為替レポート

01月11日~01月15日週

【為替の動向】
ドル/円(24時間)
01/11(月)01/12(火)01/13(水)01/14(木)01/15(金)
OPEN103.713104.250103.733103.829103.793
HIGH104.398104.332103.997104.197103.915
LOW103.713103.710103.519103.557103.610
CLOSE104.236103.740103.862103.799103.899

先週のドル円レンジ:104.39円~103.52円

01月12日 IMM通貨(円)先物動向
円:50520枚の買い越し 前週比330枚の買い超し増

 先週も、欧米のコロナ感染者・死亡者数がさらに再拡大、英国・米国・欧州でワクチンの期待が先行するものの、接種が進んでいない。米国・英国・南アフリカ・ブラジルでコロナウイルスの変異種の発見の報道があった。欧州全域で新型コロナウイルス感染第3波や変異種の感染拡大を受けて行動規制が再強化された。バイデン次期大統領が1400ドルの直接給付を含む1.9兆ドル規模の追加経済対策が表明された。一方、ワシントンDCでは、大統領就任式に向け、選挙の不当性を主張した新たな武装抗議行動が警戒されている。しかし、事件が起ったとしても、新政権移行で、相場への影響は限定的との観測のようだ。15日、12月小売売上高は3カ月連続で減少、米国経済の回復の弱さが注目された。ラガルドECB総裁は、「為替が物価に与える影響に注意を払っている」と警告し、ユーロ高を牽制した。ドル安小休止となっている。米政府は1月13日、イラン最高指導者ハメネイ師が管理する2つの財団などを新たに制裁対象に指定したと明らかにした。
 世界最大の新型コロナウイルス感染国米国(1月16日時点で感染者数2337万9121人、死亡者数39万2153人)となっている。WTI原油先物は52.15ドル台となり、ドルインデックスは90.790、円ドルは103.90円で取引を終えた。

今週の予想

今週のドル円予想レンジ:102.00円~105.00円
ピボット分析(日足ベース):103.52円~104.13円
注目点

=日本=
菅総理大臣の国外・国内の執務能力、国際情勢への対応と調整体制、マスコミ対策、印鑑廃止、IT化問題、日本学術会議、福島原発汚染水放出、携帯電話料金値下げ(NTTドコモ買収)、コロナ対策、Go To キャンペーン、医療体制の拡充、経済対策(失業・雇用・中小企業の倒産)の遅れ、2050年脱炭素社会実現、緊急事態宣言発令の表明と法整備

=米国・中国=
中国のサプライチェーンの回復スピードと統制強化の動き、
中国製のワクチン外交(ブラジル・トルコ・インドネシア)・マスク外交の行方、月面着陸成功、
人権問題~香港・チベット・ウィグル問題(国家安全維持法)の行方、
軍事問題~海洋進出・南シナ海・台湾・尖閣諸島・米国海軍の対応(軍事演習、2回目)、潜水艦の動向、軍事衝突の可能性、南シナ海へのロケット発射
対米対応~中国が米国債を売却しているとの報道、人民元(元高・ドル安)の行方、米中貿易戦争の行方、米中間の領事館閉鎖問題、宇宙戦争
中国国内問題~中国大陸の自然災害(長江・黄河)水害・ダム・河川・貯水池・治水、バッタ襲来による食料問題、
中華思想
習近平国家主席は、「脅しや封鎖、極端な圧力」は行き詰まりに陥るだけ、「中国人民の発言の重要性を米国人に知らしめた栄光ある勝利」と発言
20年10月29日、第19期中央委員会第5回全体会議(5中全会)は、2021~25年の「第14次5カ年計画」の骨格などを固めた。35年に「1人当たり国内総生産(GDP)を中等先進国並みにする」との目標を掲げた。対米摩擦の長期化に備え、消費など内需を拡大し自力での安定成長をめざす。
党理論誌の「求是」・「国際的なサプライチェーン(供給網)のわが国に対する依存度を高め、供給を断とうとする外国への強力な反撃と威嚇の能力を形成しなければならない」。習氏は米国の大統領がトランプ氏からバイデン氏に代わっても、中国にデカップリング(分断)を仕掛けてくる可能性は排除できないとみている。
米国大統領選後のバイゼン次期大統領の対応及び後始末
対中国対応~中国との関係において軍事的な対立ではなく、平和的な外交に力点が置かれるものになるとの見方、バイデン氏、対中関税や貿易合意「即座に見直さず」
トランプ政権の中国との「完全なデカップリング(切り離し)」発言、香港問題への対応、相互領事館の閉鎖問題、人口島の建設に関与した24社の中国企業に輸出禁止措置を取り、複数の個人に対する制裁措置を発動、米国防総省、中国企業のブラックリストにCNOOCなど4社追加、中国共産党関係者や政府当局者へのビザ 発給制限
トランプ政権が軍事的関係理由に中国企業89社への技術輸出禁止を準備(20年10月23日)米商務省は、中国最大の半導体メーカー、中芯国際集成電路製造(SMIC)や商業用ドローン(小型無人機)世界最大手、SZ DJIテクノロジーなど中国企業数十社を事実上の禁輸リストである「エンティティー・リスト」に追加すると発表した。(20年12月18日)米で上場する中国企業の規制強化、トランプ大統領が法案に署名。米商務省は14日、中国国営石油大手の中国海洋石油集団(CNOOC)をブラックリストに追加した。
コロナ対応~米国の医療体制の脆弱さ露見(1月16日現在、2337万9121人の感染者、39万2153人の死亡者)ワクチン接種
軍事対応~ロシア・中国・米国間の軍備拡大問題、および軍事衝突懸念
第一次世界大戦後の世界恐慌の状況との比較、特に軍備拡張の状況が4年前と異なり軍事力で近代化が進み、戦力として米国がダントツの軍備保有国ではなくなっていること
自国(米国・英国)至上主義の修正
国際協調の指導力発揮の行方~米国の国連・IMF・WHO・WTO等の影響力低下、第2次世界大戦後の国際協調組織の形骸化と役割低下
株式資本市場の落ち着きどころと、あまりに早い反転の動向(発射台の高さ)、IMFによる金融市場の過熱への警告
原油市場の動向・・1バレル20~45ドル台推移の場合・・米シェール産業の倒産・合併と増産体制
レバッレジローンの行方
ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)廃止
2020年10月16日、2021年末にも公表が恒久的に停止される国際的な金利指標、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)からの移行準備として、想定元本80兆ドル(約8430兆円)余りの金利スワップの価値決定に用いられる参照金利が、担保付翌日物調達金利(SOFR)に移行

