストラテジスト、マイケル・エブリー氏は「この問題は市場の関心が続く期間をはるかに超えて長引くだろう」と述べた。「地政学者たちは、第4次台湾海峡危機にまだ心配なほど近い状態だという見解でほぼ一致している」とも指摘した。中国による軍事的対応のレベルについての懸念が後退したことや、米連邦準備制度当局者からのタカ派コメントを受けた米国債相場の下落などでアジア時間3日には安全資産が乱高下した。投資家は、軍事演習や台湾に対する一部の貿易制限以外に中国が講じる報復措置の可能性についてヒントを探し続けている。2日の米国債利回り急上昇は中国が1兆ドル(約133兆円)の保有米国債をどうするかとの議論につながった。
BMOキャピタル・マーケッツのストラテジスト、イアン・リンゲン氏は、「米国債売りの規模を考えると中国が保有米国債をペロシ氏訪台の報復に利用しているのではないかとの観測が浮上するのは時間の問題だった」が、「事実だとしても短期的なフローの影響は世界のマクロ見通しへの悪影響によって影が薄くなるため、弱気は限定されるだろう」との見方を示した。エドモン・ドゥ・ロスチャイルド・アセット・マネジメントのファンドマネジャー、シアドン・バオ氏は「アジア太平洋における米国の影響力が公式に復活すれば必然的に米中のデカップリングが加速するだろう」とした上で 「現在進行中のイベントであることを考えると、投資家は神経質にならざるを得ず、短期的に市場のボラティリティーが高まる可能性を意味する」と分析した。  
サクソ・キャピタル・マーケッツのジェシカ・アミール氏も、最近の緊張は投資家の神経をさらにとがらせるだろうと指摘。この結果、より安全な資産がアウトパフォームすると予想。ドルが買われるだろうと述べた。AMPキャピタル・マーケッツのチーフエコノミスト、シェーン・オリバー氏も緊張悪化が続く場合、米国債や金が有望との見方で、「長期的には、西側諸国と中国・ロシアとの間の冷戦の緊張がさらに高まることが示唆され、これはリスクプレミアムが高まることを意味する」と話した。(ブルームバーグ)
米新規失業保険申請、26万件に増加 予想上回る
[ワシントン 4日 ロイター]
米労働省が4日発表した7月30日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比6000件増加し、26万件だった。エコノミスト予想の25万9000件を上回り、労働市場の一部が軟調になっている可能性が示された。
オックスフォード・エコノミクスの主席エコノミスト、リディア・ブースール氏は「労働市場の状況が徐々に冷え込むにつれ、申請件数が増え続けるリスクはあるが、労働者に対する需要が供給を上回り続けているため、現在の水準からすぐに急上昇することはないだろう」と述べた。申請件数の増加は季節変動によるデータの調整が難しいことが一因の可能性がある。自動車メーカーは通常、7月に設備を一新するため工場を閉鎖し一時的な人員削減を行うが、半導体不足のためそのタイミングがずれ、当局によるデータの季節調整を狂わす可能性があるという。調整前の申請件数は9825件減少の20万5587件。コネティカット州で大幅に増加したが、マサチューセッツ州、ケンタッキー州、オハイオ州での大幅減が相殺した。申請件数はエコノミストが労働市場の減速を示唆するとみている27万-30万件をなお下回っている。
ムーディーズ・アナリティクスのエコノミスト、ライアン・スウィート氏は「申請件数がこの水準で推移し始めたら、雇用の減少が始まり、失業率が上昇するリスクが高まるため、懸念材料になる」と指摘。「失業率の上昇はリセッション(景気後退)の不吉な警告になる」と述べた。7月23日までの1週間の継続受給件数は、前週比4万8000件増の141万6000件。3カ月ぶりの高水準となった。転職支援などを手掛けるチャレンジャー・グレイ・クリスマスが同日発表した統計によると、7月の米企業のレイオフ件数は20.6%減の2万5810件だった。年初来のレイオフ件数は前年同期比31.3%減の15万9021件。1-7月では1993年以来の低水準となった。(ロイター)
米貿易赤字、6月は6.2%減の796億ドル 輸出が過去最高
[ワシントン 4日 ロイター]
米商務省が4日発表した6月の貿易赤字は前月比6.2%減の796億ドルだった。赤字は輸出が過去最高となったことで大幅に縮小。こうした傾向が続けば、第3・四半期も貿易が国内総生産(GDP)の押し上げに貢献する可能性がある。
モノ(財)とサービスの輸出は1.7%増加し、過去最高の2608億ドル。輸入は0.3%減の3404億ドル。貿易収支は7四半期連続で国内総生産(GDP)を押し下げた後、第2・四半期には1.43%ポイント押し上げた。