=中東情勢=
トランプ大統領の中東和平案(エルサレム問題)に対するアラブ諸国の対応、UAE・バーレーン以外の対応、サウジの動き《20年9月5日、カーバ神殿のイマーム(イスラム教指導者)アブドルラーマン・スダイス師、ユダヤ人(イスラエル)に対する対応を変える発言》、サウジアラビアの動き、パレスチナ イラン攻撃の可能性、イラクの政治状況、イランの核開発問題ではなくロケット開発にかかわるアルミニュウム粉末の生産に言及、IAEAの査察受け入れ
イランの動き~イラク・米国軍との軍事衝突(20年3月18日)、米国との裏交渉、イラン核科学者暗殺事件(20年11月28日)~イスラエル主導との報道
米政府は1月13日、イラン最高指導者ハメネイ師が管理する2つの財団などを新たに制裁対象に指定したと明らかにした。
イスラエルの動き~イエメンへの空爆、イラン核科学者暗殺事件関与?20年12月25日パレスチナ・ハマスとの間でミサイル攻撃応酬
シリアの軍事行動とトルコの動き・・トルコ・ギリシャへの避難民の移動、感染者、シリアに対する中国・ロシアの対応に変化あり
(イスラム教対キリスト教)
アヤソフィア
 マヤソフィアは今から1500年前、キリスト教国家のビザンツ帝国時代に大聖堂として建造された。1453年にオスマン帝国が首都コンスタンティノープル(現イスタンブール)を征服した後、モスクに改造され、1935年からは博物館として公開されていた。2020年7月10日トルコの裁判所は、アヤソフィアを博物館とする1934年の決定を無効と判断、礼拝が可能となった。2020年7月24トルコ・イスタンブールの再モスク化された。