キャピタル・エコノミクスの米国担当シニアエコノミスト、アンドリュー・ハンター氏は、第3・四半期も貿易収支が引き続きGDPに寄与すると予想した上で、「ただ、最新の調査では世界経済の失速とドル高が今後数カ月にわたり輸出需要に打撃を与えることが示唆されている」とし、貿易収支の寄与は持続しないとの見方を示した。(ロイター)
アングル:積み上がる在庫、物価高で急減速する米消費の実態
[サンバーナディーノ(米カリフォルニア州) 2日 ロイター]
米カリフォルニア州南部・ロサンゼルス都市圏のリバーサイド郡とサンバーナディーノ郡にまたがる「インランド・エンパイア」と呼ばれる地域には、米国最大規模の倉庫群が存在する。それが今、どこも満杯の状態だ。
 米カリフォルニア州南部・ロサンゼルス都市圏のリバーサイド郡とサンバーナディーノ郡にまたがる「インランド・エンパイア」と呼ばれる地域には、米国最大規模の倉庫群が存在する。それが今、どこも満杯の状態だ。
小売り各社は既に衣料品や家電、家具などの販売が鈍化しつつあると表明しており、在庫が増加した。ところが、アジアからは引き続き太平洋を渡って商品が届き、この倉庫群に搬入されているため、状況はさらに悪化しようとしている。複数の専門家は以前から、企業が店頭での欠品を避けようと慌てて商品の発注をかける中で突然需要が下振れ、それでもアジアからの入荷が途絶えない場合、米国のサプライチェーン(供給網)は「ブルウィップ(むち)効果」に見舞われると警鐘を鳴らしてきた。ブルウィップ効果とは、むちがしなるように川下の需要の変化がサプライチェーンの川上方向へ何倍もの大きさで波及し、過剰在庫や生産効率の低下をもたらす現象を指す。インランド・エンパイアの倉庫群は、まさにその瞬間を迎えているように見える。
テネシー大学のアラン・アムリング教授(サプライチェーン問題)も「われわれはむちの痛みを感じつつある」と指摘した。
これらの倉庫群は、需要増大に対応し、アジアからの輸入品をさばく目的で近年急速に規模を膨らませてきた。保管スペースは16億平方フィートに上り、ニューヨークのセントラルパークの約44倍、電気自動車(EV)大手・テスラのテキサス州にある新工場の160倍という広さだ。しかし、個人消費の冷え込みを受け、インランド・エンパイアだけでなく全米各地の倉庫に容量を超える商品が押し寄せる恐れが出てきた。望まない在庫を抱えた小売り各社は、追加費用を払って保管場所を確保するか、利益を犠牲にしても値引きを通じて在庫品を処分するかの二者択一を迫られている。
不動産サービスのクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドによると、特にインランド・エンパイアの倉庫の空室率は0.6%と過去最低で、全米平均の3.1%より大幅に低い。しかも、ウォルマートやベスト・バイなどの買い物客は、新型コロナウイルスのパンデミック期間ほど活発に支出しなくなったため、倉庫の空き容量は一段と縮小しようとしている。
<ドミノ現象>
米国の個人消費はまだパンデミック前よりは高水準だが、小売店やサプライヤーは時流に合わなくなった商品のだぶつきを警戒し始めている。背景には、消費者の関心が旅行などこれまで我慢してきたサービスに向かっていることや、40年ぶりの物価上昇がある。
先週、ウォルマートは食品と燃料の価格高騰で低所得層の顧客による支出が減っていると述べ、ベスト・バイも買い物客はコンピューターやテレビといった非生活必需品の購入を抑えていると表明。これに先立ち、ターゲットもテレビやキッチン家電、衣料品などの在庫が過剰になっていると警告した。米国の経済活動は下振れているが、商品は海外から過去最高に近い水準で流入し続けている。
デスカーテス・データマインによると、今年上半期に米国のコンテナ港で取り扱われた中国などからの輸入品は、パンデミック前よりも26%余り増加した。
米国で最も貨物取扱量が多いロサンゼルス/ロングビーチ港が上半期にさばいた貨物は、40フィートサイズのコンテナでパンデミック前を約55万個も上回った。クリスマス関連商品の入荷や、中国の主要工場の稼働再開で、輸入量はさらに増える可能性がある。
船荷のインボイスを精査するオーシャン・オーディットのスティーブ・フェレイラ最高経営責任者(CEO)は、7月にはクリスマスの玩具や飾り物が、ウォルマートの販売する家具やターゲットが売る衣料品などとともに、米国の港に到着したと話した。小売り各社がこれらの商品を発注したのは数カ月前で、商品の多くは既に保管限度一杯になっているインランド・エンパイアの倉庫群に送られる。マースクでロサンゼルス都市圏にある22の倉庫運営チームのバイスプレジデントを務めるスコット・ワイス氏は「ドミノ現象だ。在庫が積み上がろうとしている」と悲鳴を上げる。ワイス氏の話では、インランド・エンパイアの保管スペースは引き合いが非常に強いので、10万平方フィートや20万平方フィートの空きがあっても瞬間的に埋まってしまうという。