=欧米・英米交渉・アジア問題=
対EUの自動車関税(米国)、「米国が英国と欧州連合(EU)製品に新たな関税検討」、「ドイツが対米報復関税措置の準備」などの報道、フランスのデジタル関税に対する報復関税(25%)
英国の貿易交渉~20年12月24日、英国と欧州連合(EU)は、自由貿易協定(FTA)を含む今後の関係を巡る交渉で合意したと発表、英国のEU離脱(ブレグジット)は「移行期間」終了の1週間前という土壇場で話し合いが決着した。しかし、今回の合意により英国とEUは多くの分野で、ブレグジット前と比べて協力関係の度合いが変わる見通しで、英国の輸出の柱となっている金融とビジネスサービスはほとんどが対象外。外交政策や安全保障・防衛などの面での協力も合意の対象外となっている。一方、輸送やエネルギー、原子力関連の民間協力などの分野は現在よりも結び付きが弱くなる。モバイル機器のローミング、専門家資格の相互認定、法的サービスへのアクセス、オンライン取引や公共調達などの分野でも協力関係が低下するとの報道がある。NATOの分担金問題
北朝鮮の動向~20年3月1・9・21・28日、4月14日ロケットの発射、6月16日北朝鮮が南北共同連絡事務所を爆破、2018年の南北軍事合意を破棄すると警告、その後否定、韓国との関係、台風被害の食糧問題、コロナ対策
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《現状》
菅政権が、国内の規制改革に絡めて印鑑問題・遅れすぎたデジタル化の推進・不妊治療・中小企業再生・地方再生等の題目を掲げているが「日本学術会議」の人選問題が浮上。脱炭素社会を表明しているが、産業構造の転換についてその指針は表明されていない。コロナ対策もマスク・ワクチン・PCR 検査拡充・医療体制拡充と表題(総論)は掲げているが各論となると行政の末端が原因のためか何も進展がない。さらに、避けて通れない福島原発汚染水処理問題並びに核廃棄物処分問題、沖縄基地移転問題等安倍政権で残した各種の議題を矢継ぎ早に取り上げているが・・・。これまで積み残し放置してきた問題が一挙に露見したように見られる。
≪コロナ対応≫
今起きている第3波の発生でこれまでのコロナ対策の不備が表面化、PCR検査の拡充も中途半端であったことが判明(単純にPCR検査の保険適用としたこともあり2~3万円での検査費用は高額だったが、木下グループ(2900円)等の民間企業が立ち上がる動きが出ている。唾液による検査を公認せず、自動化の検査機器の拡充が遅れており、いまだに保健所の人員不足・補充を理由に無策の事態となっている。)
さらに現場の医療体制の対策拡充の遅れ、並びに非常事態における医療行政の拙攻・不備が露見、(行政指導・病院等の医療機関の経営基準が人間の生命ではなく、収益をベースにした行政指導であったことが一般に知られ、特に、医療従事者の報酬問題(給料・ボーナスの減俸)が報道されている。さらにICU・ベッド・ 医療機器・防護服等の充実・看護師・医師の補充不足・拡充の遅れが表面化。これまで単純にベッド数とその補助金(月額35万円)を基準にしたこともあり、現実に必要な医療設備・人員の補充が出来ず、日本医師会を中心とした現場からの反発が生じている。重傷者向けの医療体制が、ひっ迫している現実がある。医療現場従事者の良心と忠誠心(使命感)に甘えすぎた結果と思われる。急遽、補助金が出ることになったが、実際に現金を受け取るまでに事務手続きの煩雑さから遅れが予想される。一方、医療従事者の離職の動きも報道されている。    
1月8日、感染者が急増し、急遽、緊急事態宣言が表明された。飲食店中心に行政学的に行われる規制のための規制法の議論が始まろうとしている。
国民の健康を重視するのであれば、検査費用の予算を計上し、無料で検査体制を拡充するのが、最終的に安く済むのではなかろうか。東北震災後の福島原発の前例がある。後始末の経費のほうが多大の損失となる。海外からの渡航者のみに陰性証明書を求めるというのは、おかしな話で、一般の人々にコロナ感染の『陰性証明書』を発行すれば経済活動を制約する必要はない。経済対策の一助となる。
本来、①無料でのPCR検査体制を拡充し、感染者を早く把握、②隔離(自宅待機を含め)入院対応し、③重症化を防ぐために、アビガン等の治療薬(副作用があっても)を準備し、④無症状者・軽症者に配布、さらに、⑤患者に対して外出をしなくて済むように、食事等の滋養強壮の対応を取り、⑥中傷者・重症者の医療体制を拡充する対策が筋ではなかろうか。
一方、マスコミも感染者数の推移報道、医療崩壊の報道に終始している。感染した時の対応方法の報道がない。どういう薬が適切なのか、その時の過ごし方の報道もない。ここにきて、自宅待機・入院調整中の患者に対する対応の拙さが報道されている。着実に死人が出ている。その責任は?
≪学術会議≫
「日本学術会議」の人選問題について『学問の自由』・『憲法違反❓』・『任命』という見当はずれの表現でマスコミ・野党が騒いている。学問はあくまでも不偏的なものでなければ『学問・科学』とは言えない。『社会科学』において言葉遊びは許されない。個人的な百家争鳴の発言の自由はあるとしても、専門機関の存在意義・価値と公人としての立場・秩序ある権限が議論されなければならない。個人の自由な発言にはその裏返しの責任(私的・公的)がある。その根拠となる法哲学及び宗教の成り立ちを含めた歴史的な考察の根本が基礎になければならない。これ無くしての議論は『砂上の理屈』に過ぎない。「大衆化理論」を含めマックス・ヴェーバー(社会学者)のレベルとの比較が必要であろう。
≪経済対策≫
経済対策手法の一部に過ぎない観光を基準とした「Go To キャンペーン」に固執する余り、本来の経済対策(失業・雇用・中小企業の倒産)の対応に遅れが生じ始めている。失業率・企業倒産件数等の悪化の統計数値が公表されるのはこれからだ。遅れて出される数値を見てからでは遅きに失する。非常事態が発生している現実から見て、大企業中心の経済統計(マクロ経済数値)を基準とするのではなく、ミクロ分析対象の人口の大半を占める中小零細企業に目を向ける時期にきている。面白いことに、マスコミ・エコノミストが財政のプライマリーバランスを言い始めた。議論の根底に人口構成(高齢者の比率)・相続税・個人資産の年齢比率(65歳以上の資産?)を基礎にしなければ意味がない。
≪中国・韓国・北朝鮮≫
ここにきて、尖閣諸島の領土問題が浮上してきた。アメリカの政治空白を狙った動きであり、日本の国防能力の限界を見透かす中国の戦略であろう。平和ボケした「憲法並びに日米安保の幻想問題の議論」がまかり通る日本政治・外交の姿、戦後が終わっていない現実を見せつけているのであろう。
≪外交≫
バイゼン次期米国大統領となっても米国中心の基準で世界が決まる時代はトランプ政権で崩壊してしまった。日本の取り巻く環境が大きく変わっている。マスコミさらに専門家が単純にオバマ政権時代に戻ると楽観視しているが世界の情勢は全く異なっている。トランプ政権の4年間に見過ごし・放置(軍事・経済・情報技術等)されてきたため、台頭する中国の影響力は大きくなっており、国際環境は4年前と大きく異なっている。ここにきて、米国資本市場で上場した中国企業の監督強化法の施行、軍事・情報関連の企業のリストアップ・輸出禁止が始まっている。安全保障を建前に、トランプ政権下での失策の誤魔化しが始まっており、バイゼン政権への置き土産となっている。そう簡単に路線変更はできない。
米国国内の人種・宗教・賃金問題の分裂の状況(第2次南北戦争の報道もある)を横目に見ながら、軍事面で中国・ロシアは米国を牽制する動きを加速している。米・中対立にみられる覇権の移行に伴う今後の世界のバランスの在り方が問われている。
米国では、1月6日、やっとトランプ現大統領が敗北宣言した。新型コロナ景気対策法案がやっと成立したが、追加金額については先送りされている。民主主義とは何か、多数決の意義が問われている。次期財務長官にイエレン第15代米連邦準備理事会(FRB)議長を任命すると報じられている。財務省とFRBの対立解消と大型景気対策の実行が期待されている。
≪コロナワクチン≫
コロナ感染・死亡者が拡大する中、ワクチン開発頼りの報道が多くみられる。米国ファイザー社(独ビオンテック社と共同)に続き、モデルナ社のワクチン開発の有効性が報道され、新型コロナ対策のワクチンへの期待がさらに高まった。一方、WHOのスワミナサン氏は「最終的な効果と安全性がどうか、全体のデータの分析を待つ必要がある」と語っている。実験では済まない人類の生命にかかわる問題である。
一方、中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)が開発した新型コロナワクチン「コロナバック」をブラジル・サンパウロに出荷、中国のワクチン外交が始まっている。
コロナの型も武漢・欧州・米国・日本と異なっており、変異種の報道もある。全ての方に処方できるとは限らない。さらに、ファイザー社のワクチンの摂取段階までに、マイナス70度での輸送・保存が必要とのことでその設備が整っていない。モデルナ社のワクチンにしてもマイナス2~8度とのこと。一般に普及まで相当の時間が必要と想定される。
今年3月までに米国の死亡者数が47万人になるとの報道がある。あまりに多くの感染者・死者数が出ているが、ある意味で単なる犠牲者の数値ととらえ自分は大丈夫との楽観視が根底にあるように思われる。個人主義(利己主義)の表れであろうか。どのような結果となるか注意が必要だ。日本と比較して、コロナ問題・感染者・死亡者の急増を無視するような展開となっている。米国民の一部?もコロナ問題を、単純に『勝ち組・負け組』として、自己中心的にとらえているのだろうか。
さらに、最近次の報道があった。世界各地の政府や当局者の間で、新型コロナウイルスワクチンが「集団免疫」をもたらしてくれるかもしれないとの希望の声が広がりつつある。人口の3分の2が免疫を獲得すれば、パンデミックを食い止めることが可能で、地域社会もしくは国全体を守ることができるとの計算も聞かれる。欧州疾病予防管理センター(ECDC、ストックホルム)で公衆衛生上の緊急事態への準備・対応を専門とするヨセップ・ヤンサ氏は「集団免疫は個人を守るものだと誤解されるケースがある。集団免疫が存在するから自分は感染しない、と考えるのは適切ではない。集団免疫とはあくまで地域社会が守られる目安で、個々人をどう守るかということではない」とくぎを刺す。(20年11月23日ロイター)
≪ドル安・相対的な円安≫
株価維持のためか、V字型景気回復の期待を醸成、元の水準まで戻している。しかし、20年12月米国失業率は6.7%と以前の3~4%の完全失業率の水準からほど遠い。やっと、米国経済について全米経済研究所(NBER)が20年2月に『リセッション』入りしたと宣言された。
一方、日本はリセッション入りしていると報道され、相対的な円安の理由となっている。コロナ拡大・米中対立を通して、ドル安の動きとなっても、ユーロ円、ポンド円の動きから見て、相対的な円安(極端な円高が想定できない)となっている。ドル・ユーロ資金の調達に疑問符がついているためではないだろうか。
資金循環の流れを見ると、資本市場(短期金融市場)の限界を露呈している可能性がある。今、欧米の金融機関が貸し倒れ引当金の積み増しを実行している。  
2020年10月16日、2021年末にも公表が恒久的に停止される国際的な金利指標、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)からの移行準備として、想定元本80兆ドル(約8430兆円)余りの金利スワップの価値決定に用いられる参照金利が、担保付翌日物調達金利(SOFR)に移行した。このつけは顧客に回る可能性が高く今後為替・債券市場を含めた波乱要因となる。今後金融危機の引き金となる可能性も懸念される。この現象は英国ロンドン市場・シティの権威失墜の象徴となろう。