<最後の候補地>
商業不動産助言会社幹部のデーン・フェドラ氏は、インランド・エンパイアではアマゾン・ドット・コムの最大規模の倉庫を含め、合計面積約4000万平方フィート分の倉庫が建設中で、少なくとも38%に予約が入っていると述べた。
ただ、アマゾンはこの410万平方フィートの倉庫建設は進めつつも、他の場所での建設計画は棚挙げしている。こうした同社の倉庫建設計画縮小に加え、金利上昇や景気減速のためにインランド・エンパイアで倉庫建設を検討していた向きが、様子見に転じているとの声が聞かれた。
逆に今すぐ保管スペースを探そうとする動きも、なお見受けられる。インランド・エンパイアでトラックヤードや駐車場になっていた場所はとっくに即席のコンテナ保管施設に転換されており、起業家が最後の倉庫用地として売り出そうとしているのは、閉店した小売店の跡地だ。
「倉庫業界のエアビー・アンド・ビー」を名乗るチャンカーのブラッド・ライトCEOは、州当局や大型店跡地の所有者などと協力し、倉庫建設地探しに奔走している。ライト氏が最近目を付け、訪れたのはサンバーナディーノ郡の「インランド・センター・モール」にあったシアーズ中核店の跡地だ。「閉鎖した小売店は数多く、どこも格好の立地条件だ」という。(ロイター)
米7月雇用、予想上回る52.8万人増 失業率3.5% 利上げ継続へ
[ワシントン 5日 ロイター]
米労働省が5日発表した7月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比52万8000人増と予想を大きく上回り、就業者数は新型コロナ禍前の水準に回復した。失業率も3.5%に低下し、国内経済が景気後退(リセッション)には陥っていない状況を示した。
米労働省が5日発表した7月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比52万8000人増と予想を大きく上回り、失業率は3.5%に低下、国内経済が景気後退(リセッション)には陥っていない。賃金も上昇し、労働市場は底堅さを維持しており、米連邦準備理事会(FRB)が積極的な利上げを継続する見通しだ。
7月の雇用者数は2月以来の大幅増で、19カ月連続での雇用拡大となった。6月の雇用者数は39万8000人と、前回発表の37万2000人から上方修正。6月の失業率は3.6%だった。
ロイター調査では、雇用者数は25万人増、失業率は3.6%と予想されていた。雇用者数の予想レンジは7万5000人増-32万5000人増と幅があった。
ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、サラ・ハウス氏は、雇用統計に米経済が景気後退に陥っている兆候は示されていないとし、「FRBがインフレとの戦いを積極的に進めていく自信を与える内容」と述べた。
BMOキャピタル・マーケッツのマイケル・グレゴリー副チーフエコノミストも「雇用の力強い伸びや極めてタイトな労働市場、非常に高い賃金インフレを背景に、FRBが来月も大幅利上げを継続する公算が大きい」と述べた。
フィナンシャル・マーケッツ・オンラインのディレクター、ジェームズ・ベントレー氏は、金融政策で厳しい舵取りを強いられている他の主要中銀とは異なり、「FRBが迷わず現在の政策軌道を維持できる可能性が高まっている」と述べた。
6月末の求人数は1070万人、求人倍率は1.8倍で、労働市場は引き続きタイト。エコノミストは雇用者の伸びが年内に急減速するとは見込んでいない。
時間当たり平均賃金は0.5%上昇、6月は0.4%上昇だった。前年比では5.2%上昇した。
オックスフォード・エコノミクスのチーフエコノミスト、リディア・ブソワ氏は「労働市場の強さが持続し、労働供給が回復していないため、賃金上振れリスクは当面上向きのようにみえる」と述べた。
平均週間労働時間は横ばいの34.6時間。7月は幅広い分野で雇用が増加。レジャー・接客が9万6000人増で伸びを主導した。うち大半がレストランやバーでの雇用だった。しかし、同部門の雇用は依然2020年2月の水準を120万人下回っている。専門職・企業サービスは8万9000人増、ヘルスケアは7万人増。政府も5万7000人増加したほか、建設業は3万2000人増、製造は3万人増だった。
家計調査によると、6万3000人が労働市場から離脱し、7月の失業率低下の一因となった。労働参加率は62.1%と、6月の62.2%から低下した。経済的な理由によるパートタイム労働者は30万3000人増加した。6月は約20年ぶりの水準に減少していた。(ロイター)