トランプ政権の功績?・置き土産1
《権威失墜》
トランプ政権が継続するとの前提で、米国を基準とした政治・経済・特に金融市場(経済秩序)が運営・構築され、現在がある。しかし、トランプ政権により、様々なこれまで築き上げてきた世界の枠組み(国連・NATO等・・世界の警察)秩序を、保護貿易主義・米国の予算(負担の比率)を理由に壊してきたつけが噴出し、宗教問題・人種問題・低所得層の賃金及び健康問題・発展途上国への対応等これまで『パンドラの箱』として封じてきたものを破壊してしまった。
バイゼン民主党政権になってこの修正ができるかどうかである。イスラエルがイランにミサイル攻撃の準備をしているとの報道もある。パレスチナ問題は解決していない。さらに経済・政治・軍事等の第二次世界大戦後の枠組み修正、ロシア(旧ソ連)の存在・中国の台頭への対応が懸念される。エルサレムへの米国大使館設置とイランを含めたイスラム国への対応(宗教対立)が問題視されるだろう。根本的な先送りの現実が露呈されつつある。一方で、米中の覇権争いを通じて、ソ連崩壊に続く米国・英国・欧州型の資本主義体制の在り方、そのものを再考するきっかけとなっていると解釈できる。米国の権威失墜と相対的なドル安を通じて・・・。

トランプ政権の功績?・置き土産2
《人種差別・所得格差の亀裂と拡大》
人種差別・所得格差の問題が黒人のジョージ・フロイド氏の死亡事件をきっかけに全米に波及、大規模デモに発展した。南北戦争時の英雄像の撤去、名称変更等、数百年続く根本問題が露見したのだろう。大英帝国時代の歴史的な人身売買の報道もある。一方、自由を求める人間の欲望とこれを抑制する良心的な人との摩擦から殺人・傷害事件が多発している。さらに人種差別・所得格差の問題がクローズアップされてきた。宗教・人種・秩序とは何かが問われている。これらの差別・格差問題から国の崩壊が始まることは人類の歴史上に証明されている。帝国主義・民主主義、資本主義・共産主義に限らず世界の枠組みが変わろうとしているのかもしれない。これらの亀裂拡大をこの4年間にトランプ政権は実現してきた。ついに1月6日、米議会ではトランプ大統領の煽動によるトランプ支持者らによる暴動があり、5人の死亡者62人の逮捕者が出た。結局トランプ氏は、敗北を認め秩序ある政権移行を表明した。この事件をきっかけに民主主義とは何か、権威的民主主義・自由民主主義・全体主義の議論が始まった。
バイゼン政権になっても、その修正は米国の大きな国内問題として今後も続く。場合によっては、トランプ現大統領の退任後の執拗な情報発信が止められず、国内問題(亀裂)修復に手間取り世界の模範となる自由民主主義国の看板を下ろす可能性がある