米中の対立鮮明、ASEAN会議 台湾巡る緊張で
[プノンペン 5日 ロイター]
カンボジアの首都プノンペンで5日に開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)と日米中ロの外相会議は、ミャンマーを巡る取り組みについて焦点が当てられれると期待されていたが、台湾を巡る緊張が波及し米中の対立が鮮明となった。
カンボジアの首都プノンペンで5日に開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)と日米中ロの外相会議は、ミャンマーを巡る取り組みについて焦点が当てられれると期待されていたが、台湾を巡る緊張が波及し米中の対立が鮮明となった。2021年10月撮影(2022年 ロイター/Lim Huey Teng)
会議で新たな合意の発表はなく、閉会宣言は6日に先延ばしされたまま終了した。ブリンケン米国務長官は5日、中国軍が台湾周辺での演習でミサイルを発射したことは地域の安定を損ねて緊張をエスカレートさせる深刻かつ不当な行動だとし、米国は中国側に危機を望んでいないと繰り返し表明していると指摘。「このような極端で安定を損ねるエスカレートさせる軍事的対抗措置は正当化できない」とし、「いまや中国は危険な行動を新たなレベルに移行させた」と指摘した。
ASEANも4日、台湾海峡を巡る緊張がもたらす情勢不安定化が「主要国間の誤算や深刻な対立、あからさまな紛争、予測不可能な結果」を引き起こす可能性があるとの見方を示した。
これに対し、中国の王毅外相は4日に予定されていたASEAN外相会議の夕食会開始前に退席。主要7カ国(G7)外相が中国に台湾海峡を巡る緊張を平和的に解決するよう呼びかける声明を発表したことを受け、王外相は4日に予定されていた日本の林芳正外相との会談も見送った。
さらに王外相とロシアのラブロフ外相は5日の全体会議で林外相が発言している途中で退席した。王外相は5日、米国に対し、より大きな危機を引き起こすような軽率な行動を取らないよう警告。別の米下院議長による台湾訪問を認めるという過ちを再び犯す権利は米国にはないと述べた。さらにペロシ米下院議長の台湾訪問を「軽蔑に値する茶番」とし、それに対する中国の軍事的対応は「断固として、力強く、適切」だと強調した。林外相は5日、日本は中国との対話に前向きであり、関係が緊張しているときほどコミュニケーションを維持することが重要と述べた。
ASEAN外相は5日の会議で共同声明を出し、ミャンマー軍事政権について、暴力の即時停止などASEANが昨年決めた5項目の和平合意を限定的にしか履行していないことに「深い遺憾」の意を表明。ただ、5日の共同声明で台湾への言及はなかった。(ロイター)
ロシア・トルコ、ルーブルで一部ガス支払いへ 首脳会談で合意
[モスクワ/イスタンブール 5日 ロイター]
ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領は、ロシア産ガスに対する支払いの一部をルーブルに切り替えることで合意した。インタファクス通信が5日、ロシアのノバク副首相の発言として報じた。ロシア国営タス通信によると、両首脳は5日、黒海のリゾート地ソチで4時間にわたり会談し、輸送業、農業、建設業で協力を強化することでも合意したという。また、ロシア産穀物の無制限輸出などに関する協定を確実に実施する必要性を強調したとした。
会談に先立ち、エルドアン大統領はプーチン大統領とシリア情勢について協議すると述べていた。(ロイター)
サウジとUAE、今冬深刻な供給危機なら「相当規模の増産」可能=関係者
[ロンドン/ドバイ 4日 ロイター]
石油輸出国機構(OPEC)の有力構成国であるサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)が、この冬に世界が深刻なエネルギー供給危機に見舞われる場合には「相当規模の増産」を実行する準備態勢ができている。両国の考えに詳しい複数の関係者が明らかにした。
OPECとロシアなどの非加盟産油国でつくる「OPECプラス」が3日決定した9月の原油生産量の増産幅はわずか日量10万バレル。しかし、声明は加盟国の生産余力に言及するという異例の手に出た。生産余力が「非常に限られている」ことで、産油国として「重大な供給の混乱」に備え余力を温存する必要があると弁明したのだ。一見するとOPECのリーダーたるサウジに増産余地がほぼないと読める。実際、フランスのマクロン大統領も先月、バイデン米大統領との会談でこの点を指摘していた。しかし3人の関係者の話では、サウジとUAEの2カ国には現状で「より大幅な」供給が可能。ただ供給危機がもっと悪化しない限り、実行はしないという意味だという。