トランプ政権の功績?・置き土産3(経済)
《トランプの対外戦略~強硬外交の後始末
失業者の多さについてもその責任がないとまで表明している。トランプ大統領は新型コロナウイルスの感染拡大防止及び失業率の増加・景気悪化の原因を新型コロナ問題の発生国・中国・WHOに責任をすり替えようとする発言が続き、中国への賠償金請求とWHOへの拠出金削減という手段で、中国・WHOに対する発言を強化、対中貿易戦争の再燃を醸し出している。事実、WHOの離脱表明をし、中国に対して農産品は除いた貿易戦争を実現、ファーウェイ等の世界を席巻する技術会社への攻撃を進め、さらに、国内の現状から目をそらすためか、香港・チベット問題(人権問題)を材料に対中強硬姿勢を演出、中国との「完全なデカップリング(切り離し)」発言があった。一方、中国全人代で香港への国家安全法導入を可決、中国政府は内政干渉として報復措置を示唆している。2次米中貿易戦争への警戒感が現実のものとなっている。さらに、20年7月21日、米国政府は、対中戦略の変更のためか、テキサス州ヒューストンにある中国総領事館の閉鎖を命じ、20年7月24日中国政府は、対抗策として四川省成都にあるアメリカ総領事館を閉鎖するよう表明、米中対立が激化した。20年10月23日、中国の習近平国家主席は朝鮮戦争参戦70年の記念式典で演説し、「脅しや封鎖、極端な圧力」は行き詰まりに陥るだけだと述べ、「侵略者に対しては彼らの理解する言葉ではっきりものを言うべきだというのが中国人民の考えだ」と米国を明確に牽制した。
バイゼン政権で対中貿易関税を継続するとの報道もあり、習主席との関係修復改善があっても、4年前に戻すことはできない。国際協調路線への変更でその修正ができるかどうか見ておく必要がある。覇権国の基本は圧倒的な軍事力が背景にあることは人類の数十世紀の歴史が証明している。小手先の対応になってしまう可能性が高い。
この4年間に、軍事力(空母を除き、軍艦の数は米国を上回っている)を別にして、ロケット技術・情報通信技術・宇宙開発・原子炉開発(白い太陽)で米国をしのいでおり、レアメタルの生産量で世界のほとんどを占有していることから、世界への発言力・発信力はさらに強まることが予想される。
中国政府は1月15日、レアアースの生産や流通、サプライチェーン全体の統制を強化する条例の草案を公表した。アメリカの対中包囲網への対策の一環とみられる。
人口にしても米国3億人対中国13億人であり、潜在的な経済力の奥行きが異なる。さらに、世界に散らばる中華人民(華僑)の多さを視野に入れておく必要がある。国家体制がどうであれ、中華思想の基本は変わらない。
産業革命以降、英国は当時の優秀な人材を集め大英帝国を築いたように、ソ連に対抗して米国が更なる世界の人材・人種を受け入れ、科学技術を発展させてきた。数十年前の『選択』という本に、この歴史をベースに、特に、天安門事件以降、中国の優秀な人材(中国赤軍人民であることを隠して)を世界の最先端の技術国に送り込み帰国させることが100年計画として書かれていた。その通りになっている。今さらに、中国は上海・北京に人材を集め特別区として開発を進めている。
さらに、中国に限らず、「米国が英国と欧州連合(EU)製品に新たな関税検討」、「ドイツが対米報復関税措置の準備」、「フランスのデジタル関税に対する報復関税(25%)」などの報道もある。制裁外交の限界が垣間見える。

《ドル基軸体制の揺らぎ》
昨年、サウジアラビア・ロシア・アラブ首長国連邦の増産体制により原油価格が下落した。トランプ大統領の再選を拒否する動きだったとみることもできる。逆オイルショックとみることもできる。米国シェール産業の倒産が多発した。その後35~45ドルで推移した。米国・英国主導のWTIの価格決定の能力並びにその方法に疑問符がついている。米国の原油在庫とOPECプラスの減産状況との綱引きを基準として、中国等の消費動向に価格が左右されている。石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟産油国で構成する「OPECプラス」は20年7月末までの協調減産で合意し、ロシアの減産順守が確認された。新型コロナウイルスのワクチンに関する楽観で原油相場が高騰した。11月、「OPECプラス」は、来年から減産を緩和することで合意した。従来計画よりも段階的な減産緩和で、不安定な市場に追加供給分を吸収するための時間をより多く与える形となる。21年1月から市場への供給を日量50万バレル増やす。従来計画よりも少ない段階的な減産緩和となった。一転して20年12月7日、サウジアラビアは主要市場であるアジア向けの原油販売価格を引き上げた。21年1月5日、サウジアラビアは2月と3月の産油量を追加的に日量100万バレル自主削減すると発表、OPECプラスは前日、協調減産体制を巡る協議を開始。サウジのアブドルアジズ・エネルギー相は、自国経済の支援と原油市場の安定化の双方に向け、これまでの確約以上の減産を行うと述べた。1月8日1バレル52ドルまで上昇した。原油相場をうまくコントロールしているといえる。価格決定能力の強化、主導権を押さえた形となった。アゲイン・キャピタルのパートナー、ジョン・キルダフ氏は「サウジアラビアが市場で優位に立とうと動き出し、価格安定化への主導権を握った」と述べた。(21年1月8日 ロイター)
また、原油相場の動きには引き続き警戒が必要である。さらに、技術革新による水素エンジン・バイオエネルギーの開発が進み原油に依存しない社会が見えてきた。そのバランス具合から原油相場を見る必要がある。
一方、ドル以外の通貨による決済が広まっている。事実中国は元の体制を整えつつある。さらに電子通貨の発行を進めている。このことは、米国ドルの基軸通貨としての機能について問題提起されているとみることもできる。
基軸通貨としての地位を保守するためであろうか、最近のFRBによる『ドル散布体制』(戦後のドッジライン)はこれを防ぐ意味合いがあるのではなかろうか。世界最大の借金国、貿易赤字国であることに変わりはない。20年8月27日パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がジャクソンホール会合で2%の平均インフレ目標(AIT:アベレージ・インフレ・ターゲット)の導入を表明。さらに、20年9月15-16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0-0.25%で据え置くことを決定。フォワードガイダンスが修正され、少なくとも2023年いっぱいはゼロ金利を維持することが示唆された。20年12月16日のFOMCでも確認された。コロナ感染の拡大を材料に、これまでの金融政策を根本的に放棄した内容である。事実グローバルサプライチェーンを米国に集中すれば人件費・原料費・生産コストの高い商品を一般市民が購入することになり、物価が上昇するのは当たり前である。これまでは生産コストの安い地域(特に中国)から購入してきたため物価上昇につながらなかった。古典的な一国だけで物品が動く『経済学』の枠組みが生きていた証拠だろう。また、3年という期間を表明したことは、米国経済の復活がそう簡単ではなく、コロナ後もその修正に時間が必要との判断であろう。