関係者の1人は「欧州でこの冬に天然ガスの供給が足りなくなる可能性がある。新年には(欧州で)ロシア産原油の取引価格に上限が導入される可能性もある」と供給危機到来の恐れを指摘。「そうである以上現段階では、1バレルたりとも市場に投入するわけにはいかない」と語った。
関係者らはいざという場合のサウジとUAEの増産可能量を具体的に示さなかったが、サウジとUAEおよび他の加盟国に日量計約200万-270万バレルの増産余力があると指摘した。ただ、OPECが増産能力を現実に示すことができるのは長期にわたって続く危機の場合だけという。関係者の見立てでは、ウクライナ侵攻を巡るロシアと西側諸国の対立が和らぐ気配が見えないことで、早ければこの冬にこうしたエネルギー危機がやってくる可能性がある。そうなればOPECが増産に動くとした。
現状での原油相場は、3月の今年最高値から戻り歩調にある。アナリストも値下がり基調でOPECプラスが供給を増やすのは割に合わないとの理屈も認めた。PVMのタマス・バルガ氏は「8月の生産余力が日量200万バレルに満たないのなら、OPECプラスは供給余力を温存し将来の混乱に対応できるようにする方を選ぶはずだ」との見方を示した。
米大統領が7月にサウジを訪問したことで、アナリストの間では今回の増産決定に期待が出ていた。結果的には1982年の生産枠導入以来で最小の幅にとどまった。しかし関係者の1人は「確かに少ない」と言いつつ、これが産油国としては「精いっぱいの善意だ」と強調。OPECプラスのほとんどの国が生産力増強のための十分な投資を何年も控えたことで、生産枠割当の達成すら四苦八苦しているのも事実なためだ。(ロイター)
アジア通貨危機が再燃か、97年と不気味な類似の指摘も
2022年8月5日 6:00 JST
97年7月のタイ・バーツ暴落は韓国などにウイルスのように広がった
四半世紀前のアジア通貨危機と現状の不気味な比較も指摘され始めた
パキスタンはデフォルト(債務不履行)回避のために国際通貨基金(IMF)に支援を求め、スリランカはデフォルト状態に陥り、政権が事実上崩壊した。バングラデシュもIMFに融資を要請し、インドでさえ貿易赤字が拡大する中で通貨ルピーが最安値を更新した。経済および政治的混乱が今夏、南アジアを揺るがし、四半世紀前のアジア通貨危機との不気味な類似も指摘され始めた。
 投機的な売りと管理フロート制移行に伴う1997年7月のタイ・バーツ暴落は1国だけの出来事のように思われたが、ウイルスのようにインドネシア、マレーシア、韓国へと広がった。
 金融機関は貸し剥がしに動き、投資家は中南米とロシアを含む新興国市場の株式・債券から資金を引き揚げた。ロシアのルーブル建て国債は1998年8月に一部デフォルトに陥り、その1カ月後には借り入れに依存するロシアとアジアの証券への投資を行っていたヘッジファンド、ロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)が破綻した。
こうした事態は再び起き得るだろうか。イスラマバードに拠点を置く非営利団体カランダーズ・パキスタンの最高リスク責任者、アンマル・ハビブ・カーン氏の答えは「イエス」だ。南アジア諸国は低コストのドルでの借り入れや虚飾に満ちたプロジェクトで過去10年間浮かれてきたとした上で、「97年当時の東南アジアと同じような雰囲気が漂っている」と指摘した。
 予兆のような断層が見え始めたのは、インフレ抑制に向け米連邦準備制度が利上げペースを加速させた今春だ。それはインフレの勢いがやはり強まっていた南アジアにドミノ効果をもたらし、低金利で調達可能な資金は枯渇し、通貨は下落し、外貨準備は急減した。97年当時は、いわゆる「経済の奇跡」によって、過度の公的債務および民間債務、銀行システムの弱さといった脆弱(ぜいじゃく)性が覆い隠されていたが、今ではそうした脆弱性はそれほどまん延していない。南アジア諸国は外国勢への依存も減らし、ドル建てではなく自国通貨建ての借り入れを増やしてきた。
 前回の危機の際にIMFは融資を求める政府に厳しい緊縮策を課したが、前例に倣う可能性は低いと専門家らは考えている。かつてインド準備銀行(中央銀行)総裁を務めたシカゴ大学ブース経営大学院のラグラム・ラジャン教授は「緊縮政策といった模範解答が存在するとは思わない」との立場だ。
 ただ、多くの危険な兆しも表れている。ロシアのウクライナ侵攻の影響もあって、南アジア地域では燃料と食料が不足し、スリランカとパキスタンは政情不安に見舞われ、資本流出も進行している。パキスタン・ルピーは最安値を更新し、ソブリン格付けもジャンク級(投機的格付け)に沈む。