トランプ政権の功績?・置き土産4(政治・軍事)
《覇権問題》
マスコミは世界恐慌時の英国とアメリカとの『覇権争い』との比較、その後のソ連との冷戦時の覇権争いを引き合いに、中国と比較しながらも、覇権国の無い無法時代を予見する報道まで出ている。資本主義対社会主義といった懐かしい『イデオロギー』についての議論が出ている。
一方、米国のレーダー砲の実験成功報道、さらに核実験の報道、ロシアの核爆弾の更新並びに超高速ミサイル実験成功、ステルス爆撃機製造報道にみられる運備拡張競争は軍国主義の再来である。さらに宇宙軍・・・。帝国主義的な米国の権威失墜は今後大きく取り上げられるであろう。米国の拒否によりロシアとの核兵器軍縮協定も先送りとなった。
軍事的な戦力として、戦闘機・ロケット・空母・巡洋艦・イージスアショアを中心とした制海権・制空権維持は無意味となっている。以前の日本が犯した戦艦大和のような『巨艦主義』『大和魂』に固執した失敗と同じではなかろうか。戦争の手法がすでに時代遅れとなっている。宇宙衛星を中心とした情報通信とその開発能力が覇権の鍵となる。レーザー砲・ドローンによる集中攻撃の兵器開発がすでに進んでいる。

トランプ政権の功績?・置き土産5(生命)
《ワクチン対応》
トランプ大統領が主導する自国第一主義に対して、米国からの発展途上国への供給は先送りされ、中国・ロシアが独自開発したワクチンを供給するとの表明がなされ、ブラジルへの供給を表明、現実のこととなった。米国は完全に世界貢献において、後れを取る形になりそうだ。世界に対してリーダーシップを取れない結果となった。一方、ワクチン開発優先となり、欧州では既存の治療薬レムデシビルの供給不安を表明している。さらにWHOはレムデシビルの効能を否定した。ロシアでは、既存の治療薬アビガンの生産が進み一般への販売が始まっている。
ビル・ゲイツが主張するようにリーダーシップを発揮して最先端技術を使って治療薬・ワクチンを開発し、アフリカを含む発展途上国にこれらの薬を大量生産し配布し、人類を助ける努力をすることがいま必要である。シリア難民・アフリカ・ブラジル・インドの感染拡大が報道されている。軍事力・経済力以上に人類のリーダーシップの在り方が問われている。 ・・・
ワクチン開発が進み、ワクチンがあれば問題ないとの風潮が流布されている。世界各地の政府や当局者の間で、新型コロナウイルスワクチンが「集団免疫」をもたらしてくれるかもしれないとの希望の声が広がりつつある。人口の3分の2が免疫を獲得すれば、パンデミックを食い止めることが可能で、地域社会もしくは国全体を守ることができるとの計算も聞かれる。欧州疾病予防管理センター(ECDC、ストックホルム)で公衆衛生上の緊急事態への準備・対応を専門とするヨセップ・ヤンサ氏は「集団免疫は個人を守るものだと誤解されるケースがある。集団免疫が存在するから自分は感染しない、と考えるのは適切ではない。集団免疫とはあくまで地域社会が守られる目安で、個々人をどう守るかということではない」とくぎを刺す。(20年11月23日ロイター)
トランプ政権の功績?・置き土産6(利己主義・自己主義・モラル)
《感染再拡大》《生活習慣・モラル・人に対する配慮》
ここにきて、欧米に限らず経済再開の動きが加速した反動か、2次感染の拡大が現実のものとなり、ドイツ・英国でのロックダウン(都市封鎖)が現実となった。第一感染収束時、治療薬・ワクチン開発の目途がつき、感染者数・死亡者数が一時減少、医療崩壊のピークが過ぎ、マスク・医療機器・検査機器の生産が各国で進められたこと等による一定の効果があったと評価された。軽・中傷者に対する治療法がある程度解明され対応できるようになったこと、重傷者に対する医療体制が整ったとの安心感が広がったことが大きな原因とされる。しかし、最近、経済活動再開による対処法の誤りか医療体制の不備が原因か不明のまま、第2次感染拡大が欧米に限らず、インド・アフリカ・南米で感染拡大が現実のものとなった。今感染拡大中のインド・ブラジルは基本的に欧米の植民地であった時期が長く生活習慣が欧米に似ており、さらに悪いことに医療体制が整っていない。
今回の再拡大は、感染者の多くが無症状者で抗体ができており、一般のインフルエンザと同じだとの認識が広がり、自分はかからない、かかっても『大したことはない』との認識の甘さが原因との説もある。特に、ワクチンが出来ればコロナ問題がすべて解決するとの世界のリーダーたるトランプ現大統領の発言の影響も大きい。ワクチンの効能について、WHOは警鐘を鳴らしている。特に、金融市場関係者の認識は表面だけである。  
何故か、マスク・消毒等の予防対策が他人に対する配慮につながるとの認識が欧米では見られない。マスク装着の義務化が自由の権利を奪うとの闘争まである。自由という権利に対してキリスト教(宗派の違い?)の宗教的な背景があるとの報道もある。特にキリスト教(カトリック)に疑問符が付く。『権利』と『義務』はセットであるものがいつの間にか変わってしまった。本来の宗教の本義とはかけ離れた解釈がまかり通っている。東洋思想(仏教・儒教)との比較が必要ではなかろうか。
先進国である欧米が、世界全体で見ると感染者数・死亡者数の大半を占めている。なぜこのようになったか。生活習慣(挨拶・靴を履いて室内で過ごす習慣:日本・スウェーデン等は違う)・食生活・硬水を基準とする衛生的な水の問題・土葬を中心とした埋葬の在り方・漢方薬・民間療法の効能・漬物にみられる乳酸菌の効能・うがいの意味等・・、アジア地区(東洋)と欧米(西洋)の比較がされておかしくない。湿度の差違が感染の原因とする研究結果報道されている。高温多湿のアジア地区さらにアジア人の遺伝子に抗体があるとの報道まである。欧米の習慣・基準がすべてではない。ましてや、コロナウイルスの正体がわからない状況で、その発生源・国がどこかを議論しても意味がない。死人が毎日出ている。