スリランカの問題は最も複雑だ。燃料不足と失政への抗議行動で、政権が事実上崩壊した。IMFからの新たな支援にはまだ満たすべき条件が残る。中国からの最大40億ドル(約5360億円)の支援獲得に向け交渉中だとパリサ・コホナ駐中国大使が7月15日にブルームバーグテレビジョンに語った。
 四半世紀前の東アジアで中国が果たした安定の頼みの綱としての役割が、今回はインドに期待される。同国の外貨準備は前回危機時の20倍に拡大している。インド中銀は政策金利引き上げに動き、インフレ抑制に向け利上げの継続が見込まれるが、ダス総裁は経済のソフトランディング(軟着陸)を約束しており、15億人余りを擁する南アジア諸国の願いも同じだ。(ブルームバーグ)


≪統括≫
世界経済は、各国中央銀行の金融緩和・政府の補助金等の政策で企業倒産を食い止めており、完全失業者をそれほど出さず、自殺者の急増を防いできた。その中で、コロナによる犠牲者(死亡者)を乗り越え、製造業中心に経済活動が回復してきた。
アメリカの対中国戦略により中国・アジア地区中心のサプライチェーンに亀裂が生じ、物流の根本が揺らいでいる。コロナ対策が起因で生じたインフレ対策処理が終わらない状況で、2022年2月ロシアによるウクライナ侵攻が始まった。その対応策としてロシアへの金融を含めた経済制裁がはじまった。『民主主義・人権擁護』を大義名分として、EC・NATOを巻き込む形でウクライナへの武器供与を進め戦争の長期化が現実のものとなった。同盟国ではないとして、米国の直接関与は避けている。
ウクライナに対して武器供与を中心とする援助ではあったが、結果として資源関連のインフレを招き、さらに食糧危機にまで及んでいる。さらに、中国・ロシアを接近させることになり、米国対ロシア・中国の対立構造となってしまった。
これまで、経済の問題と政治的な軍事問題を切り離して考えればよかったがそうはいかないのが現実である。第二次大戦後の政治・経済の国際ルールに亀裂が生じている。政治学でいう、核・軍事の『バランスオブパワー』で云う米ソの2極構造が壊れ、米国一極の構造との幻想があった。今では経済力をつけた中国・インド・中東諸国を含める多極構造の世界となっている。
米国に集中するコンテナの問題はやや終息しつつあるが、燃料費高騰で海運賃は高止まりのまま。当初、金融制裁を基軸に、エネルギー資源(石炭・石油・天然ガス)・食料資源・鉄鋼資源に限定した貿易制裁を起草、ロシア経済の疲弊による政権維持が困難になるとの構想・戦略で進めてきた。しかし、ロシアが世界に供給する資源がエネルギー資源・食料・半導体生産資源・肥料・希少金属等多義に渡っていることが後になって理解された。中国を含め世界の物資のサプライチェーンの枠組みは先進国の欧米中心に組み立てられてきたものであった。制裁開始以降エネルギー以外に各種商品価格の高騰を呼びインフレが世界に広がってしまった。さらに食糧危機問題が発生し、最貧国の政治状況に変化がみられる。また経済救済の枠組みも再考を余儀なくされているが進展はない。コロナ対策インフレ対策で財政的な余力は限られている。他国の面倒を見る余裕はなくなっている。
各国の金利引き上げ競争が始まり、国内の経済維持に警鐘がなり始めており、世界経済のスタグフレーションの状況となりつつある。
世界世論はロシアへの非難に終始している。ロシア・ウクライナとの休戦・停戦交渉は暗礁に乗り上げている。ウクライナのゼレンスキー大統領は、民主主義の基礎となる自国民の安全・安心を確保するという本筋(米国南北戦争後のリンカーン)を忘れて、為政者としてはやってはいけない、自国民の犠牲者が増えていることを無視する形で、西側諸国のマスコミへのお涙頂戴なのか情報提供としてSNS等の手段を駆使、さらに休戦に向けた努力もなく、欧米各国政府への武器供与を呼び掛けているのが現状である。
さらに、戦争拡大を煽るように、4月12日以降、バイデン米政権はウクライナへの約7億5000万ドル(約940億円)相当の軍事支援パッケージを準備し、武器や装備品を供与している。ウクライナへの支援をさらに強化する姿勢を示した。最新兵器であっても、人殺しの道具を供与していることに変わりはない。
さらに、NATOとの結束を進め、G7を巻き込むことで世界のリーダーシップを強調している。しかし、戦後処理に係る費用(100兆円?)はどこから調達するかは不明である。ウクライナにその能力はない。
戦争当事者のウクライナ指導者の先導的なパフォーマンスに迎合し、他人事のように、本当の犠牲者であるウクライナ国民の安全・安心の議論はない。一般国民は、健康で安心・安全で生活できれば良く、映画・音楽・演劇・文化に触れあう環境を望んでいる。戦争(殺し合い)は望んでいない。報道のようなアイデンティティの問題ではない。食料・仕事・教育を含め衣食住の環境を整えるのが『為政者』の基本的な仕事なのだが・・・。専門評論家の言う政治体制は関係ない。儒教(陽明学)に基づく『帝王学』を含め『中庸』の精神で国民目線からの積み上げのバランスある『政治学』が必要である。