基準1
《金融政策》
世界経済のリセッションが現実のものとなり、最悪な状況を避けるために各国中央銀行の資金供給が始まり各国政府も赤字国債の発行という流れとなっている。日銀・FRB等の中央銀行の努力に加え、追加予算編成・補助金の予算編成がやっと可決、実行されている。短期的な景気悪化を防ぐ材料は準備された。資金の振り分けはこれからで、我が国に限らず米国・欧州においても中小企業の資金繰り対応が急がれる。その対応と資金の供給の遅れは問題ではあるが・・。連邦準備制度理事会(FRB)は、中小企業支援のメインストリート貸付プログラム(MCLP)で利用拡大を目指し融資最低額を25万ドルから10万ドルに引き下げた。
今回は金融機関由来の金融危機ではない。しかし、コロナをきっかけに金融危機に発展する可能性はないとは言えない。過去、金融リスクを基準(BIS)とした欧米方式による金融再編成(都市銀行に始まり地方銀行へ波及した)を模倣し、不良資産のランク付けそして削減が始まり、これをきっかけに企業倒産が多発した記憶がよみがえる。国際会計基準導入も同様で、本来の金融機関の役割・機能が試されようとしている。担保を基準とした貸付制度(担保主義)・その審査等、銀行行政の難しさが露見している。大企業は増資・社債等の証券会社を通した資金調達の手段を持っている。しかし、金融機関に頼らざる負えない中小零細企業は別である。サービス業をはじめとする中小零細企業の救済と非正規雇用者の失業対策は急務である。行き過ぎた地方銀行の萎縮行政指導の反省か、本来の貸付機能の補完(経済の血液・循環機能)・その機能不全が議題に上っている。金融庁改革に期待したい。一方で今後発生する不良債権問題に注目するエコノミストが増えている。また、海外の金融機関は、貸倒引当金の積み増しを進めている。今回は、企業倒産と失業者の急増をいかに防ぐかが課題である。いつか来た道『貸しはがし』が起きないように望みたい。

基準2
《金融機能・格付け機関》
欧州の銀行では貸倒引当金の積み増しと決算対策の動き、および監督当局の猶予措置によるムーディ社・S&P社等の格付け機関対策を進めている。自国通貨及び外貨資金調達に関して資本市場の縮小は目前である。英国の中央銀行(BOE)は金融機関の資金調達の目途がついたと発言している。米国FRBは主要米銀のストレスチェックを実行した。裏返して考えれば、コロナ問題をきっかけに、既存の金融機関が中央銀行の資金供給の出先機関としての機能不全を引き起こしていることを示唆しているともいえる。日本はどうなのだろうか。
一方、デルタ航空の報道・イタリア・フランス・インド・日本・米国の格付け報道(特にフィッチ)、さらに日本のトヨタ・ホンダの格下げ報道にみられる格付け機関の暴走が始まっている。不思議にも米国・英国および米国企業に対する格付け報道は少ない。なぜなのか。過去、格付けの変更で資金調達が困難となり、企業倒産が多発した記憶がよみがえる。金融危機のきっかけとなった。
これまでの金融経済理論・ゲーム理論・行動経済学等では説明のつかない現実があり、その枠組み及び仕組みの再考が急がれる。格付け機関の国及び金融機関を含む企業の評価・金融機関の不良債権急増への対応・中小企業の倒産と失業率の増加・失業者の自殺問題(予想では7万人を超えるとの報道)・財政と国債の比率問題・産業構造の変化(サービス部門の従事者比率が過去と異なっている現実)・・・。お金 特に税金・企業の内部留保の再配分の問題が、人の生き死にと関連付けて議論され始めるであろう。各パーツ(ミクロ分析)の議論をマクロ理論に結びつける統合理論は存在しない。統計理論だけでは説明がつかない。ケインズは過去の理論なのだろうか。ここにきて実存主義を標榜したマルクスの考え方が再考され始めた。経済全体の枠組み・資本主義・民本主義(渋沢栄一)の再考が必要となるのであろうか。マスコミ・有識者が『人にやさしい社会の在り方』を議論し始めた。

基準3
《日本~行政麻痺
今コロナ後の生活の在り方、経済活動のクラウドによる遠隔作業等、本社機能・ビジネスのスタイルの議論に始まりこれを受け入れる政治家の発言が見られている。しかし、モノづくりをベースにした農業・漁業・林業、さらに中小零細企業、物品を運ぶ運送業、サービスをベースにしたシステムだけでは解決できない『人力』が必要な産業については議論されず、統合・マクロ的な国の在り方が議論の中心となっていない。さらに、永久凍土の崩壊・温暖化の進展具合から気候変動による災害が多発、日本ではこれに地震・台風の災害の後始末(東北震災・広島・熊本そして九州?)が全く進んでいない。道路・下水路・河川の堤防・ダム・トンネル・老朽化した橋・地方の鉄道網・・・、今後毎年、被害は拡大するであろう。『想定外の被害』では済まされない。イタリアの堤防設備のようにインフラの再整備が急務である。一方、気候変動による異常気象・地震は、多大なる犠牲者と被害を及ぼしている。専門家による『想定外』の評価・結果だけでは済まない。東北震災の後始末、特に福島の原発処理は進んでいない。日本では昨年の台風被害以来、7月豪雨被害の実態が明らかになるにつれて、基礎的な堤防・河川・ダム・上下水道設備・電気等生活に必要なインフラの設計基準・メンテナンスの不備が露見しており、その根本的な原因がその不備にあることが明らかとなっている。その再整備が急務である。
日本では、日本初の治療薬『アビガン』の認定がまた先送りされそうである。3回目の申請が20年10月15日に出されたが・・・。20年12月21日、厚生労働省の審議会は承認するかどうか判断せず、継続審議とすることを決めた。「現時点のデータで、有効性を明確に判断するのが困難だった」としてまたも先送りした。肥大化した厚生労働省の弊害が露見した。『丸山ワクチン』と同じ現象か。
現実の患者に供与する治療薬、特に軽症者・中傷者の症状緩和効果が期待される処方が急務である。アビガン60%とレムデシビル76%の回復率検証結果の報道がある。『藁をもつかむ気持ちの一般庶民』がおり、命と健康を天秤にかけて経済生活をしている。他人事のような自殺者の報道まである。
感染者が急増する中、無症状の感染者を放置し、個人の防衛意識・良心に頼った問題としているが、重傷者・死亡者が急増している。国土交通省・厚生労働省・文科省等の許認可行政の弊害が露見している。菅体制の縦割り行政による弊害解消に期待する。 
海外渡航者の再開が始まり、従来型ではないコロナの再拡大が現実となり、インフルエンザの流行も報道されている。検査体制の拡充不備、医療機関の切迫がすぐそこにきている。アメリカで起きた現象を後追いする過去の踏襲はいつまで続くのであろうか。
世界の投資家は、技術獲得目的の企業買収対象として、パフェット氏の大手商社の株式購入にみられるように、日本の対処方法を期待する一方、冷たい目線で見ている。

基準4
《ポリシーミックス》
中国・日本を中心としたアジア地区での経済活動の復活は比較的早まっている。サプライチェーンの本質の議論に始まり、米国・中国の相関関係が議論されている。
残念ながら、市場関係者は、目先の経済指標に集中、専門家によるエコノミスト予想の平均集計値と比較するという原始的な『初期のリスク管理手法』に終始している。サミュエルソン経済学(古典派)はどこに行ったのだろう。これまで避けてきた軍事・政治問題に向き合った理論構成で相場を見ていかなければ『想定外』の繰り返しとなろう。
中国の国家安全維持法実施後、政治問題(香港の人権問題)として民主主義の議論対象となり、さらに、これまで先送りされた『台湾(中華民国)の自治』という第二次大戦後曖昧模糊としてきた現実が経済・軍事(領土)と合わせて問題視されようとしている。また、中国軍の軍事活動が活発化している。中国国内の自然災害(コロナ・水害・バッタ)の規模報道が制限されており、国内の目を外に向ける目的での活動とみることもできる。この状況はバイゼン政権に移行することで小休止となりそうだ。一方、リーダー的存在の米国で、1月6日、米議会ではトランプ大統領の煽動によるトランプ支持者らによる暴動があり、5人の死亡者62人の逮捕者が出た。結局トランプ氏は、敗北を認め秩序ある政権移行を表明した。この事件をきっかけに民主主義とは何か、権威的民主主義・自由民主主義・全体主義の議論が始まった。軍事力を背景にした資本主義的な経済の在り方に疑問符が付いている。
コロナ拡大の現状と比較して、実体経済とかけ離れたバブル状態の株価は変わらない。市場関係者は、ワクチンの普及を前提として、中央銀行・財政当局の資金供給に安堵している。さらに注意が必要だ。


今週の主な予定

18日(月)
  中国GDP(第4四半期)
  中国小売売上高(12月)
  中国鉱工業生産(12月)
  ユーロ圏財務相会合
  キング牧師生誕記念日祝日のため米株式・債券市場は休場

19日(火)
  独ZEW景況感指数(1月)
  EU非公式財務相理事会

20日(水)
  英消費者物価指数(12月)
  ジョー・バイデン氏が第46代米大統領に就任
  中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会

21日(木)
  米新規失業保険申請件数(16日終了週)
  EU首脳会議

22日(金)
  日本消費者物価指数(12月)
  独製造業PMI速報値(1月)
  ユーロ圏製造業PMI速報値(1月)


2021年01月18日更新


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