各国でインフレが高進しているが、各種の商品値上げで困窮(迷惑)するのはそれぞれの自国民であることを忘れている。政治の基本は国民であって、世界秩序ではない。同じことがコロナ対応でもいえる。
ウクライナの戦後復興費用および負担がどうなるか、G7等の先進国の負担となるようであるが、その原資が税金であることに変わりはない。中国・ロシアを排除したサプライチェーンの再構築に5年で官民合わせて6000億ドルと報じられている。しかし、発展途上国を巻き込むことができるか今後注意が必要である。
エネルギー供給についても備蓄原油放出で何とか凌ぐつもりでも、第二次オイルショック以降の備蓄戦略であったことが忘れられている。その補充するにはOPEC等の石油産出国の協力が必要であるが、補充コストは1バレル100ドルを超えることが予想(一説では130ドル)されており、今後に対する筋書きもない。しかし、ロシア崩壊を狙って、ロシアの豊富な資源の獲得を米国・西欧諸国が画策しているのであれば別である。オイルショック以降、イスラエルを使って中東戦争を起こしたように・・・。
いずれにせよ、インフレの長期化からは逃れられない。これまで、欧米諸国の企業は、コストについては価格転嫁することでごまかしができたが、各国国民の所得が順調に増えるとは考えられない。
さらに利上げをきっかけに、スリランカのような発展途上国の借り入れ問題から食糧危機・メキシコ危機・アジア危機の再来が予想される。IMFの対応は数か月先のようだ。事実、国際通貨基金(IMF)アジア太平洋局長代理のアンマリー・グルデウルフ氏は26日、債務危機に陥っているスリランカについて、金融引き締め、増税、変動為替相場制への移行といった方策を取るよう促した。さらに、スリランカの支援要請に対して「債務の持続可能性に向けた進展が融資の条件になる」と述べた。他人事のように形式的な対応で終わっている。一方、インドの協力が表明されている。
小麦・パラジューム・アルミ・ニッケル・天然ガス等世界の供給に占める割合の多い資源・食料価格が上昇。コロナによるサプライチェーンの麻痺が解消されない状況でインフレの種を増やす結果となっている。今回の欧米の対応は経済運営上、自分で首を絞める状況となっており、金融政策の足かせとなってきた。ここにきて、ロシア・ウクライナの石油・天然ガス・石炭・小麦・トウモロコシ・飼料・肥料さらに半導体関連の主要原料の供給に関して警鐘がなり始め、欧米諸国のインフレ(物価上昇)の追加要因となった。市場は、サプライチェーンが国家体制(政治要素)とは別に、複雑に絡み合っている現実を認識し始めた。物価が上昇し、国民生活に影響が出ており、コロナも沈静化しているわけではない。
一方で、欧州では懸念の声が上がり始めたが、米国は大丈夫との安心感が前提となって今の相場が形成されている。
米国の人口は3億人、英国・フランス・ドイツ等の西欧諸国の人口はそれぞれ4~5千万人、そのほとんどが移民で構成されている。過去、植民地時代その後の資本主義で潤ってきた国なのだろうか。ロシアでさえ1億数千万人。これに対して人口規模で異なっており、さらに植民地政策で苦汁をなめたインド(英国の植民地)・中国(アヘン戦争・日中戦争)のように10億人台を超える国民の生命・食料・生活を維持するする政治に対する姿勢(国家体制)・主義主張の違いがあってもおかしくはない。第1次・第2次大戦後独立した中東諸国・南米・アフリカ諸国にとっても同じである。既存のグローバルスタンダードの意義が問われている。インフレの一つの原因であるロシア産資源(原油・天然ガス)に対する制裁が完全に尻抜けとなった。ルーブル決済は企業の問題として制裁対象から外すとの判断が、5月16日EUの行政執行機関、欧州委員会から発表された。
さらに、5月17日米財務省当局者がロシア産原油の全面的な輸入禁止措置に代わる措置として、欧州各国に対し関税を課すよう提案すると表明。原油供給量の逼迫を低減する方向に舵を切った。しかし、制裁対象のロシア産原油は、インド・中国が引き受けており総量の調整は不可能となっている。
資金力・技術力に劣る資源を持つ国(ロシア)の主張が始まったと思われ、オイルショック(石油危機)時と同じ背景がそこにある。ただし、相手がロシアという軍事力のある国であることは厄介である。インフレの解決策である中央銀行による利上げが本当に特効薬となるか試されている。世界各国の実体経済の悪影響が出始めており、統計数値を待っている市場参加者が気づいた時、すでに遅いというデフレ・スタグフレーションの可能性は否定できない。欧米でインフレが進み実体経済への影響が統計数値に表れ始めた。企業による価格転嫁による収益確保に対して原材料費・人件費高騰が減益要因となり、最終需要者である消費者にとって不利になり貧富格差の拡大がさらに進む結果となりつつある。さらに、利上げによる副作用である企業倒産・失業対策が必要となる、スタグフレーションの状況となりつつある。ある意味でシンギュラーポイントがどこなのかが試されている。
さらに、ウクライナの戦後処理・再生費用が100兆円規模になりウクライナ大統領は支援を呼び掛けているが、欧米諸国・IMFを含めその余力はない。ロシアにその費用を持たせるには、ロシア本土に攻撃を仕掛けプーチン大統領を敗北に導く以外に方法はない。
一方、ドル基軸通貨の脆弱性・米国軍事力の圧倒的な優位性が失われていること・世界政治経済の指導力に対する警鐘等が露見する結果となりそうである。ニクソンショックが何であったかが問われている。
ウクライナ国民の犠牲者が急増するも徹底抗戦としてロシアへの攻撃を中断することもなく、停戦交渉のテーブルに載っていない。まるで第二次世界大戦時の(沖縄戦・東京大空襲)にも拘わらず、本土防衛・決戦とした日本軍の連合国軍への対応と同じ現象となっている。終戦のための方法について、生物兵器・化学兵器・核爆弾の使用が報道されている。最終的に核爆弾を実施したのは米国であった歴史を忘れてはならない。唯一の被爆国であり、日本の航空域制限等戦後の体制は継続している。第二次大戦後に生まれた、バイデン大統領・ウクライナのゼレンスキー大統領。プーチン大統領等『戦争を知らない子供たち』(北山修作詞)の世代のリーダーが世界を動かしている。
マスク着用問題等において『人間の自由の権利』主張が標榜され、コロナによる感染は個人の自己責任として片づけられてきた。自分を守り隣人(他人)に移さないようにする最善の方法がマスク着用であった。第一次大戦時『スペイン風邪流行』対応はワクチン・治療薬がなかったこともあり、戦争による死亡者よりスペイン風邪による戦意喪失とその犠牲者の方が多く戦争継続が困難となりドイツ軍敗退による戦争終決となった。
各国政府は自由主義・個人主義の名目で経済再生優先としてきた。一方、コロナ対応で中国主要都市でのロックダウン措置導入の動きが報道され、中国経済の弱体化を専門家・マスコミは報道している。コロナ感染拡大によるパンデミックは終わっていない。
サプライチェーン・物流問題の長期化が懸念され始めた。トランプ政権時『自国第一主義』として中国経済制裁の一環で始められた関税はバイデン政権でも継続され米国インフレの一原因となっている。半導体・各種工業製品等の中国サプライチェーンの複雑さが認識され始めたところで、ウクライナ・ロシアにおける食料・資源の重要供給先であったことがウクライナ戦争で浮き彫りになった。5月11日、バイデン米大統領は、ロシアによるウクライナ侵攻が世界的な食料価格の高騰を引き起こしていると非難、対して5月12日、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ紛争を受けて西側諸国がロシアに科した厳格な制裁措置が世界的な経済危機と破滅的なインフレを引き起こしたとして双方責任転嫁している。
しかし、株式市場の下落、プライベートバンク等にみられるファンドの毀損、市場参加者機関の市場撤退による現金化が報じられている。市場が縮小方向にあることに変わりはない。インフレが現実のものとなり、中国関税・NATOを巻き込みウクライナへの武器供与による戦争拡大のきっかけを作った米国バイデン政権の失策であったことが明確になりつつある。
世界経済の枠組みに亀裂が生じ、各国のインフレが国内問題となり、ロシア・中国等の結束を固める形となって政治経済ブロックの鮮明化が問題視され始めた。自由民主主義を守ると称して主導権を発揮した結果であろうか。
さらに主要中央銀行のインフレ対策の利上げが報じられている。
パンデミックが収まらず、サプライチェーン問題も解消されず、ウクライナ戦争が、ロシア対米国(NATO)の対立構造となってきた。さらに中国もその対象としている。
小麦・食用油(トウモロコシ・パーム油)を含めて食糧危機の報道が始まった。異常気象の影響で世界的な穀物の不作が予想されており、綺麗ごとでは済まない古米・古古米の取り合いとなっている。ウクライナの昨年収穫の穀物輸送に注目しているが農地が荒れており、戦争で男手がなく今年の収穫は半分以下となろう。食糧危機が現実のものとなり、先進国もインフレに絡めて、後進国を補助・救済するとしても資金調達に問題が生じ始めている。欧米の大半が赤字国である。国力に限界がある。



2022年08月09日更新


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